第4話
ガチャ。
「あれ?誰もいねー。
なんだよ、先に着いちゃったのかな。」
屋上のドアを開け、辺りを見渡しながら
戸惑っているたいがに対し、蛇沼が言う。
「ククク、いくら待っても誰も来ないよ。
君を読んだのは僕なんだから。」
「はぁ?お前が呼んだ?
だったら普通に誘えばいいじゃねえか。
なんで変な嘘ついたんだよ。」
「君が僕の誘いに素直に乗ってくるとは
考えづらいからね。
でも女の子の話をすれば乗ってくるような
気がしてね。」
「う、う、そ、そんなことねー!」
恥ずかしそうにたいがが言う。
「実は君に隠していたことがあってさ。」
「隠してたことー?
お、お前まさか彼女ができたとかじゃねーだろーな!」
「ふふ、違うよ。もっと大きなことだよ。」
「お、大きなこと...
な、なんだよ!ドキドキしてきた。」
たいがの頭の中は女性で埋め尽くされていた。
「最近誘拐事件が多発してるじゃん?
実はあの組織のボスって僕なんだよね。」
「は?嘘だろ...」
「本当だよ。君からはなんとなく僕に近い
何かを感じてね。
ずっと近くで見張らせてもらってたんだよ。」
「じゃ、じゃあ、あの時も...」
「うん。ずっと見てたよ。すごい蹴りだったね。」
不気味な笑みを浮かべる蛇沼に対し、たいがは睨みつけて言った。
「なんでこんなことするんだ!」
「うーん。君には関係ないことだよ。
とりあえず重力持ちは後々邪魔になりそうだからね。
ここで君を始末するよ。」
「始末?おいおい調子にのんなよ。
俺に勝てると思ってるのか?」
「ふふ。思ってるよ。」
そう言うと、蛇沼の額に蛇の文字が浮かびあがり、
髪の毛が浮き始めた。
「ひ、額に文字が浮かび上がった。
なんだありゃ...」
動揺を隠せず、たいがは硬直状態になる。
その瞬間、蛇沼がものすごい速度でたいがの
目の前にきた。
指から爪のようなものが飛び出し、
たいがの胸を切り裂いた。
「ぐあああああ!」
たいがそのまま白目をむいて仰向けに倒れた。
薄れゆく意識の中で蛇沼の声が聞こえる。
「僕の毒爪を喰らって今まで生きていたものはいない。
バイバイ。たいがくん。」
たいがの意識は完全に無くなった。