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行方不明捜索②

ライフを中心に宝物庫の別の入り口の捜索を開始した頃、図書室では今まで調べていなかった本棚の中にママンの父親であるマークス・レヴァント氏の日誌をエンリーが発見していた。


「兄さん、これヴィクトリアおばあ様のお父様の名前ですよ」

「何、何か書いてないか?」


エンリーがパラパラとめくり読むと、気にかかる文面があった。


「この部分を見てください」


エンリーが開いた場所は日誌の最後のページだった。


(最後にご先祖様への懺悔を記す


私は、宝物庫の存在を未来の後継者に残すことを断念する。

孫がとらわれ、あの場所に入り浸る行為を私は禁止し、記憶を消すことにした。

あの場所は危険な場所だ、神に魅入られてしまっては我がレヴァント家の存続にかかわってくる。もう手遅れかも知れぬが、一縷の望みを我が忠実な家臣サルジュに託すことにする。いつか、リリーの子どもに男子が誕生したならば、あるいは我がレヴァント家の未来も続いてゆくかもしれないからだ。どうか部外者に知らしめたこと、神よ咎は私一人にふりおろされることを願うばかりである。

未来の子孫たちよ、どうか光ある未来であれ)


「どう思います?」

「このサルジュっていうのは?」


「たぶん、この家の執事を長年勤めてくれていた人だと思いますよ。今は引退をして確か、息子さんが代わりに、この城の事務員をしているはずですが」


「よし、彼に事情を聴こう。もしかしたら行き方を知っているかもしれないからな」


二人がサルジュに連絡をとろうと図書室を出ようとした時、ファンが入ってきた。


「ファンどうかしたのか?」


エンリーがしゃがみ込んでファンに聞くとファンがしゃべり出した。


「あのね、おじさんたち、パパがね、別の入り口の場所を見つけたって言ってたよ。今から中に入って捜しにいくんだって」


「そうか、じゃあ俺達も見に行くか」


「待ってください、だけど、四人はその場所からは入っていないはずですよね。だとしたらこの部屋のどこかから入ったはずなんだ。どこか途中で何かトラブルに巻き込まれているのだとしたらこっちの方からも捜索した方がいいんじゃないかな」


「そうだな、もしかしたら何者かに閉じ込められているかもしれないし、さすがにもう引退した高齢の執事は関与していないかもしれないが、息子に託しているかもしれないしな。おいファン、もしかして、ここの秘密の部屋の通路の入り方を誰かに聞いたことないか?」


「知ってるよ」


「えっ?」


二人は同時にファンの方を向いた。ファンはそういうとてくてくと歩くと簡単に秘密の部屋に入るための隠し本を掴むと扉を開いた。


「よくチャーリーひいおばちゃまが使ってるんだよ。おもしろそうだから僕も時々この部屋まではよくはいるんだけど、さすがに地下の階段は気味悪いから入ったことないよ」


三人がその部屋に入ると中は真っ暗だった。エンリーとフレッドは腕時計のライト機能を使いその部屋を照らし出した。


「あのねここを押すと電気が付くんだよ」


「ファンお前色々よく知ってるな。もしかして宝物庫の場所を知ってるんじゃないのか」


「知らないよ、サルジュが今年に入って僕がこの城に遊びに来る時はいつもしつこく言ってきて、床の開け方を見せてくれるんだけど、僕暗くて狭い場所嫌いなんだ。それに宝物庫なんかそういうの興味ないから行きたくないって断ったんだ」


「何?サルジュがどうしたって」


「えっ?だから、僕がここに遊びに来る度にサルジュがこの城の地下の塔に宝物庫があるから行く気はないかって、それにはなんか、テマおじさんの腕輪がいるから借りてきてほしいっていわれたんだけど僕の宝物をそこに入れておくといい事があるっていうけど、僕の宝物は隠したくないんだもん。だからテマおじさんには腕輪を貸してって言ったことないんだ。なんかサルジュすごく膨れてたけど」


「そうだなファンはみんなにみてもらいたんだもんな」


「うん、それにね、パパがグラニエ城祭で僕のデザインしたのを展示してくれるんだって」


「すごいじゃないか」


「でしょ。あっそう言えば、この間も、サルジュがここに入って行ったのを見かけたよ。普段はチャーリーひいおばちゃまの読書の場所なんだけど、チャーリーひいおばちゃまがお仕事でいない時はよくこっそり入ってるみたいだよ。この部屋の床の扉を開けてブツブツいってたよ」


「その言葉思い出せないか?」


「え~っとね右右左っていってたかな、なんかすごく怖い顔をしてたよ」


「でかしたぞファン、地下への扉を開ける方法を教えてくれたら、夏休みになったらおじさんがお前の欲しがっていたチェイルサン・ドインの特注ドレスを買ってやるぞ」


フレッドがファンの頭を撫でながら言った。


「本当?パパを説得してくれるの?パパ、僕は男だから駄目だっていうんだよ」


「ライフを言い負かすのなんか簡単だ。任せておけ」

「やった~!約束だよフレッドおじさん」


ファンは大喜びで飛び跳ねた。


「兄さん、そんな簡単な口約束いいんですか?ライフにはライフの子育ての仕方があるんだから」


「いいじゃないか、ドレスに興味があったって、子どものうちはやりたいことを悔いなくするのがいいに決まってるんだよ。それに、時間がないんだからな、何かあってからじゃ遅いだろうが」


「そうですが」


ファンはフレッドにご機嫌で地下に通じる扉の開け方を正確に教え始めた。ファンの言う通りに石を擦れると床から地下に通じる階段が現れた。


「本当にあったな。凄いな隠し通路か・・・」


フレッドは地下に通じている階段の下にライトをあてながらのぞき込んでいるフレッドにエンリーが言った。


「兄さん、やはり息子の方のサルジュさんが怪しいんですね。彼を問い詰める必要があるんじゃないかな」


「そうだな、だが、何か事件が起きているのだとしたらとりあえずその宝物庫まで言ってみた方がいいかもしれないな」


「そうだな、君たちは先に四人の捜索に向かってくれ、サルジュは我々が担当しよう」


フレッドが顔を上げるとそこにはビルとジャンニと栄治の三人がいた。


「了解しました」


フレッドとエンリーは頷くとためらうことなくその階段をおりて行った。





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