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失意の魔剣士と四人の少女3

「本当に、申し訳ありません……! まさか、お父様のお友達だなんて、思いもしませんでっ……!」


 その後、通されたギルド内の一室で、金髪の少女カーラはそう言って何度も頭を下げた。

 それに、ソファに座った俺は小さく首を振って応える。


「気にするな。なにか事情があるのはわかっている」

「あっ、ありがとうございます……!」


 そう言って、また頭を下げるカーラ。

 真面目な奴だ。

 あの後、リアンナが俺をロベルトの友人だと紹介してくれ、どうにか誤解を解くことができた。


 そして、そのままギルドの中へと通されたのだ。


(しかし……本当に、どうしたのだろうな)


 だが、そんなギルドの中は静まり返り、まるで廃墟のようだ。

 何があったのか知りたいが、それより先に、俺は彼女たちの関係が気になった。


「一つ、聞いていいだろうか。今、お父様、と言ったな。君たちは、ロベルトの娘なのか? リアンナ以外に子供がいたなど、聞いたことがないが」

「うん、おじさん。実は彼女たちは、養子なの。みんなこの数年のうちにお父さんが連れてきて、私の姉妹になったのよ」


 その疑問に、リアンナが答えてくれた。

 なんと、養子とは。

 冒険に出た先で見つけたみなしごを、引き取ってきたというのか?


 ロベルトは良い奴だったが、まさかそんな事までやっていたとは。


「みんなを紹介するね。そっちの、赤い髪の子がヴィル」


 とリアンナが言うと、俺の向かいのソファに座り、わしゃわしゃとタオルで髪を拭いていたそいつがニカッと笑った。


「さっきは殴りかかってごめん! 俺、ヴィル! 北部の生まれ! 村がドラゴンに焼かれて一人で生活してたところを、ロベルトさんに拾ってもらったんだ! よろしく!」


 なるほど、北部の蛮族の生まれか。納得した。

 あの地方の奴らは、話す前に殴りかかってくる。

 こいつが乱暴者なのも頷ける。


 なら、こいつのことは人間ではなく野生動物だと思っておいた方がいいだろう。

 そう、まさにイノシシやクマのような。

 などと失礼なことを考えていると、そこでヴィルが、じっと俺の顔を見ているのに気づいた。


「……? なんだ?」

「いや、別に。……へへ。あんた、さっきは悪者顔だと思ったけど。よく見ると、かっこいいね!」


 そう言って、ヴィルはわずかに頬を染めた。

 ……何を言ってるんだ、こいつは。

 すると、隣で話を聞いていたリアンナが、そこでぐっと目を吊り上げた。


「ちょっと、ヴィル! おじさんに色目を使ったら、いくらあなたでも許さないからね!」


 こいつもこいつで、何を言っているのだか。


「あっ、ええと……こほん。そこの金髪の子は、カーラ。私たちの中では、一番年上なの」

「カーラですわ。父ロベルトが大変お世話になったそうで、娘としてお礼申し上げます」


 そう言うと、金髪の少女カーラは優雅な動作で一礼してみせた。

 先ほどは、目を吊り上げて怒っていたのでわからなかったが、こうしてみると、カーラにはどことなく気品がある。


 どこか良家の育ちなのだろうか、と思い、そこでふとある考えに思い至った。


(そうか。この娘、ハーフエルフか)


