作戦会議②
「えっと、ちょうど今からこのテーブルの上の物を一つ一つ調べる所だったんだ。一応、この図書室にあった物と地下の資料保管庫からめぼしいものを持ってきて積み上げた所なんだ。あと僕が考えたのは、テマ叔父さんの腕輪には塔の絵がほられているでしょ。だから、秘密の宝物庫の鍵か何かなんじゃないかなって思ってるんだけど」
「私のこれが?」
「うん、これはあくまでも僕の推測にすぎないんだけどね。僕にもまだ全然わからないんだ」
テリーが言い終わると、みんなは目の前の山積みになっている資料の山に視線を向けた。
「でもすごい量ね、普通の速さで読んでいたら全部読み終えるまで何年もかかるんじゃないかな」
フェルがいうと、シャリーが言った。
「だから私やジャンニまで呼ばれたってわけね、さすが栞ちゃんね。よくここのメンバーが瞬読が得意だと覚えていたわね。ビルさんやテマソンは知らないけど、ビンセント家の人間は瞬読は子どもの頃に鍛えられるから取得済みなのよね。私も偶然習ってできるけど。ママンの為なら私達にできることなら喜んで手伝わせてもらうわよ、ねえジャンニ」
「ああ、フレッドやエンリーくんは忙しいが、私やビルは暇を持て余しているしね」
「でもジャンニお父様、ビルお父様もパパもせっかくの旅行なのに呼び戻しちゃってごめんなさい」
「いいってことよ何かあれば協力するのがファミリーだからね」
ビルの言葉に栄治ジャンニも頷いていた。
「栞ちゃんは今や私達ファミリーの統率者ね」
「あらシャリーママ、桜木ファミリーのならまだ世代交代はしていませんわ。昔も今も影の統率者は碧華ママよ」
栞は笑顔でいうとテマソンは驚いていった。
「ちょっと待って、全部碧華の指示だっていうの?」
「はい、実はママ、ヴィクトリアおばあ様が足を怪我なさってからずっと元気なかったでしょ。それでね見舞いに来た時に感じたんですって」
「何を?」
「ヴィクトリアおばあ様の影のテレーズさんが悲しそうにしている所をですよ」
「なんですって!テレーズママがママンの影ですって?」
「ええ、ママがいうのには、ママンももう95歳でしょ、ママンの影としてママンに憑りついていたテレーズさんが、ずっと探していたものがあるみたいだって感じたんですって。だけどどうしても見つけることができないみたいね。ないないって言っているような気がするってママがいってたわ。ママ結構霊感あるでしょ。どうしても探してあげたいっていうんだけど、それが何なのかはわからないっていうのよ。だけど探していないのはどうやらその秘密の宝物庫だけらしいわ。一つだけわかったのは、それをレイモンドがアーメルナがいなくなってすぐに隠してしまったみたいっていうのは感じたっていっていたわ。それをもう一度この目でみたいらしいのよ」
「ねえ、それならテマソンはレイモンドの記憶があるんでしょ。わからないの?その部屋のありかやその探し物」
シャリーがいうとテマソンはさらに眉間にしわをよせて考え込んだ。
「そんなこといってもねえ・・・実はレイモンドとしての記憶があるのはアーメルナがいなくなるまでしかないのよ。その後どんな人生を送ったのかは私も気になってこの城の資料を調べたんだけど、どういうわけか一冊もでてこなかったわ。レイモンドが書き記したものはね」
「そうなの?」
「あの~その秘密の部屋って何があるの?」
聞いたのはフェルだった。
「さあ・・・」
「たぶんですけど、お金では買えないその人達に取っての宝物だと思う」
テリーは昨日この部屋でみた夢の言葉を思い出していたのだ。
「なんだ、金銀財宝じゃないんだ」
がっかりしているフェルにフレッドが言った。
「だけどなフェル、興味がわいてこないか?何百年も前のこの城の城主だった人達だ、金銀財宝なんて山ほど手にしてきただろうけれど、生涯でたった一つの宝物ってなんだったんだろうな」
「そう言われてみればそうだね。私も捜して見たくなってきた」
「フェルちゃんもありがとうね、私やパパは戦力外だろうけど、その他のみんなは頼りにしてるわよ。特にエンリー、フレッド兄さん、テマソン先生は古代文字で書かれている書籍なんかあったらそっちを解読して、それで面白い内容がでてきたら、この付箋を貼っておいて、後でもしかしたらグラニエ城祭で特別室を作ってグラニエ城の歴史を展示するかもしれないから。紙ができてからの時代のしかできないけど、それでもかなり古い時代の物もあると思うから。ここにあるもの以外にも書庫の奥には更にあるから、時間の許す限り自由に発掘してくれていいから、ヴィクトリアおばあ様とリリーママの許可はとってるから」
「了解」