第2話
「あたし、みゆきー。みゆって呼んでね。」
「俺、山口!よろしくな。」
ここは都立起獣高等学校。
入学式後に生徒たちが友達作りを行っている。
席に着き、うつむき加減にたいがは思った。
(俺の苦手な友達作りタイムだ...
どうにもこの笑顔のバラマキ競争が苦手だ。
早くチャイム鳴れ。)
「やあ、こんにちは。」
たいがに話しかけてくる男がいた。
「僕の名前は蛇沼さくや。
友達ができなくて困ってるんだけど
良かったら友達になってくれないかな?」
たいがが応える。
「お、おお。そうか!
困ってるやつを見過ごす訳にはいかねえな。
友達になってやるよ。
吉田たいがだ。よろしくな!」
(やった。友達できた。)
「吉田くんはどこの中学から来たの?」
「ん?おれは○○中だ。蛇沼は?」
(高校生活のスタートは順調だ!)
たいがは思った。
下校前のホームルーム。
「最近、若者を狙った誘拐事件が増えている。
できる限り一人で下校しないように気をつけるように。」
教壇に立っている教師が、生徒たちに向かって言った。
下校途中、たいがは教師の言ったことなど気にせず、
一人で帰っていた。
(誘拐とか俺には無関係だ。
なんたって俺は最強の男だからな。
さて、今日は友達できた記念で一人カラオケでもするか!
1時間歌い放題だ!)
友達できたのに、なぜか一人カラオケである...
「きゃー!!」
どこからか悲鳴が聞こえた。
「なんだ!悲鳴?こっちだ!」
たいがは急いで走った。
「騒ぐな!殺すぞ!」
若い女性が覆面の男に腕を引っ張られ、
車に乗せられようとしている。
「おーい。誘拐は良くないぞー。
犯罪だよー。」
(これって警察の偉い人から感謝状もらえるパターンじゃね?
ニュースになるよな、絶対。
も、もしかして記者会見とかになっちゃったりして)
ニヤけながらたいがは思った。
「なんだ、お前?」
「正義のヒーローだよ。」
「邪魔だ...」
そういうと覆面の男は信じられない速さで
たいがの目の前まで来た。
(え?)
気づいた時には、男の右ストレートが
たいがの顔面を直撃していた。
たいがは住宅の塀に激突した。
「ぐはっ!」
(こ、こいつ強い...
スピードもパワーも普通じゃねー。
ほんとに人間か?
意識を保つのがやっとだ。足に力も入らねー...)
片膝を着き、睨みつけてくるたいがに対して
覆面の男が言った。
「ほー。俺のパンチを喰らってまだ意識があるのか。
常人なら命に関わる威力のはずだがな。
まぁいい。どうせもうまともには動けんだろう。
さあ、早く来い!」
「いやーーー!」
覆面の男はそう言うと、再び女性の腕を掴み
車の中に連れ込もうとした。
「や...やめ..ろ...」
「やめろーーーー!!」
たいがの額に虎の文字が浮かびあがった。