 ハーフエルフとは、人間とエルフの間に生まれた子のことを言う。

 金持ちが、自分の家系に美しさと長寿を取り込もうと、(さら)われてきたエルフとの間に子を作ることがあるのだ。


 そうして生まれてきた子は、美しくはあるが、しかし寿命は人間と変わらないのだという。

 そういう出自であるから、忌まわしい存在として扱われ、両種族から嫌われることが多い。


 そのような理由で、ハーフエルフの人生は、困難なものになりやすいのだという。

 彼女にも、ロベルトに保護されたということは、何らかの苦労があったのかもしれないが、それを安易に口に出すほど俺も愚かではない。


「最後に、後ろにいるのがリン。私たちの、末っ子なのよ」


 最後の一人、栗色の髪をした少女をリアンナがそう紹介してくれ、そちらへと視線を向ける。

 部屋の入り口でびくびくしているその姿を改めて観察すると、リンは動物の耳だけでなく、尻に長い尻尾をつけていた。


 その形状から、おそらく犬系の獣人だ。

 獣人にはいろんな系統がいるが、犬系は特に多い。

 そして獣人は優れた戦士であることが多いが……この様子では、リンは戦いになど向いていないだろう。


 そんなことを考えていると、俺の視線に気付いたリンが、ビクっと身をすくめた。


「ひっ……!」

「……ごめんなさい、おじさん。リンは、とびきり臆病なの。許してあげて」

「ああ。じろじろ見て、すまなかったな」


 そう応え、俺はリンからそっと視線を逸らした。

 獣人は立派な一つの種族なのだが、長く『人間のなりそこない』と呼ばれ、迫害を受けてきた歴史がある。


 奴隷にされたり、国ごと滅ぼされたり。

 この少女も、何か辛い経験があるのだろう。

 ……しかし、妙な姉妹もいたものだ。蛮族にハーフエルフに獣人とは。


 ロベルトめ、懐が深いにもほどがあるぞ。

 それを姉妹として受け入れるリアンナも、大したものだが。


「……それで。失礼ですが、そろそろあなた様のお名前をうかがっても?」


 そこでカーラがそう口を挟み、俺はまだ自分が名乗っていないことを思い出した。

 なので姿勢を正し、改めて名乗る。


「これは失礼した。俺の名は、イングウェイ。ロベルトとは、古い友人だ。よろしく頼む」

「えっ!?」


 そのとたん、縮み上がっていたリンが顔を上げ、大きな声を上げた。

 何事かと驚いていると、リンはフルフルと震え、俺の顔を見つめながら言う。


「いっ、いっ、いっ……イングウェイ、さん、って……。もっ、もっ、もしかして、あのっ。さっ、最強の冒険者チーム【ブレイバー】の、イングウェイさんっ……!?」

「あ、ああ。まあな」


「っ……!」


 俺がそう答えると、リンは大きく目を見開き、やがてドタドタと部屋を飛び出して行ってしまった。

 何事だ、と驚いていると、リンはなにかを手にすぐに戻ってきて、それを俺に突き出してくる。


「あっ……あの! さっ、さっ……サイン、くださいっ……!」

「……」


 それは、紙と羽ペンだった。

 ……サイン、ときたか。

 俺が面食らっていると、リアンナが補足を入れてくれた。


「ごめんなさい、おじさん。リアンナは、ブレイバーの皆さんの大ファンなの。吟遊詩人の歌やお父さんの話を、いつも嬉しそうに聞いていたのよ」

