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怪異少年シリーズ  作者: 山本 六十七
1/1

怪異少年と山彦

ねぇ、最近学校休む人多くない?」

「そうだよな、俺の部活も何人か連絡取れないし…」

放課後の教室で生徒二人が部活をサボって話している。

「もしかして、お化けのせいじゃない?」

「おばけ?そんなのいるわけないだろ」

「そう、お化けはいません…妖怪なら、いますがね…」

「「え?」」




ニュースの時間です

昨日の午後夕方頃市内の私立蓮華高校の教室で、爆発事故が起こりました。付近には爆発の原因と見られるものはなく、原因がわからない状態です。それと同時に同高校に通う生徒2人が行方不明となっており、事故との関連性を調べています。


テレビでそんなことが報道されていた。

「事故じゃなくて事件に決まってるだろ…どうせ()()()()のせいだろ。どうせ2人も生きてないって」

学ランを着たやや髪の長いやや不良っぽい少年が言った。

「生きちゃいないって…はっきり言うねぇ八幡(はちまん)クン」

スーツを着た長身でやや気だるげな顔をした男が言った。

「でも師匠だってそう思ってるだろ?」

「でもわざわざ言うのは不謹慎ってもんだよ」

「お僕みたいな優良生徒が謹慎になるわけないだろ。不謹慎で当然だろ?」

「で、あれ八幡クンの学校だけど授業はあるのかい?」

「運の悪いことに事件が起こったのは空き教室だから学校は普通にあるみたいだぞ、全く先生方もご苦労だよ…」

「それで、その学校にはいつ行くんだい?」

「え?」

時計はもう授業開始時刻の1時間以上後を示していた。


「おい八幡!謹慎明け初日から遅刻とはどういうことだ!」

どうやら学校について最初に行く場所は自分のクラスではなく、生徒指導室のようだった。


「ッてことがあってよぉ~最悪だぜほんと…」

「それは普通にあなたが悪いでしょ」

そう言い切ったのは、長髪のキリッとした印象を受ける少女だった。

(あめの)!お前まで俺に冷たくするのか!遅刻一回で生徒指導はおかしいだろ!」

放課後の部室でそんな話が繰り広げられている

「2時間も遅刻しといてよく言えるわね前科持ちなのに···それにここも部室じゃなくて空き倉庫だし」

「それでも生徒指導はねぇだろ~」

「それだけ先生方に嫌われてるってことなのよ」

入口にでかでかと”オカルト部”と書かれた小さな建物の中でそんな会話が繰り広げられている。

「それで、今日の活動はどうするの部長?」

「おいおい、そんなつまらないこと聞くなよ」

そう言うと八幡は部室の扉へと歩きだし、こう言った

「事件の調査に決まってるだろ!」




「これより先は入れません」

「なんでだよぉぉぉぉぉぉ!」

令の教室前では八幡と警察が言い合っていた。

「逆になんで入れると思ったのよ…」

天野がため息混じりにそう言う。

「なんでだよ!知る権利はどうなったんだ!」

「「公務執行妨害って知ってる?」」

二人が口をそろえて言った

「クソッ!警察に訴えてやる!」

そういって八幡は去って行った。

「相手がその警察だってこと気づいてるのかしら…」



「なんの成果も!!得られませんでした!!」

「知ってるわよ、見てたから」

「覗き見だ!プライバシーの侵害だ!俺の行動は保護されるべきだ!」

「あなたが連れておいて覗き見もプライバシーも何もないわよ、あと知る権利とか言ってた人の発言とは思えないわね」

再び部室でくだらない会話が繰り広げられている。

「もうあきらめたら?それに私はもう帰りたいんだけど?」

「はぁ?なんでだよ、お前がそんなこと言うのは珍しいな」

「だって今日スーパームーンじゃない早く帰って準備したいのよ」

「月見だって?そんな洒落た趣味持ってたのか?」

「月だってオカルトと深いかかわりがあるのよ、そんなことも知らないでオカルト部の部長やってたの?」

「あいにく僕は魔術も占いもやらないからな、そんな月には詳しくないんだよ」

「そう、じゃあ私は帰ってススキの用意をしてくるわ」

「それは十五夜だ」

