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異世界ぐーたら無双  作者: 空木るが
3章 獣人の集落
36/140

36 ここだけ何世紀もタイムワープしちゃってるんだけど

 

「宴の用意、する。それまで、ゆっくり、していてくれ」


 ゼストにそう言われ、彼とリューリの家へと案内された。


 長の家とあって一番広く、余裕こそあまりないが、スロースコクーンも問題なく展開できそうだ。

 一応、葉っぱと毛皮で作られたベッドらしきものはあるけど、スロースコクーンが出せるならそれに越したことはない。


 オート走行もあって道中でもだいたいぐーたらしていた私だが、できるならいくらでもぐーたらしていたいのが私だ。

 お言葉に甘え、つかの間のぐーたらを堪能させてもらう。


 私の案内を終えたリューリたちも準備を手伝うようで、元気いっぱいに手を振りながら戻っていった。


 そんな彼女たちを見送ったあと、私はスロースコクーンを展開して中に入り、ぼふんとベッドにダイブする。

 相変わらずの雲のごとき柔らかさに、脳がとろけそうになる。


「あー、しあわせー」

「むー」


 そして当たり前のように、横ではムゥが一緒になってだらけている。


「あんたはいいよね。何を気にすることもなく、ずーっと好きなだけぐーたらできてさ」

「むー」


 知らんがな、みたいな態度が憎たらしい。


 でもまぁ、ムゥには悪魔との戦いのときに助けられてるしな。権能を使えるようにしてくれただけだけど、あのときはその存在すら忘れてたから。


 そうしてしばらくムゥと二人、ベッドに埋もれていたが、ふと気づいた。


「……そういえば、スロースコクーンの機能をちゃんと調べてなかったな」


 檻の中で最初に入ったときは、そこまでの余裕はなかったし、ここまでの道中では、時間こそたくさんあったものの、ダンジョン攻略から闇オークション会場での一連の反動で、必要最低限のこと以外、何もやる気が起きなくて、食事のとき以外はずっとぐーたらしていた。

 何もせずベッドの上で惰眠を貪り、怠惰の極みを尽くしていた。


 もともとコミュ力は低い私である。子供たちが話しかけてきたときはポツポツと答えてはいたが、そんな私の気持ちをすぐに察したらしい彼女たちは、仲間内だけで話すか、一緒になってごろごろするかしていた。


 その歳で空気を読んで気をつかえるなんて、できた子たちである。


 私が同じ年ごろのときはどうだったかなぁ……うん、そうだ。私、そのころから基本ぐーたらしてて、ろくに友達も作らずにいたから、気をつかったりとか、そもそもするような機会なんてなかったのだった。


 とまぁそんな道中だったし、そのリューリたちがいたということもあって、細かい機能の確認はしていなかったのだ。


 いまは私ひとりだし、精神的な余裕もある。いまのうちにちゃんと機能を把握しておこうと思い、操作パネルを適当に触っていく。


「――え?」


 そして、とんでもないものを発見した。

 なんとインターネットが完備されていたのだ!


「いやおかしいでしょ。どうなってんだコレ。なんでこの異世界で、別世界のネットワークとつなげられるの」


 世界観が中世っぽくて目の前には原始レベルの野生人たちがいるのに、ここだけ何世紀もタイムワープしちゃってるんだけど。


 スロースコクーンも大概、中世離れしてはいるが、ここが現実の異世界であることは置いておくとしても、昨今の中世風ファンタジーに多少の科学的要素が入っているのは珍しくもない。

 だがしかし、ネットはさすがにいきすぎだろう。


 とは思ったものの、これは正直、めちゃくちゃ嬉しい。

 向こうのニュースとか情報なんかは別にどうでもいいのだ。こっちにいれば関係ないし。いや、向こうにいてもほとんど関係なかったけど。


 ネットがつながっていて何が嬉しいのかと言えば……


「やっぱりだ! ネット小説もリアルタイムで読める!」


 最高だ。

 続き、気になってるのたくさんあったんだよねぇ。


「――って、噓でしょ!? 動画も見れるの!? これ、私が登録してた動画サイト! アニメも映画も見放題じゃん!」


 それを発見した私のテンションはうなぎのぼりだった。


 でもこの動画サイト、月額料金とられるはずなんだけどな……と訝しく思いつつマイページを見れば、アカウントがなんかよくわからないモノになっている。


「こわっ」


 その不気味さに鳥肌が立ってしまったものの、これもまた非常に嬉しいものだ。

 その気になれば、こっちでも変わらない生活が送れるということだからね。


 細かいことは気にしない。気にしたら負けだ。

 魔法の言葉、ファンタジー。



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― 新着の感想 ―
スロースコクーンは、次世代カーそのものですね。 レイニスさんとセットで、ほしい。ぐーたらし放題(笑)
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