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第26話 モルガナとの対立

「なんだか私の出番を奪われてしまったようで悲しいですね」

(珍しくクラウスが本気で凹んでいる。そんなにディーラーを自分の手で打ち負かしたかったのかしら)

「運のいいお客様がいらっしゃると伺ったのですが」


 ふと店の奥から深紅の派手ドレスに身を包んだ女性が、姿を見せる。

 化粧も濃く、背中は腰まで露出しており、なんとも品性に欠けたデザインだ。下手したらお尻が見えてしまうではないか。


「失礼だが、君は?」

「この店のオーナー、モルガナと申しますわ」

(彼女がモルガナ!)


 くすんだ栗色の髪に、黒い瞳、整った顔立ちで美人の部類に入るだろう。年齢は二十代後半、堂々とした姿は、この店のオーナーにふさわしい傲慢さを持ち合わせているように感じられた。


「ああ、今日は本当に運がいい。女神の祝福を得られたようだ」

「そう。せっかくなのでカード以外でも楽しんでみません? 何なら奧にBarがあるのでそちらでお話でも」

「いや、せっかく酒を飲むのなら、そちらのお嬢さんとのほうが楽しそうだ」

(わ、私!?)


 唐突に私に視線を向ける魔王様は、私がここに来ることを察していたのかあるいは、単に気まぐれか話に巻き込ませた。

 モルガナは明らかに気分を害したようで、キッと私を睨み付ける。


「まあ、私が地味な小娘に負けるというの? あまり大きな口を叩かないほうがいいわよ。イカサマ師さん。ここはスフェラ領、その伯爵当主の契約書がある私に下手に逆らったらどうなるか分かっているのかしら?」

「どうなるというのかな?」

「どうなるというのかしら?」


 私と魔王様は、同時に同じ言葉を吐いた。

 それが気に入らなかったのか、モルガナは眉をつり上げ「出てきなさい」と叫ぶと、後ろから武装した屈強な男たちが姿を見せる。


(いきなり荒事になるなんて!)


 部下を呼ぶにも品性が欠けていることに、少なからずショックを受けた。あんなのが遠縁にいるなんて恥だ。

「はあ」と溜息を小さく漏らした後、私は一歩前に出た。

 素の私なら怯んでしまうが、今は悪女の仮面を付けているのだ。優雅に口元を綻ばせて、モルガナを見据えた。


「貴女がモルガナね。私のことを知っているかしら?」

「はあ? アンタみたいな生意気な小娘なんか知るわけがないでしょう。どうやって入ったのか知らないけれど、売り飛ばしてやろうかしら?」

「そう。私は貴女の言っていた伯爵の娘であり、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「伯爵の娘? ならあの方がいるはず」

(あの方?)

「どうせ偽物だろう。取り押さえなさい!」


 屈強な男たちが私を取り囲もうとしたけれど、それは叶わなかった。


「ロ」

「お任せあれ!」


 私に手を伸ばした瞬間、ロルフが男を殴り、次々と男たちをなぎ倒す。

 轟ッ、と何人かは壁にぶつかってそのまま失神。


(のおおおおおお! びっくりした!)


 ロルフは屈強な男たちに比べれば細身だが、彼は機械人形(オートマタ)なのだ。一トンぐらいまでなら持ち上げられるだろう。たぶん。


「お嬢、無事か」

「ええ。よくわかったわね」

「あの場なら、自分が出る方がいいだろう。それにあんな男たちにお嬢が触れるなんて、嫌だったからな」

(その口説き文句は、どこで入手したの!?)


 ちょっとときめきそうになったが、私は視線をモルガナに戻す。

 彼女の顔に焦りの色が滲み出る。


「アンタ、本当に……!」

「ああ、挨拶がまだだったわね。レジーナ・フォン・シュルツ・ナイトメア家と言えば分かるかしら?」

「なっ。本物の伯爵の娘!? 暗殺されたんじゃ?」

「ああ、私を暗殺しようとしていた親戚たちから話を聞いていたのかしら?」

「そ、そうよ。でも私はそんなくだらないことに興味は無かったわ。私は無関係よ! それにこの契約書も、貴女の父君から渡されたものなんだから、文句は言わせないわ」


 強気の姿勢を崩さないモルガナに対して、魔王様は欠伸を噛み殺しつつ会話に加わった。


「それは偽造なのだろう。サインも判もよくできているが偽物だ。その証拠に」


 パチン、と指を鳴らした瞬間。

 契約書がその場に現れ一瞬で紅蓮の炎に包まれる。モルガナは悲鳴を上げ、燃えかけている契約書を掴んで火を消そうとするが、その炎はモルガナの両手に移った。


「熱っい、いやあああああああああああああああああああああああああああああ!」

「ふん、本当に伯爵がサインをしたのなら契約書は炎程度では燃えないのだがな。手を離さなければそのまま死ぬぞ」


 魔王様は気だるそうな声で、火だるまになって暴れ狂うモルガナに声をかけたが、彼女には届いていなかった。

 自身が見えているにもかかわらず、すでに灰となった書類をかき集めようと絨毯に触れる。

 その炎は絨毯に燃え移り、数秒で火の勢いが増した。

 普通の炎とは異なるのだろう。火の勢いが思ったよりも激しい。


 既に一般客は屈強な男たちが出てきた段階で、非常口や転移魔法の場所に駆け込んでいた。残っている人は殆どいない。


モルガネ→モルガナに修正しています(((;꒪ꈊ꒪;))):

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