↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
使えないと追い出された生活魔法使い、無限の魔力で生活無双  作者: 九頭七尾


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/111

第17話 さすがに正気を疑ったけど

 ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!


「な、なんていう大雨だ!?」

「さっきまで晴れてたはずだよな!?」

「もはや天変地異じゃねぇか!?」


 みんながびしょ濡れになりながら叫ぶ。

 もちろん都市だけを狙って雨を降らせたつもりだけど、防壁の外側にいる僕たちの方まで容赦なく降り注いでくるのだ。


「しばらくはこのまま降り続けるはずですけど、段々と雨雲が少なくなってくると思います。そうしたらまた〈雨乞い〉を使う感じですね」


 いったん都市から離れ、復興隊の砦で待機することに。

 二時間ほど激しく降り続けた後、明らかに雨脚が弱まってきた。


「見ろ、マジで都市の中に水が溜まってきているぜ!」


 ゼファルさんが叫ぶ。

 砦は小高い丘の上に作られていて、さらに見張り台に登れば、都市の中まで見ることが可能だった。


 水はすでに防壁の三分の一くらいの高さまで到達していた。

 廃墟の大部分が水に浸かってしまう高さだ。


「オークどもが必死に建物の残骸にしがみ付いてる姿も見えるぜ! やつらはあの巨体だ、そんなに泳ぐのも得意じゃねぇだろうしな!」

「でもまだ一部の建物の上階に逃げたりしてますね。もう一発〈雨乞い〉を発動しておきましょう」


 これくらいのスパンなら魔力も十分に回復している。

 僕は再び雨雲を呼び集めた。


 ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!


「あっ、なんかどんどん経験値が入ってきてる気がする」


 きっとオークが溺れて死に始めたのだろう。

 防壁を登って逃げようとしているオークもいるけれど、図体が大きいためそう簡単には登ることができない。


「……完全に水攻めね」


 シルアが呆れたように呟いた。


「都市を丸ごと使って水攻めするって聞いたときは、さすがに正気を疑ったけど……」


 やがて再び雨脚が弱まってきた頃には、水位は都市の三分の二近くにも及び、もはやすべての建物が水に沈んでしまっていた。


「やつら、全滅したんじゃねぇか……? もうぜんぜん水面に見当たらねぇぞ」

「そうですね。水底に沈んじゃったのかもしれません」


 僕も七回くらいは魔法を覚えた。

 推定で千体いたというオークを全滅させ、相当な経験値が入ってきたようである。


 新しい生活魔法は、以下の七つだ。


〈庭いじり〉〈冷房〉〈草刈り〉〈虫よけ〉〈防火〉〈失せ物探し〉〈消臭〉


 まだ生き残りもいるかもしれないので、しばらくそのまま水を抜かずに放置することに。

 もちろん完全に密閉されているわけではないため、徐々に水位は下がっていき、三日もすればすっかり水が引いてしまった。


「マジでオークどもが死んでやがる……」


 水攻めから三日後。

 都市の様子を確認しに行くと、まだ至るところに水溜まりが残る中、オークの死体が転がっていた。


 念のため警戒しつつ街の奥にまで進んでも、生きているオークは一体もいない。


「お、俺たちが数か月かけても、一向に減らすことができなかったオークどもを……こんなに簡単に……」

「だがこれでいよいよ復興作業に移れるってわけだな!」

「そういや結局、オークどもを統率してるやつは何だったんだろうな? オークキングだって話もあったが……」


 と、そんなやり取りをしているときだった。

 突然、シルアが何かに気づいたように叫んだ。


「っ……気を付けて! そこのオーク、まだ生きてるわ!」

「「「え?」」」


 道端に折り重なるように倒れていたオークの死体の一つだった。

 シルアが言い終わるよりも早く、いきなり身を起こしたかと思うと、こちらに猛烈な速度で躍りかかってきた。


「〈そよ風〉!」

「~~~~ッ!!」


 僕が咄嗟に風を起こして吹き飛ばしていなければ、その豪腕が復興隊の一人を直撃していただろう。


 とはいえ、数体のオークをまとめて吹き飛ばすほどの突風を受けたというのに、数メートルほど宙を舞っただけであっさり地面に着地してしまった。

 なんていう体幹の強さだろう。


「まだ生きてるやつがいやがったのか!?」

「水でニオイが消えてるから気づかなかったぜ……っ!」

「普通のオークよりも一回りは大きいぞ!? しかも毛並みの色が金に近い……っ! まさか、こいつがっ……」


 その生き残りのオークが凄まじい咆哮を轟かせた。


「ブヒイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!!」


 周囲の空気が震え、心なしか地面までもが揺れたような気がした。

 その圧倒的なプレッシャーを前に、精鋭ばかりの復興隊メンバーたちですら射竦められてしまう。


 間違いない。

 オークキングだ。


「こいつは生きてたのね」

「マジか、あの水攻めに耐えやがったなんて……」

「かなり賢いから、上手く乗り切ったのかもしれないね」


 仲間の死体に隠れながら機を伺うなんて、並のオークの知能では不可能な芸当だろう。


「〈火起こし〉!」

「ブヒイイッ!」

「躱された!?」


 僕が放った〈火起こし〉を、オークキングは信じられない反射速度で避けてしまった。

 そのまま再びこちらへ突っ込んでくる。


「しかもデカい上に動きが素早いとかっ!」

「よ、避けろおおおおおっ!」


 突進から繰り出されたオークキングの一撃を、獣人たちがすんでのところで回避する。

 代わりに豪腕は地面に叩きつけられ、蜘蛛の巣状の亀裂と共にクレーターが生じた。


「それになんてパワーだ!?」

「こんなのまともに喰らったら一溜りもねぇぞ!?」


 復興隊の精鋭たちが戦慄する中、オークキングの背後へ果敢に迫る影があった。

 シルアだ。


「ふっ!」


 渾身の斬撃がオークキングの背中に叩き込まれる。

 しかしそれは硬く分厚い皮に阻まれ、ほとんどダメージにならなかった。


「ブヒイッ!」

「~~~~っ!?」


 すかさず身を回転させて反撃したオークキングの豪腕を浴び、シルアが吹き飛ばされた。

 廃墟の壁に叩きつけられ、瓦礫に埋もれてしまう。


「シルア!」

「ブヒイイイイイッ!!」


 容赦なく追撃しようとしたオークキングへ、僕は生活魔法を発動させた。


「〈冷房〉!」


少しでも面白いと思っていただけたら、↓の☆で評価してもらえると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

きねづか
5月8日発売!!!
― 新着の感想 ―
まだ次読む前です… え〜ぇ絶対零度でしょうね。ハイ
〈冷房〉ですか。 「凍った棺」か「極光処刑」か。次回が楽しみです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。