「ほぼ一緒でしょ、月を見るんだもの」

「よくそんなんでオカルト部の副部長ができたな」



「帰ったぜ、師匠」

「おや、早いじゃないか八幡クン」

「天のやつが月を見るって言って先に帰りやがってさ、それでも帰るの早すぎだよなぁ」

「そうかい?もしかしたらずっと月を見るために仮眠でもしとくんじゃない?」

師匠と呼ばれた男が粘土をこねながら会話している。

「なんだそれ?今更粘土遊びにハマったのか?」

「陶芸って言ってほしいな、八幡クン。陶芸品ってものに興味がわいてね、今その試作品を作ってたんだ。」

「また変な趣味にハマりやがって、俺の周りに一般的な趣味のやつはいないのか?」

「そもそもオカルトが一般的じゃないんだけどね八幡クン。でも、天チャンが月見ってのはちょっと珍しいかもね」

「なんでだ?別に月を見る行為自体は別に珍しくはないだろ。あとよくあったこともない人をチャン付けできるな」

「おいおいオカルト部部長さん天って聞いたらふつうは天鈿女命(アメノウズメノミコト)を連想するでしょ。あ、もしかして、天之手力男(アメノタヂカラオ)派だったかい?」

「両方知らないけど二人目を呼び捨てにしたのは分かった」

そしてチャン付けに関しては触れないようだ。

「二人じゃなくて二柱だよ。神サマだからね。あと天之手力男神は(アメノタヂカラオノカミ)っていうんだけど、ルビの文字数制限で入らなかったんだよ。」

メタい話だった

「それで、八幡クン天岩戸(アマノイワト)隠れって聞いたことないかい?」

「名前はな、だけど内容は知らん」

「しっかりしてくれよオカルト部部長クン。簡単に説明すると天照大御神(アマテラスオオミカミ)が天岩戸に引きこもっちゃって、太陽が出てこなくなったから、天照大御神を外に出すために天鈿女命が舞を舞って天照大御神が興味をそそられて戸をあけた隙を狙って天之手力男神が戸を開けて外に出すって神話さ。だから太陽を見るのは分かるけど月を見るのは珍しいって話さ」

「師匠は何でそんな知識ばっか覚えてるんだよ。」

「僕が知らないのは観測されてないものだけさ、さすがに僕もシュレディンガーの猫の生死は分からないよ」

「でも師匠ならその密室を無理やりこじ開けるんだろ」

「よくわかってるじゃない」

そう言ってろくろを回し始めた。




数時間後部屋の中には粘土のツボが大量に並んでいた。

「いくらなんでも作りすぎじゃないか?」

「僕の知識欲を満たすには、この程度じゃ足りないよ」

「どんな知識欲だよ、強欲すぎるだろ」

「ツボで強欲につなげるとは、さては八幡クンは遊戯王プレイヤーだね」

「確かに俺は決闘者だが、お前が強欲なのは違いないだろ」

「確かにそうだね、でも強欲なツボより天使の施しのほうが強欲だと思わないかい?天使のツボと強欲な施しに改名した方がいいと思わないかい?」

「僕はアナコンダのほうが強欲だと思う」

「おっと、僕は最近のカードは分からないよ、もっと言うと決闘塔までしかわからないよ」

「とんだ化石じゃねーか」

特に伏線のない会話をしていた。

「ところで、もう夜だね、そろそろご飯の時間だね」

「急に話を変えるな、作者がシーン切り替えが下手なのがばれるじゃないか」

「もうバレバレだと思うけどね」

そんなことを話しながら飯を作り始めた





「さぁ、ご飯も食べ終わったし、天チャンのところに行かなくてもいいのかい?」

「は?どうしてだ?俺に惚気話を期待しても無駄だぞ」

「違う違う、そうじゃなくて、八幡クンの学校で事件が起こっただろ?」

「そうだな、それがどうした?」

「まだ気づかないのかい?八幡クンは鈍感キャラじゃないだろうに…」

「もったいぶってないで教えろよ、なんで僕が天のところに行かなくちゃならないんだ?」

「八幡クンは、あの事件の犯人は()()()()のせいだと思ってるんだろう?う?あいつらが起こした事件の現場に()()のある人がいったらどうなると思う?神サマの名前を持ってて、さらに魔術の心得も多少ある人が()()がないわけないだろう?」

どうやら本当にシリアスなシーン切り替えが苦手のようだ。



ここはどこ?

