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異世界ぐーたら無双  作者: 空木るが
5章 領主からの招待
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74 ロウデンの町

 

 私たちはずっと休憩しているようなものだけど、騎士たちにも休憩は必要だ。

 ただ歩くだけでも、この森では平地以上に体力を持っていかれるし、やはりと言うべきか魔物との戦闘も多い。


 なので、彼女たちに合わせてこまめに休憩を取りつつも、外へ向かって森の中を順調に進み続け、予定どおり一日ほどで森を抜けた。


 森から少し離れたところに、天幕が三つ張られている。そこには二十人ほどの騎士がいた。それに馬が数頭と、高級そうな馬車が一台、止まっている。


 ロウデンの町から森まではそこそこ距離があるため、シェイヴィたちはここまで馬で来ていた。しかし森の中はとても馬では進めない。なので、ここに置いていったらしい。


 一台ある高級馬車は、私たち用だった。その場で招きに応じてくれることを前提として、あらかじめ用意していたとのことだ。


 移動には、超快適な移動要塞スロースコクーンがあるから馬車なんて必要ないのだけど、わざわざ用意してくれたものに乗らないのはさすがに気が引ける。ので、馬車へ乗り換えることにした。


 この世界に来て、馬車への搭乗はすでに経験済みだが、しかし今回、乗り込んだ馬車は、あのときの馬車とは比べものにならないほど乗り心地がよかった。


 あっちは非合法の荷運び用のオンボロ、こっちは上級貴族の高級馬車なので、比べるのもおこがましいのだろうけど。


 ほとんど揺れないし、座席もクッションがきいている。けっこう快適だ。

 まぁ、スロースコクーンのほうが何百倍も快適だ、というのも、わざわざ言うまでもないだろう。


 シェイヴィたち騎士は馬に跨り、馬車の護衛として周囲を取り囲んでいる。


 それから一時間ほど、のんびり馬車に揺られていると、ふいに窓からシェイヴィが顔を覗かせた。


「みんな、ロウデンの町が見えてきたよ」


 言われ、窓から顔を出してみれば、遠くに立派な城壁が見えた。

 私がプレイしていたゲームでは定番だったし、そこまでの感動はないが、実にファンタジーを感じる。


 門塔も立派なものだ。門番の兵士が立っていたが、侯爵家の馬車だからか特にチェックもなく通り抜け、そのまま町の中へと入っていく。


「トアねえ、人間の、町!」

「うん、そうだね。わかったから、あんまり乗り出さないで、落ちるよ」


 やはりと言うべきか、リューリの興奮ぶりはすさまじく、いまにも窓から飛び出していきそうな彼女の首根っこを捕えて座席へと戻す。


 うずうずそわそわ、押さえていてなお忙しなく体を動かすリューリ。

 ヤエとアルマも同じくらいには町への憧れがあったから、やっぱりそわそわしているけれど、リューリに比べれば大人しいものだ。


 リューリを押さえつつ、私も窓から外を見やる。


 魔法やダンジョンのドロップアイテムなどがあるので、純粋な科学による文明というわけではないが、文明レベルはそこまで低くはない。


 道はきれいに整備されていて土の見える個所のほうが少ないし、道に沿って等間隔に設置されているのは街灯だろう。


 建築技術もそれなりに高く、高層ビルはさすがにないが、五階や六階建ては普通にある。町行く人々の装いも洗練されたものだった。


 やっぱり獣人たちの文明レベルが極端に低かっただけのようだ。格差がひどい。

 まぁ、ずっと森の中で暮らしてきたのなら、それも仕方ないのだろうけどね。


 ◇


 そうこうしているうちに、ウルグレン侯爵家の屋敷へ到着したようだ。


 やはり上級貴族だけあって、とんでもない大豪邸だった。

 屋敷自体も相当なものだが、その敷地が半端なく広い。


 だって、門から屋敷まですごく距離があるのが視覚的にわかる。大きな屋敷だとわかるのに、ここからだと若干、小さく見えるのだ。遠近感がおかしい。


 馬車ごと敷地内へと入り、しばらく走らせて、ようやく屋敷にたどり着いた。


 扉が開かれた先には、上質だと一目でわかる絨毯が敷かれ、その両脇に使用人と思しき男女がずらりと並ぶ。


 そして彼らの作る道の終点に、明らかに身なりや雰囲気の異なる男性と、その半歩ほど後ろにレーナが立っていた。


「やぁ、よく来たね。僕は、この一帯を治めるウルグレン侯爵家当主、エドヴァルド・リック・ウルグレン。君の救ってくれたレーナの父親だよ」


 侯爵様、直々のお出迎えだ。


 落ち着いたダークブロンドの髪は片方だけ自然な形で流され、優しげに細められた瞳は紫紺。色彩はレーナと異なるが、その中世的な顔立ちは一目で親子とわかるくらいによく似ている。


 ぱっと見は若々しく、二十代前半でも通用しそうだが、レーナの歳を考えると三十近く、もしくは超えているはずだ。


 さすが、美少女の父はイケメンだった。乙女ゲームの攻略対象に出てきそう。学園系で新任の教師とかどうだろうか。


「こちらの招待に応じてくれて、本当にありがとう、トアさん」


 なんか〝本当に〟の部分に切実な感情がこもって聞こえたのだけど……お父さんも娘のおてんばぶりに手を焼いてるのかもしれない。


 そういえば、レーナとリューリって本質的に似たとこあるよなぁ。

 ウルグレン侯爵とゼストは、きっと仲良くなれる。



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