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使えないと追い出された生活魔法使い、無限の魔力で生活無双  作者: 九頭七尾


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第74話 絶大な信頼なのだ

 魔境『無明の竪穴』の深部。

 地上からの深さは五千メートルを超え、傾斜角度は60度に迫る。


 もはや崖と呼んでも相応しいその急斜面を、僕たちは徒歩で下っていた。


「いや普通に歩けてるの意味不明なのだあああああっ!?」


 アルテアさんが叫ぶ。

 もちろん〈歩行補助〉の効果だ。


「……とはいえ、そろそろ横穴に入った方がよさそうですわね。足を踏み外したら、そのまま穴底まで転がり落ちてしまいますの」


 ローザさんの言う通り、斜面を進むのはさすがに限界だろう。

 先ほどのリーパーテイルのような魔物が再び現れたら、この不安定な足場で戦うのはかなり厳しいはずだ。


「そこの横穴がいいみたいです」


〈道案内〉が教えてくれた横穴を示すと、ローザさんが頷いて、


「ではここから横穴を進んでいきますわ」


 直径三メートルはあろうかという大きな横穴だった。

 この巨大な竪穴には、こうした横穴が無数に存在しており、しかも複雑に繋がり合っているという。


 横穴の中は竪穴よりもさらに暗かった。

 かなり強めに〈視力向上〉を使っているというのに、さすがにほとんど見えなくなってしまったので、〈明かり〉も併用することに。


 ちなみに〈注意報〉とか〈視力向上〉は、効果時間のあるタイプの魔法なので、効果が切れるたびにかけ直している。

〈明かり〉も同様で、効果切れの前に再使用していく形になるだろう。


 しばらく進むと、別の横穴とぶつかった。

 分かれ道だ。


「〈道案内〉はこっちに進めと言ってます」

「そちらに行きますわ」


 何の疑いもなく僕の〈道案内〉に従うローザさん。


「絶大な信頼なのだ……」

「そりゃそうよ」


 アルテアさんとタティさんが苦笑している。


「あ、見てください! 目印がありました!」


 やがて見つけたのは、先人が記してくれた目印だ。

〈道案内〉が示したルートは間違っていなかったと分かり、僕はほっと胸を撫でおろす。


 ただ、やはり深部の魔物は強敵ばかりだった。


「前方から魔物です!」

「? 何も見えないのだ?」

「いえ、確かに何かが動いていますわ! もしかして……身体が透けてますの……っ!」

「っ……スケルトンピードよ!」


 全身がスケルトンになっているムカデの魔物で、僕の〈注意報〉がなければ接近されるまで分からなかったかもしれない。

 闇に紛れて天井や壁を這いながら近づき、気づいたときにはすでに猛毒の牙で噛みつかれているという、なかなか恐ろしい魔物だ。


「〈害虫駆除〉!」


 幸い昆虫系の魔物はこの生活魔法が効果抜群で、あっさり倒すことができたけど。


「今度はスライムですわ!」

「スライム? ふふん、そんな雑魚、吾輩の剣で一撃なのだ!」

「こんな魔境の深部にただのスライムがいるわけないでしょ!」


 現れたのは全長二メートルほどのスライム。

 油断して近づいたアルテアさんが、案の定、強烈な突進を喰らって吹き飛ばされてきた。


「いだああああああっ!? めちゃくちゃ硬いのだ!?」

「恐らくストーンスライムですの。物理攻撃はほぼ効かないと考えた方がよいですわ。ただ、魔法なら効くはずですの」


 そう言ってローザさんが雷を纏う鞭を振るい、ストーンスライムの硬い身体を叩く。


「僕もサポートしますね。〈加熱〉」


 ローザさんの雷撃のように、体内を焼いてしまえばいいのかと思い、〈加熱〉を発動した。


 ジュワッ……。


「溶けたのだ!?」


 思った以上に効果抜群で、ストーンスライムの身体が崩れて液体になってしまった。


 他にも隠密能力と俊敏性を兼ね備えた豹の魔物アサシンパンサーや、氷のブレスを放ってくる亀の魔物ブリザードタートル、眩暈や吐き気などを引き起こす超音波攻撃をしてくるカラスの魔物エコーレイヴンといった、これまでとは比較にもならないほど手強い魔物に次々と遭遇したけれど、ローザさんたちの奮闘で撃破。

 もちろん僕も全力でサポートを頑張った。


 ――〈防水〉を習得しました。


「聞いていた通り難敵のオンパレードですわね。……そしてまた分かれ道ですわ。あたくしたちには目印があるからいいものの、こんな危険な魔境で一からルートを開拓した先人たちには頭が下がる思いですの」


 複数の道に分かれていたけれど、そのうちの一つに目印が刻まれていた。

 ローザさんたちが迷わずその方向に進もうとしたところで、


「ちょっと待ってください。もしかしたらこっちの方が早いかもしれません。僕の〈道案内〉だと、よりしっかりした矢印が出てるんです」


 ルートが幾つかある場合、矢印が複数出ることがあった。

 近い道ほど、矢印が長くて太くなるのだ。


「危険な道っていう可能性もありますけど……〈注意報〉の反応は特にないので、たぶん違うかなと」

「ではライルくんの言う道に進みますわ」


 相変わらずあっさり決めちゃったけど大丈夫かな……?


 そんな感じで何度か〈道案内〉が目印とは違うルートを示してきたけれど、進んでいくと必ず目印と合流することができた。

 比較したわけじゃないから実際のところは分からないもの、たぶん近道にはなっていると思う。


 時折、横道から竪穴に出てみると、そのたびに傾斜が増していき、もはや〈歩行補助〉を使っていても歩いて下るのは困難になっていた。


「そろそろ六千メートル……目的のアダマンタイトが採掘できる地点まで来ているはずですわ」


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生活無双
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