「……なるほどな」


 ブレイバーの名は大陸中に知れ渡っていたから、今までもファンだという人々と出会ったことはある。

 まあ、人気があるのは主にアルとデリングで、人づきあいが苦手な俺とアニは、彼らが楽しそうにしているのをいつも遠巻きに見ているだけだったが。


「すまんが、サインなんてものは書いたことがないから勘弁してくれ。それと、どんな武勇伝を聞いたのかは知らんが、それはおそらく脚色されたものだぞ」

「えっ!?」


 俺がそう言うと、リンは酷く傷ついた顔をし、プルプルと震えながら言った。


「じゃっ、じゃあ、北方でいくつもの街を滅ぼした、悪竜デオリスの首を()ねたっていうのは、嘘なんですかっ!?」

「いや、それは本当だ。あのろくでもない竜には、確かに俺がとどめをくれてやった」


「西方で巨人の軍勢を薙ぎ払ったというのは!?」

「薙ぎ払った、と言っていいのかはわからんが、俺一人で100体以上は斬ったな」


「……邪妖精の王が率いる軍勢を、四人で壊滅させたっていうのは……?」

「それも本当だ。あのクズの、幻覚作用がある鱗粉には本当に苦労させられた」

「全部本当じゃありませんの!?」


 横で話を聞いていたカーラが、ついにたまりかねた様子でツッコミを入れてくる。

いや、あったことは事実でも、伝わっている話は派手に脚色されていることが多いんだ。


 俺はそう説明を入れたが、リンの耳には届いていないようだ。

 彼女は自分の世界に入り込んだ様子で、キラキラと目を輝かせて呟いている。


「やっぱり、私が聞いた話は本当だったんだ……。ブレイバーの切り込み隊長、【黒き閃光】のイングウェイの伝説は本当だったんだぁ……!」

「……」


 黒き閃光、というのは俺の数多ある二つ名の一つだ。

 俺が黒目に黒髪で、さらに黒い鎧を着こんで戦っていたことから、つけられたものらしい。


 もちろん、自分で名乗ったものではない。

 誰が好き好んで名乗るものか、黒き閃光などと。恥ずかしい。

 むっつりとした顔でそんなことを考えていると、そこでリアンナが、俺の足を見つめながら言った。


「それで、おじさん。今日は、どうして一人で? ……その足は、もしかして……」

「ああ。実は、膝にメテオを受けてしまってな。足を悪くして、引退したんだ」


「……メテオ……?」


 俺ができるだけ軽くそう言うと、カーラが不思議そうな声を上げた。

 メテオは、失われたとされている魔法だ。

 その名前知らなくても当然だろう。


「それで、できればロベルトに雇ってもらえないかと思って、やって来たんだが……彼は?」

「……うん。お父さんは、三カ月前に他界したわ。急に苦しみだしたと思ったら、倒れて、そのまま……」


 リアンナはそう言うと、悲しそうにそっと顔を伏せた。

 そうか……。

 やはり、ロベルトは亡くなっていたか。


「聞いていいのかはわからんが……死因は?」

「毒だよ、毒! ロベルトさんは、敵に毒を盛られたんだよ! だって、顔が真っ青だったもん!」


 リアンナを気遣いながらもそう聞くと、ヴィルが勢いよく立ち上がり、怒った声で言う。

 ……毒だと?


