祭り【続序章】
軽い足取りで家々の屋根を駆け回る九尾の上から道端の様子を見ているアイギス。
祭りの主会場となるのは現魔族領と人間領の境にある湖周辺地帯になる。
今、その湖にはほぼ害のない―攻撃力のない―フワフワした鳥のような生物や魔力をほぼ持たないが魔族に属する、動物好きのアイギスからすれば守るべき愛らしい者たちが住んでいる。
エアとして人間でいるときから彼らのことは眺めて微笑ましく見ていたものだ。
(助けテ!)
「!?」
今何か聞こえた気がする。
(誰ヵたすケテ!)
あっちだ!
聞こえた方へ向かうと、1匹雛のような小さい個体がはぐれているのを鬼族が捕まえてボール遊びのように投げているではないか!
「あなたたち!何をしているの!」
怒気の篭もったアイギスの声にも鬼族たちは聞こえないフリをして続けようとしている。
「私を誰だと思っているのです!今代の魔族の妃、アイギス・フォンクレアよ!」
ザワッ…
思わず名乗りを上げてしまったため、周りの視線が全てアイギスに集中する。
あ、やってしまった。今じゃなかった。
瞬間、風が吹いて体が浮き上がる。
強風に思わず皆が目を覆った後にはアイギスの姿も、弄ばれていた魔族の姿ももうなかった。
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