家で月見をしていたところまでは覚えてる。

月見をしながら積み木で遊んでいたはず。

「積み木では遊んではいませんでしたよ…そんな年でもないでしょうに」

目を開けると巨大な倉庫の中に大人の雰囲気を感じる男の人がいた。

しかしその人は足が一本だけだった。

"やまびこ"

オカルト部副部長ならば知っていて当たり前の妖怪だが、まさか本当にいたとは。

「その顔、自分を知ってるって顔ですね?そう、私はあなた方の言うところのイッポンダタラという妖怪です。」

イッポンダタラだった。水木しげる派だったのがばれてしまった。どうやら彼は女神転生派だったらしい。

「なぜ私を、狙ったのですか?人を食べる妖怪ではないですよね?ただ足跡を残すだけだったはず…」

「基本的には人は襲いませんよ。ですが、今日はスーパームーンですよ。妖気が高まってるんです。それに加えて、神の名を持つお方が私の現場に来てくださった、ならば、その方を襲うしかないでしょう?教室を出るときの力加減を誤り、教室を破壊してしまいましたが、それがこんな幸運になるとは…」

「つまり、あなたはあの学校の事件の犯人なの?だとしたらなぜ、二日連続で襲いに来たの?」

「昨日は二十日でしたので、二十日は人を襲ってもよいと許しが出ていますよ」

そうだ、そんな伝承もあった。すっかり忘れていた。wikiにも載ってるのに。

「そういうわけですので、今夜はあなたを食べさせてもらいます。」

「ちょっと待てぇ!」

その声と同時に倉庫の壁が破られた。

そしてその穴から狼男が入ってきた。

しかし、私はその狼男の声を聴いたことがある。

「まさか、八幡君!?」

「天!生きてたか!」

「八幡君、その見た目は」

「説明は後だ!今は目の前のやつを片付けるぞ」

そう言って八幡はイッポンダタラに向かって構えた

「おや、この町にもう一人怪異のお仲間さんがいたとは…しかし、素手で私に挑むつもりですか?」

そう言ってどこからか刀を取り出した

「私は昔鍛冶をやっていましてね、名刀とは言わずとも、普通の刀よりは良いもの作れると自負しています」

「自慢話はどうでもいいさっさとはじめようぜ」

「そうですね、あなたがその気なら…こちらも容赦はしません」

そう言うと同時に刀で八幡に切りかかった。

それを八幡は前傾体勢になりそれをよけカウンターの一撃を食らわせた

「どうした?言うほどの実力でもないんじゃないか?」

「どうやら…私の思っていたよりも強いようですね」

少しえずきながらそう言った

「伊達に師匠に鍛えられてないんでね」

そう言い今度は八幡が仕掛けた。

しかし、それをすんなりと躱されてしまう。

その後もすぐに連続攻撃を仕掛けたが、それも躱されてしまう。

「そんなやみくもに攻撃しても当たりません、よっ!」

と、八幡の一瞬の隙を突きドロップキックを食らわせた。

そして、八幡の体は後方に一気に吹き飛ばされ、壁に激突し、そのまま倒れてしまった

「八幡君!」

そう叫ぶが、返事がない。

「文字通り爆発的な威力の蹴りを食らったのです。波の妖怪でも耐えられませんよ。」

そう言いながら、八幡に近づいていく。

まだ八幡は起きない。

「さぁ、そろそろ終わりにしましょうか、想像以上に苦戦してしまいましたが…もう終わりです。」

そう言いながら刀を振り、八幡の体が真っ二つに…



ならなかった。

むしろ刀のほうが折れていた。

「やっぱり騙されたな、思った通りだ」

切られたはずの八幡が答える。

「なぜ…私の刀はオオカミの体くらい簡単に…」

そういったとき、()()に気づいた

()()()ではない!?」

それは先ほどの毛の生えた獣の体から()()()になっていた。

「あなたは、狼男のはずでは…」

「誰が俺が狼男だって言った?」

にやりと笑いこう続けた。

「俺は()()()()()()()を使えるんだぜ」

「そんな、インチキな!」

「もちろん、その怪異の代表的な能力だけって制約はあるぜ、だけど狼男の変身能力も()()()()の岩の体も有名な力だろ?だけど、吸血鬼は吸血のほうが有名だからより便利な蝙蝠に変身する力は使えないって弱点はあるけどな」