 ロベルトは、腕のいい冒険者だった。

 そして、熟練の冒険者というものは、毒に対する警戒心や耐性が強く、そう簡単には食らったりしないものだ。


 ロベルトほどの男が毒に気付かないとは、思い難いのだが。

 そこで、俺はふと、以前聞いた、とある暗殺組織の噂を思い出した。

 そいつらは高額の報酬と引き換えに、無味無臭の毒を使いターゲットを確実に殺すのだという。


 名前は確か……【血の晩餐会(ブラッド・ディナー)】。


「……ロベルトが殺されたのだとして、相手に心当たりはあるのか?」

「ありますわ。父は、ロベルトはちょうど、とあるギルドと揉めていたのです。【正当なる金貨】というギルドと」


 【正当なる金貨】。

 聞いた名だ。それも、ついさっき。

 そう、ヴィルが喧嘩をしていた三人組。あいつらが、去り際に言っていた名だ。


「【正当なる金貨】は、比較的新しくできたギルドなのですが、一気に勢力を拡大し、瞬く間にこの街の最大手となったのですわ。ですが……」

「い、いろいろ、良くない噂があるんです。街の人たちからお金をせびり取ったり、違法の薬物を取り扱ったりしてて、ほとんどマフィアだって……」


「……なるほどな」


 冒険者ギルドとはすなわち、武装した戦力を持つ組織であり、それゆえ暴力を背景に、必要以上の権力を持つことがある。

 依然立ち寄った街では、冒険者を名乗るクズどもの集団に、街そのものが牛耳られていたことがあった。


 おそらくそれと同じことが、この街でも起きているのだろう。


「それで、お父さんは【正当なる金貨】は怪しいって、街のためにいろいろと調べていたらしいの」

「そこで急に倒れたんだよ。間違いない。絶対、あいつらのせいだ!」


 四人がそれぞれ説明を入れてくれて、ようやく事態が飲み込めた。

 今の話を聞いた限りでは、悪徳ギルドに立てついたロベルトが消されてしまった、と考えるのも無理はない。


 だが、それはあくまで四人の主観による話で、詳しくは調べてみる必要があるだろうが。


「話は分かったが、残りのギルドメンバーはどうした。なんでお前たち四人だけが残っている?」

「……残りの皆は……辞めてしまったの。最初は皆で仇を討とうって言ってくれてたんだけど、ギルドにお金がないとわかると、いろいろと理由をつけて……」


「金がない、だと? このギルドは、金に困っていたのか?」

「ううん、経営は順調なはずだったんだけど、お父さんが死んだ後、あちこちから心当たりのない借金が出てきて……」


「そんなはずはない、と役所には訴え出たのですが、契約書は本物だの一点張りで相手にしてもらえなくて。ついにはこのギルドハウスまで差し押さえられてしまいましたの……」


 ……なるほどな。どうやらこいつらは、完全にハメられたらしい。

 そこまで手が回っているとなると、役所にも仲間がいるのかもしれない。

 【正当なる金貨】が本当に黒幕なのだとしたら、奴らは予想以上に力を持っているようだ。


「くそっ、どいつもこいつも、薄情だ! 世話になったロベルトさんの仇も討たないで、大人のくせに逃げ出して……!」


 そこでヴィルが、怒りの籠もった声を漏らす。

 こいつからしてみたら、仲間だと思っていた大人たちに裏切られた気分なのだろう。


 こいつが俺のことを妙に疑ってかかったのも、大人が信じられなくなっていたからか。

 だが、それは仕方ないことではある。


 冒険者とは、危険を冒す見返りに、多額の稼ぎを期待するものだ。

 金がないギルドのために命をかけられなくても、無理のないこと。


「それで? お前たちは、差し押さえられたギルドに残って、何をしている」

「なにって、決まってるじゃないか! 【正当なる金貨】のやつらとテッテーコーセンして、倒してやるんだ!」


「倒す、だと? どうやって」

「えっ、そ、それは……」


 俺がそう聞くと、ヴィルは黙り込んでしまった。

 どうも、具体的な計画はないらしい。

 なんとも行き当たりばったりな奴だ。


「マーケットでやりあっていたのは、奴らの邪魔をするためか。馬鹿な、あんなことをしていたら、奴らの怒りを買うだけだぞ」

「うっ……。で、でも……」


 おそらく、今はこいつらが子供で何かできるわけがないと、泳がせているだけだろう。

 だが、本格的に邪魔になれば、間違いなく排除に来る。


 その前に、こいつらを逃がしてやるべきだろう。


「悪いことは言わん。馬鹿なことはやめて、これからのことを考えろ。行き場所がないのなら、俺が用意しよう。この街では危険なら、他に連れて行ってやる。だから、もう復讐なんてよせ。ロベルトも、きっとそう言うはずだ」


 そう、ロベルトならば、娘たちを危険な目になど合わせたくないはずだ。

 そう説き伏せようとしたの、だが。

 しかし、ヴィルは目元に涙をたたえ、俺を睨みつけながらこう言った。


「……いっ、嫌だ……。この、街は、俺たちの街なんだっ! 俺たちが、守るんだ! 悪いギルドをぶっ潰して、俺たちのギルドを立て直して、神々の尖塔の中で【聖杯】を手に入れて! ロベルトさんを、生き返らせるんだあああっ!!」

「……なに?」


 予想外の言葉に、思わず驚きの言葉が漏れる。

 聖杯、だと?

