祭り【彼女の能力】
「…アイギス」
「メナーク!?」
アイギスが安心だと分かった九尾はもう姿を消している。
いつの間にかアイギスは白龍に乗ったメナークに抱えられていた。
「またやったな?」
「ごめんなさい…」
昔から彼女はこうだ。
守ろうと思ったものがあれば頑なに守ろうとして自分を顧みない。
「ほら、こいつだろ」
ぽんと手中に投げ込まれたのは、さっき弄ばれていた小さな魔族。
まだ怯えているようだが、優しく抱き締めると少し安心したようだ。
(ありガと)
可愛すぎて飼ってしまいたい…!が、どこかに親がいるのだろう。探してあげないと。
「分かるのか?言葉が」
「うん、聞こえるの。うちの子たちのも聞こえたんだ」
エアの家は動物ファミリーだ。
現在、ポメラニアン1匹、ノルウェージャンフォレストキャット1匹、フレミッシュジャイアント1匹、ジャンガリアンハムスター1匹。大きいのと小さいのしかいない大所帯である。
エアがアイギスとして起きたときは耳が大変だった。
(あー!おきたオきた)
(おねエちゃん!あそブ!)
(聞こえルの?聞こえるノ?)
(スヤー…)
「ふむ…まぁエアんちのは後々眷族にするか。で、どっちだ?」
「あっちかな」
アイギスの指差す方へ白龍を向かわせる。
っていうか、いうか、雅…
「かっこよ…(ボソ)」
「なに?」
「なんでもない!!」
雅のときも黒くて長い髪を結んで流してたけど、今の金髪を結ってるのも王子様っぽい…キラキラしすぎて眩しい。
服装も王子様然としてるし…普段本ばっかり読んでる雅と同一人物なのか分からなくなりそう。
まぁ、木の上で本読んでる雅に落ちてた雛を戻してもらったのが始まりだっけ…何だか懐かしいな。
「この辺が同属っぽいがどうだ?」
「あ、待ってね」
(まマ!)
自分でパタパタとアイギスの胸元から飛び出していって、元気に戻っていったようだ。
(王さマ)
(おウさまダ)
(ありガと)(ありがとウ)
(前とちガうネ)(やさシい)(うレしい)
「ふふっ」
「どうした?」
「前と違って優しい王様だって」
「…そうか」
あ、照れてる。そういうとこがかわいいんだよね。
「さて、そろそろ向かうがいいか」
「うん!」
そろそろお披露目の時間だ――
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