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祭り【the begining】
虹色の光が走る空。
今こそ魔族の祭りの始まりである――
何だかすっかり眠ってしまっていたみたいだ。
ぜんぶ夢だったのかな?
目をこすりながらむくり、と体を起こすとお母さんとアオが慌てたように口をパクパクさせている。
はてな、と首を傾げていたら、「髪!髪!」「目!」やらそれぞれ叫んでいるようだ。
仕方がないので鏡を見てみて出た感想、「―ダレ?」
「父さん」
「ん、どした雅」
「俺、選ばれたわ」
「そうか、頑張れよ」
「ん」
こちらは母親が病で早くに亡くなり父子だけの淡白な会話だけで済んで、虹ばんだ空を見上げる。
今日は俺たちのための日だ。
俺と、エアの。
魔王と妃にはそれぞれ遣える魔物がいる。
代々違う魔物がつくのだが、既に魔王に選ばれている自分になら分かる。
「来い、白龍」
ヒュオ、と風が吹いて渦を巻いたと思ったら既にそこにはそれがいた。
白龍の背に立つと、主人の意が分かるようで動き出す。
さあ、祭りの始まりだ。
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