「そんなもの!弱点のうちに入らない!」

そう叫びながら、もういちどドロップキックを放ったが、

「残念、二度目は効かないぜ」

そういった八幡の体はキックを食らった場所が()()()()のように歪んだ。

「残念だが、俺の勝ちだ」

そう言って八幡は敵を連続で殴り始めた。

それは、ひとの、狼の、悪魔の、烏賊の、竜の、オーガの、猿の、岩の腕で殴り飛ばした。

殴り飛ばされたイッポンダタラは灰となって消えてしまった。

「黙ってて悪かったな天…」

「八幡君って熱くなると一人称が俺になるのね」

「そこかよ…もっと気になったこととかないのかよ?」

「じゃあ、その能力について聞こうかしら」

「あ~、これか?これは…」

八幡が言葉に詰まっていると

()()の力によってだよ」

急に背後から声がした。

「師匠!言っていいのかよ!」

「まぁね、もともとスカウトする予定だったし」

「八幡君この方は?」

「俺の師匠だよ」

「どうも、八幡クンの保護者であり師匠の洩矢(もりや) (あかつき)だよ。よろしく」

「天 島風(しまかぜ)です」

「噂は八幡クンから聞いてるよ。それで、率直で悪いけど君組織に入るつもりはないかい?」

「組織とは?」

「簡単に言っちゃえば妖怪バスターズだね。本当はそんな安っぽく言っちゃダメなんだけどね」

「でも私は八幡君みたいな、能力みたいな能力も、ましてや格闘術なんてもってまんよ」

「そこは大丈夫。うちには能力を開花させる女神様がいるからね、もちろん素質がないと能力はもらえないかけどね。スタンドの矢みたいなものだよ」

「その才能が私にあると?」

「そう。君は一回怪異にかかわってしまっている。妖怪退治に行かなくても自衛のために能力を持っていた方がいいよ組織は怪異の被害者を保護することもやってるからね、任務に行きたくなければいかなくてもいい。だけど行く気があるならこっちも助かる。お給料も出るよ。」

「…まぁ、わるくないですね。」

「じゃあ決まりだ。だけど今日は遅い。一旦家に帰りな。」

そう言って暁は帰ろうとしたが、「最後に一つ質問していいですか?」と天が止めた。

「ん?なんだい?」

「あなた何者なんですか?私を簡単にスカウトしようとするということはその組織の中でもかなり上の立場のはずですよね?」

「おっと、勘がいい。だけど、それは企業秘密だ。まぁ、せめて物理学者とだけ名乗っておこうかな。ラララ科学の子だよ」

「はぐらかさないでください」

「無駄だぜ天。師匠は僕にもこんな感じだからな。」

八幡がなだめた。

「そう。八幡クンの言うとおりだよ」

じゃあ明日八幡クンと一緒に家に来てねと言い残し暁は去って行った。

「…すごく変な人だったわね」

「でも実力は確かだぜ、俺も一回も勝ったことがない。というか、師匠がピンチになってるところすら見たことがない。」

「とてもそうは見えないけど…」

「まぁ、気にするだけ疲れるだけだ。諦めろ」

そう言って八幡は帰りだそうとした。

「八幡君」

どうした?と言って八幡が振り返る

「今日は、ありがとう」

八幡は少し驚いた顔をして。

「お前から礼を言われるなんてな…でもまぁ、どういたしまして。」

そう言って二人は帰り始めた。

「ところでどうやって私を見つけたの?」

「まず、お前の家に行くだろ、そこから透明人間になって窓からお前の部屋に侵入して、そこに普通じゃない妖気が漂ってたから狼男になってお前の匂いを追ってここまで来た」

「部屋の庵井を嗅がれたと思うと助けてもらったのにいい気分じゃないわね。どうしようお嫁に行けないわ」

「その割には平気そうだけどな。月が綺麗ですねって言えばいいのか?」

「まさか、冗談」

第一話怪異少年と山彦いかがでしたでしょうか。読んでてお気づきの方もいたかもしれませんが物語シリーズにすごい影響されて作られています。今後は気が向いたら続編が作られると思いますので、もし面白いと思ってくれた方がいたのならハンター×ハンターの連載再開を待つくらいの感覚でお待ちいただけたらと思います。ちなみに八幡のフルネームは八幡 (ひびき)です。余談ですがキャラクターの名前などは艦これのキャラからとっています。駆逐艦が多いということはつまりそういうことです。さらに余談ですが21日のスーパームーンってあるんですかね?もしなかったら別の惑星とか別の宇宙の話だと思ってください。最後に改めて怪異少年シリーズ第一話怪異少年と山彦を読んでいただきありがとうございました。

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