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パニック関連

寒冷化によって生きる場所を失ったら人は何をするのだろう

作者: よぎそーと
掲載日:2022/09/24

 薄い太陽がわずかばかりの陽光を照らしてくる。

 その光がもたらすかすかな温かさ。

 それをほんの少しでも得ようと、誰もが外に出ていた。

 薄暗い昼の時間に。



 世界全体を雲が覆うようになってどれくらいだろうか。

 陽光を遮断するそれは、世界的な寒冷化をもたらしていった。

 寒冷地では例年以上に雪が降った。

 その雪は、薄暗い夏の間、溶ける事もなく残った。

 そして、冬に再び降った雪が、大地を白く染めていく。



 雪によって陽光が遮断されていく。

 気温もあがらず、更に寒冷化が進む。

 寒冷地は拡大していった。



 かつての温暖な地域は冷気に覆われていった。

 農作物もまともに育たなくなった。

 迎えた食料危機は、全世界を巻き込んだ戦争に発展した。

 政治的な野望による侵略ではない。

 生存をかけた殺し合いだ。



 人口は激減した。

 減少した農産物の収穫量でまかなえるほどに。

 それでも人は、争いによって生まれた恨みと憎しみに駆り立てられた。

 人口は更に減った。



 やがて、これ以上の騒動に意味が見いだせなくなった頃。

 人は自然と争うことをやめた。

 それだけの元気もなかった。



 ただひたすら陽光を求めた。

 薄暗い昼に与えられる、かすかな温もりを。

 あるかないかなど分からないほどか細いそれを、人はこぞって望んだ。



 しかし、よりいっそう色濃く空を覆う雲は、人々と太陽の間を遮る。

 決して壊せぬ壁のように。



 そうした土地を捨てて、多くの人がかつては赤道直下を目指した。

 あらたに温帯となった場所を。

 当然、先住者との間に争いが起こった。

 分け与えることが出来る土地など無いのだ。

 その奪い合いもまた戦争の原因になった。



 その戦争が終わり、押し寄せた者は渋々ながら来た道を戻った。

 暖かな場所に住む事は出来ないと悟って。



 それでも時に人は赤道直下をめざす。

 かなわぬまでも陽光を全身にあびようと。

 あるいは、穏やかな温かさを奪おうと。

 行けば争いになるのは分かっていてもだ。



 どうせ失うものはない。

 そこまで追い詰められた者達である。

 死んでもかまわないと開き直っていた。

 少しでも温かさを感じて死ねるなら、その方がマシだとすら思っていた。



 赤道直下の地帯は、そうした者達に常に脅かされていた。

 倒しても倒してもやってくる襲撃者。

 それらを撃退して自分たちの居場所を守っていた。



 彼らもギリギリの生活をしてるのだ。

 情けで食料は分けているが、それとて限界がある。

 その情けを踏みにじって攻め込んでくる者達に容赦はしなかった。



 それが当たり前になっていた。

 良く起こる現象になっていた。

 薄明かりが照らす世界で、人々は殺し合いを余儀なくされていた。

 太陽が隠れた日から。



 再び太陽が顔を出すまで、この状況は続くだろう。

 そんな日が訪れるのかどうかも分からぬままに。

 ただ、生きのびるために人は殺し合いを続けていく。

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