表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ぐーたら無双  作者: 空木るが
4章 『暴食』の解放
52/140

52 相当、無茶苦茶なこと言ってる自覚ある?

 

『アレを倒すにハ、内部にアル核を肉体ごと両断すルしかナイ』


 生物である以上、スライムにだって心臓――核は存在する。

 それを破壊されて死なない生物など、中には例外もいるかもしれないが、めったにはいないだろう。


 スライムはそのめったな内には入らない。グラトニア・スライムもだ。邪神の言うことが正しければ、だが。


 とはいえ、通常のスライムならまだしも、小山サイズもあるグラトニア・スライムを両断するなど、とても現実的ではなかった。

 そもそも刃長がまったく足りていないのだし。


『オマエに魔力がアレば、さしテ苦労はなかッタんダろうがナ』


 なんでも、私の持つ、闇オークション会場からがめてきたこの刀も、スロースコクーンなどと同じ魔導機なのだとか。


 魔力を流すことで斬撃が飛ばせたり、伸長させたり、刃が高速振動したりといった機能が搭載されているのだが、私には魔力がないからそれらの機能が使えない、ということだった。


 なんという宝の持ち腐れ。けどまぁ、武装の効果が使えずとも、切れ味も丈夫さも相当なものだから、手放すつもりはさらさらないのだけど。


(その言い方、ほかにも手段はあるんでしょ?)

『あァ。闘気の斬撃でアれバ、可能ダ』

(闘気?)


 新しい単語が出てきて、オウム返しにする。なんだそれ。


『闘気とハ、簡単に言えバ、生命エネルギーに魔素を練り込ンダものダ。生命エネルギーは誰しモが持ッテいるモノ。魔力とハ違い、オマエにも当然アル。魔素もまた、オマエの場合は肉体に吸収さレたり、魔力へと変換さレるコトはナイが、扱うコト自体は可能ダ』

(いやでも、生命エネルギーを持ってて魔素を扱えても、そのままじゃ使えないんでしょ? 練り込んだものとか、さっき言ってたし。というか、生命エネルギーなんて認識すらできてないし、明らかに修行とか必要な力でしょそれ)

『普通はナ。だガ、オマエはすデに、闘気を肉体や武器にまとわセていル』

(は?)


 まったく身に覚えがない。


 だが邪神いわく、スロウス・アーマファオルとの戦いで私が怪我を負う程度で済んだのも、アウルベアブレードが壊れなかったのも、無意識に闘気で強化していたから、らしい。


『そもそもの話。存在位階の上昇は肉体の強度モ上げルガ、ソレだけデハ、権能を用いタ攻撃をアノ程度の傷デ済ませルことナド不可能なのダ』


 スロウス・アーマファオルとは存在位階がそれほど変わらず無意識の闘気プロテクト、悪魔は魔力が潤沢でかなり防御を固めていたうえ、室内ゆえに権能を抑えていたせいで実感が薄いのだろうが、『超強化』の力は本来もっとすさまじいものなのだと、邪神は言った。


『たしカにアノとき、俺がブレードに強化を施しはシタが、いつ砕けテモおかしくはナカッタ。その上からオマエが闘気を被せたカラこそ、最後マデ壊れルことなク倒せタんダ』

(それなら、なんでそのときに教えてくれなかったの)

『訊かれタわけでもナイし、オマエ自身、自覚がナイようダッタからナ。仮にそのときに言ッテいタところデ、何がどうなッタわけデモあるマイ』

(む……たしかに)


 知ったところで、じゃあ意識的に使えるように修行しよう、なんて私にかぎってありえないし。必要に駆られなければ、絶対にない。……いまみたいに。


 そもそもあのときは、ダンジョンを攻略した時点で、元の世界に帰れると信じて疑ってなかったしな。


『ともかく、あとハ、まとわセたソレを放てばイイだけダ』

(あんた、相当、無茶苦茶なこと言ってる自覚ある?)


 これまで無意識で使っていたうえ、飛ばそうと思ってすぐに飛ばせるようなものではないだろう。


『要すルにイメージの具象化なんダ、闘気も魔法も、この世界にオケる非物理現象ハ、すべてナ。より強ク、より深いイメージが現象と化シ、理を書き換えルのダ』


 それがこの世界の真理なのだと、邪神は語る。


『オマエの生への尋常ならざル執着――強い想いト、無意識の身を守ルという強いイメージが、闘気の鎧とナッタ。オマエには、もとヨリそういッタイメージが豊富にあるダロウ?』


 もといたところはサブカル大国だもの。そりゃあ、ゲームやアニメでいろんなイメージを蓄えている。

 まぁ、イメージは無数にあっても、魔力がないから魔法は使えないけど。


(でも、たとえ肉体が斬れたとしても、肝心の核が見つけられなきゃ意味がない)


 あんな巨体、再生する前にすべてを細切れにするなんて無理だ。


『それモ、オマエならそウ難しクはナイはずダ』


 スライムの核は、いわば心臓。生物であれば必ず有している。それによって行われているのが、取り込んだ魔素の、魔力への変換だ。


 ノーマルなスライムであれば体が透き通っているため外からも見えるのだが、グラトニア・スライムはあの大きさと色ゆえに、外からでは視認できない。


 しかし魔素を捉えられる、つまりは視ることのできる私なら、魔素の流れから核を探し出せる、ということだった。

 体内全体にも多少の魔素は含まれているが、核の部分には特に集中して魔素が流れているからと。


 魔素の視認はともかくとしても、闘気なんて使っていた自覚はまったくないわけで、こうして知ったいまでも使える気なんてしないのだけど……それでも、やるしかない。やるしかないのだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