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異世界ぐーたら無双  作者: 空木るが
6章 血捧げの呪印
85/140

85 エルフだけどバインバインだ

 

 汚物な男をゴミ捨て場に放ったあと、レーナたちには、次に行く予定の服屋へ先に行っといてもらうことにした。


 さっきのを見て、そして領主の娘がいるのに絡んでくる馬鹿なんてそうそういないだろうが、また彼女たちが不快な思いをしないとも言いきれないし、あまりトラブルを起こすのもよろしくない。

 ただでさえ建物、壊しちゃってるから、ギルドを出禁にとかされたら困る。


 ただ、親御さんたちから任されている手前、リューリたちと離れるのはかなり気が引けるのだけど……シウカもいるし、ほかにも手練れの騎士が護衛としてついているので、少しくらいなら大丈夫だろう。


 店の場所を知っている騎士が一人残って、私の用事が済んだらそこまで連れていってくれるそうだ。


「トア、これを持っていって」


 やたらと重たい革袋をレーナに手渡される。中身は金貨だった。ギラギラと、強烈なセレブの輝きを放っている。


「修繕費よ。私がいないと侯爵家の請求にはできないから。これだけあればじゅうぶん足りると思うわ。あと、冒険者の登録にも少しお金がかかるから、そこから払って。ちなみに、これは私のために怒ってくれた分のお礼よ」


 ぱちりとウィンクをするレーナに、ありがとうと感謝を伝える。


「それじゃあ、またあとでね」


 彼女たちを乗せた馬車が、通りの向こうへと走り去っていくのを見送ってから、私はギルドへと戻った。


 ようやくの冒険者登録だ――と思ったのだが。


「あなたが、この騒ぎの元凶かしら?」


 再び出入口をくぐった私を出迎えたのは、女の視点でも圧倒されるほどにグラマラスな女性だった。


 しかも、たぶんダークエルフというやつだ。

 褐色の肌に赤紫の瞳を持ち、ゆるくウェーブした白銀の髪を、片側で一つにまとめて胸のほうに垂らしている。


 顔だけでもかなりの美女だけど、何よりボンキュッボンがすぎる。エルフだけどバインバインだ。煽情的で肉感的だ。

 服装もドレス調で、絶妙な露出がある。


「えーっと、まぁ、そうなるのかな」

「私は冒険者ギルド、ロウデン支部のギルドマスター、ネフジェルよ。ちょっと、こっちでお話しましょうか?」


 にっこりと、実に魅力的な笑みを浮かべるネフジェルだが、有無を言わせぬすさまじい圧を感じた。よく見たら目の奥が笑っていない。


 どうでもいいけど、組織の長がこんな夜の蝶みたいな感じでいいのだろうか。強そうではあるけどさ。


 私はそのまま、ギルドの奥へと連行された。

 連れてこられたのはギルドマスターの部屋。


 ほかの職員からも軽く事情は聴いているそうだが、本人の口からも聞きたいということで、詳しい経緯を話す。


「それで、加減を間違えたうえに手からすっぽ抜けてしまってああなった、と」

「うん」


 はぁ、と頭が痛そうに額を押さえるギルドマスター。


「先に手を出してきたのは、あっち。私は正当防衛。あの結果は事故。建物を壊したのは謝るし、ちゃんと修繕費は払うけど、私は悪くないよ」

「いっそ清々しいわね……でも、そうね。今回、あなたに非はないわ。彼が先に手を出したのは確かだし、それ以前に、彼が侮辱したのは領主様の御息女。むしろ、それで済ませてくれたことを感謝すべきでしょうから。修繕費はけっこうよ。事情が事情だから、請求は彼にさせてもらうわ」


 どこのゴミ捨て場に置いてきたのか聞かれたので教える。

 ギルドからそう遠くない場所だ。


「そのままギルド内に置いといてもらえたら面倒もなかったのに」

「本当は肥溜めに沈めてきたかったくらいなんだけど」

「なぜ肥溜めなの……」


 ちなみに、ギルドは冒険者同士のもめ事には基本、不干渉らしい。

 私はまだ冒険者ではないけれど、男の扱いを咎められることはなかった。


「でもあなた、気をつけなさいよ? あの冒険者はそこそこ位階が高かったから大丈夫だったけれど、そうでなければ死んでいたわよ」


 仮に死んでいたとしても処遇に変わりはなかったそうだが。

 そのあたりは、人としての倫理道徳、感情面の話だ。


「そこは私も反省してる。ちゃんと手加減の練習しとくよ」

「そうしてちょうだい。それで、あなたはここに冒険者登録にきたのかしら?」

「うん。魔物素材の買取をしてほしくて」

「なら、ここでしてしまいましょう。――これが登録用の書類よ。ここまでは必須項目、ここからは任意でかまわないわ」


 テーブルの上に書類と一緒に差し出されたペンを手に取って、必須項目を書き込んでいく。

 任意の部分は私にとっては書きにくい項目だったので、書かなくていいのはありがたかった。


 ちなみに、私はこの世界の文字は書けないのだが、普通に書けている。

 というのも、向こうの文字で書こうとすると、手が勝手にこちらの文字をつづっているのだ。


 勝手に翻訳される言葉はともかく、こっちはさすがに気持ち悪い。なにせ、私の意思に反した動きを、手がしているのだから。


 まぁ、文字を習得する必要がなかったのはありがたいけど。


「本来なら簡単な戦闘試験を受けてもらうのだけど、あなたはじゅうぶん基準に達しているから必要ないわ」

「そんなんでいいの? ギルド的に」

「いいのよ。必要のないことに人手を割けるほど、職員も暇じゃないの」


 あけすけすぎるが、冒険者ギルドの運営も大変なんだな。



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