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そして新しい未来へ

ベルヴァインの空は晴れ渡り、朝の光が柔らかく城壁を照らしていた。

かつては戦火に焼かれ、荒れ果てたこの地も、今では新たな生命に満ちあふれている。

商人たちの賑わい、子供たちの歓声、そして再建に携わる人々の笑顔。

すべてがこの国の未来を象徴していた。


王宮の大広間には、静かながらも厳かな空気が漂っていた。

クウォールは王座に向かい、一歩一歩を力強く踏みしめていく。

その背中には、亡命の日々に耐え、幾多の試練を乗り越えてきた誇りと決意が漲っていた。


セリィは隣で微笑み、しっかりと彼の手を握っていた。

かつては「聖女」として、誰もが望む完璧な姫君であろうと努めていた彼女も、今は自分の名前で、ありのままの自分でこの場に立っている。

仮面を脱ぎ捨てた自由な笑顔が、その瞳に輝いていた。


儀式は厳かに進み、クウォールは正式にベルヴァイン王として民の前に宣誓した。

「私はこの国のために、全力を尽くすことを誓います」

その声は揺るがず、真っ直ぐに人々の胸に響いた。


続いてセリィは王妃としての立場を受け入れ、両国の未来を繋ぐ架け橋となることを誓う。

彼女の言葉は、その強さと優しさを併せ持ち、多くの者に希望を与えた。


数年の歳月が流れ、両国の交流はかつてないほど活発になった。

国境を越えて行き来する人々、文化の交わり、そして何よりも平和な時間が確実に根づいていった。

ある穏やかな午後、王宮の庭園でセリィはクウォールに微笑みかけた。


「まるで、私たちを見ているみたいね」

 彼女の視線の先には、無邪気に遊ぶ子供たちの姿があった。


 クウォールも同じ景色を見つめながら、優しく応えた。

「まさにそうだな。ここにいるみんなのように、これからもずっと平和に暮らしていくことだろう」


 二人の間には、愛の結晶である小さな王子が、ちょこんと立っていた。

 彼は好奇心いっぱいの瞳で、両親を見上げて笑みを浮かべる。


 夕焼けが空を黄金色に染め上げ、家族のシルエットを柔らかく包み込む。


 静かな幸せが、王都ベルヴァインを包み込んでいた。


 過去の戦乱を乗り越え、愛と絆で結ばれた三人。

 その未来は、これからもゆっくりと輝き続けていく――。


――終わり。

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