 それは、神々の尖塔の中でごくまれに見つかる、使用者の願いを叶えてくれると言われる魔具だ。


 とはいえ、長い間発見の報告はなく、ただの伝説で実在はしないと言われるほどの品だ。

 それを手に入れ、ロベルトを生き返らせる、だと?


「馬鹿、ヴィル! それは誰にも秘密だって言ったでしょ!」

「あっ……!」


 慌てた様子のカーラが言い、ヴィルがしまったとばかりに口をふさぐ。

 馬鹿め、言ってしまってからふさいでどうする。


「本気か? 死者の復活は、魔術ではなく、魔法の域だ。それでも死者を蘇生できたという、信用に足る話は一つもない。いくら伝説の聖杯とて、それだけの力を持っているとは思えんぞ」


 魔術と魔法は、違うものだ。

 今日、広く使われている魔術とは、体内の魔力を有効に使うための術のことを言う。


 それに対して、魔法とは、この世界を作り上げている要素──時間、空間、生や死といった、世界を世界たらしめる【グレート・ルール】と呼ばれる概念に、魔力で干渉する力のことを言う。


 リッチ・キングが使ったメテオは、そのうちの一つである空間を操り、隕石の存在する場所へと繋げる魔法だった。

 もちろんそれは、本来ならあり得ない現象である。


 そのように都合よくルールを捻じ曲げ、ありえないことを引き起こすのが、魔法。

 魔力を持って、(ルール)を曲げる──ゆえに、魔法というわけだ。


 だが、人一人の魔力でそのようなこと、簡単にできることではない。

 使えば、莫大な対価を求められる。

 それゆえ、やがて魔法は廃れ、今日ではルールの中で魔力を適切に運用する、魔術こそが主流となったのである。


「……愚かなことを、とお思いかもしれません。ですが、私たちは、大恩ある父になにも恩返しできぬまま、別れることになってしまったのです。もう私たちにできることは、これぐらいなのです」


「わっ、私、お父さんに、命を、助けてもらった……。お父さん、獣人の私の、お父さんになってくれた。なのに、わっ、私たちまで諦めたら……そんなの悲しいですっ……!」


尖塔(スピア)に入れるのは、認められたギルドに所属する人間だけ。私たちにできる手段は、【正当なる金貨】の悪事を暴き、ギルドを復活させることだけなの」


 カーラとリンが、口々に言う。

 リアンナも、そう言って真面目な顔でこちらを見つめている。

 だが、こいつらも、本当はわかっているのだろう。


 そんなことは、自分たちだけでは不可能だと。

 それでも、ロベルトへの恩義と愛情ゆえに、あえて無理を通そうとしているのだ。


 こんな、年端もゆかぬ少女たちが。


(愛されていたのだな。ロベルト)


 どさっとソファに倒れ込み、考える。

 本来、俺の立場ならば、馬鹿なことはやめろと諭して、諦めさせるべきだろう。

 だが、大事な人を甦らせたいというリアンナたちの気持ちは、俺にも痛いほどわかる。


 俺とて、冒険の旅の途中で、大事な友人や守りたかった人々を大勢亡くしている。

 もし彼らを助けられるのならば、と考えたことも一度や二度ではない。


 ならば。俺のすべきことは、彼女たちの目標を否定することではなく、叶えられるよう力になることではないのか?

 そう、それが、どれほど無謀で困難な道だとしても。


 そこを征く者のことこそを、冒険者と呼ぶのだから。


「──わかった。ならば、俺もできる限り力になろう」

「えっ!?」


 俺がそう言って立ち上がると、予想外だったのか、四人が一斉に驚いた表情を浮かべた。

 そして、俺を見上げているリアンナに、俺はこう尋ねる。


「まずは、情報を集めたい。すまないが、ロベルトの部屋を見せてくれないか?」

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