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幽(かそけ)き旅行後記  作者: junjohnjean
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第五話 ー ネパール(2)


ネパール(2) ー


 翌日は、昨日出会った同室の日本人と中心街を散歩する。古ぼけた家屋が立ち並ぶ通りを歩いていると寺院がそこかしこにある。ヒンズー教の寺院と思われるが壁に複数の木彫りの男女像が仲むつまじく何も隠さず裸で抱き合っているのを見ると、この国はなんて開放的なのだろうと感嘆する。


 散歩をし終わって同室の彼は大麻を吸い出す。大麻はヒッピーが多く集まった60年代、公認されていたが、70年代には公的に禁止されていた。

 「おい、大丈夫か、昼間っぱから?」と問うと、彼は「何、平気さ、警官も吸ってるから」と言う。確かに、日中、警官が眠たそうな目を擦りながら街を歩いているのを幾度か見掛けた。


挿絵(By みてみん) 

撮影年不詳 ー 1976年当時の面影を残す通り


 数日後、在ネパール日本大使館から日本人観光客にお知らせとあって、「昨日、登山口に一人で向かっていた日本人女性が山で追いはぎに遭い殺害されました」と注意喚起。「なんで又、女性一人で?」と私は訝しがったが、身ぐるみ剥がされ裸死体で道路脇にあったそうだ。土地感覚がなければ、あるいは、見知らぬ土地では何が起こるかわからない。


 5日程して、私はネパール人経営のレストランにゆく。「そば」があったので、喜んで注文したのだが、何か味がおかしいと感じるものの、思い返して「これがネパールの味だ」と全部、食べた。その直後、下痢に悩まされる。まさか腐っているものを食べさせるとは思ってもみない。眠りに就いている時に急に便意を催して、とにかく気が付いた時にはもう遅い! 同室の相棒は大層心配してくれて、私一人のほうが楽であろうと気を利かし、「何かあったら呼んでくれな」と言い残して、当ホテルで会った彼の旧友の部屋に移り替わる。それにしても持参の正露丸を服用すると効果てき面だ。回復に安堵の胸を撫で下ろす。しかし、その後、数か月に亘って下痢に悩まされ続けようとは!


 インドからやって来た日本人の旅行者に出会って、これからインドへ行くと伝えると、「インドは今、40度を超える暑さだよ。どこへ行くか知らないけど、6月はモンスーン。その直前は気温が下がるのでその時が移動にいいんじゃないか」と教えてくれる。


 インドの首都ニューデリーに飛行機で向かったのは5月中旬に入って間もない頃だった。



補注 : 2002年、世界の国一覧表(外務省編集協力)がインドの首都名をニューデリーからデリーと修正したのを期に、教科書類もニューデリーからデリーに改められ、現在ではデリーが首都と教育されています。(平凡社地図出版から一部引用) 


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― 新着の感想 ―
[一言] 開放的な国、それでもやっぱり、知らない土地では注意しないと危険という、海外旅行の両面を感じました。 写真、カトマンズ市内ですか? 舗装されていない道。両脇に古そうな建物と比較的新しく5~6…
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