地下探検
テリー達は図書室の秘密の部屋に入ると、さっきは全くわからなかった秘密の扉の構造が簡単に解明できた。それは意外にも簡単な構造だった。
「この本をみて思ったんだけど、ここの部屋のこの石壁の石の中に三つだけしかない色を描いているんだ、それを同時に押すと床の板からちかの塔に通じる階段が現れているみたいんだけど」
「あら、違う色ねえ、色んな色の石があるみたいじゃない」
テマソンが言うように、ここに埋め込まれている石は天然の色というよりも着色されている石のようにとてもカラフルな色合いだった。フェルは少し部屋の真ん中に立つとゆっくり部屋全体を眺めながら一周し終えて、指を差した。
「テリー、あなたのすぐ頭の上の赤い石、それとテマおじさまの足元にも赤い石があるわ、後碧華おばちゃまの目の位置にある赤い石だと思う」
三人は言われた通り赤い石を同時に押すと、ボンという音がしたかと思うと板張りの床の一部がせりあがった。
「すごいわね、本当に秘密の通路があったのね」
テマソンが先にそのせりあがった板を持ち上げると、かび臭いにおいと共に、地下に通じる石の階段が姿を現した。それと同時に階段をおりようとしたテリーをテマソンが静止した。
「待ちなさいテリー、何百年も前に築かれた場所なのよ、どうなっているか分からないわ。私が先におりるからあなたはその次、そしてフェルで碧華の順よ」
「わかった」
テリーは素直にテマソンにしたがった。四人はそうして、テマソンの持っている腕時計型ライトで先を照らしながら降りて行った。碧華も急いでリュックにつけていたペン型のライトをリュックからは外すと後ろから照らしながらゆっくりした足どりで降りて行った。
長い階段をおりきると今度は左右にまだ通路が続いている様子だった。
「どっちかしらね」
碧華が言うと、テマソンとテリーが右を指さした。
「あら二人ともどうして右なの?」
テマソンが答えた。
「その見取り図に書いていたわよ図書室の先の迷路みたいな地図が」
あなたが書いたんでしょ、あんなのどうやって調べたの?まだ子どもだったんでしょ。
「ひと夏入り浸ればできるんじゃないかしら」
「ひと夏って夏休みの宿題は?」
「碧ちゃん、夏休みに宿題なんてでないよ」
「あっそうよね、アトラスじゃあ宿題はなかったのよね。いいわねえ、思う存分遊べるなんて、私の子どものころは大量の宿題や、読書感想文なんか宿題に追われてたわよ」
「日本の子どもたちは大変ね」
「ところで、フェルちゃん、あなたどうしてこっちきたの?舞踏会でドレス着ないの?」
「私、あんまり興味ないの、アルはすごく興味あるみただけど、着られればなんでもいいわ。それより、私お城とかすごく昔の物に興味があるの、ここに来れば探検できるかなって思って、そしたら案の定こんなワクワクする冒険できるしもう最高」
「まあ、私もお城は好きだから、たまにここにも無性に遊びにきたくなるのよね。日本のお城も好きだけど、グラニエ城のも素敵よね。何回きても落ち着くし、新しい発見もあるし、すごいわよね」
そう言いながらテマソンとテリーの後ろで女子話に花を咲かせている碧華とフェルの話を何もしゃべらないで無言で歩いていた二人の足が突然止まった。
「どうかしたの?」
前の二人の視線の先を覗き込むと、前の通路にがれきの山が崩れ落ちていた。
「崩れているわね、まあ、それほど高いがれきじゃないからよじ登っていけない事はないけど、床がどうなっているか心配ね。もろくなっていて更に下に落ちたりしないかしら」
「あっそれならいいのがあるわよ」
碧華がそう言って背中のリュックを降ろし取り出したのは先がT字型になっている伸縮性の棒のようなものだった。碧華はそのT字型のステックをがれきの前にセットすると、ステックのもちての部分のボタンを押した。するとがれきはT字型の部分だけきれいに先に簡単に押し出された。
「すごいわね、なあにそれ」
「すごいでしょ、力の弱い女でも簡単に重い物を押せる道具よ」
「あらそんなものがあるの?」
「すごいでしょ。これね、このT字型の部分に紐か何かひっ欠けて別のボタンを押すと今度は引っぱってくれるのよ」
「便利なものがあるのね」
「でしょ」
そうして押し出したがれきの下を見ると普通の石の床が見えた。
「大丈夫そうね、じゃあ慎重に通り抜けましょう」
テマソンはそういうと先にがれきの中を通り、後ろの三人にライトをあてて一人一人がれきが崩れないか新調に渡るように指示をだした。三人が渡きるとがれきがガラガラと音を立ててまた崩れてしまった。
それから四人はまたテマソンを先頭に右左右と通路を横切り、着実に進んで行った。ところが、途中十段ぐらいの上り階段に差し掛かった時、フェルが上りきろうとした瞬間何かがフェルに飛んでくる気配を後ろの碧華が察知し、碧華が駆け上がり、間一髪でその何かからフェルをかばい階段の端によけ、碧華はその衝撃で壁に肩を激突させてしまった。
「碧華大丈夫?」
「ええ大丈夫よ。年はとりたくないわね。動きが鈍くなってもっと早く動けてたらぶつからなかったんだけどフェル大丈夫?」
「はっはい」
「だけどどうしてこんなところに落石が飛んできたのかしら、天井でも崩れてきているのかしら」
碧華の背後の頭上から飛んできたように思えたがれきの飛んできた方角の高い天井にライトを翳したがそれらしき気配は感じられなかった。しかし、頭に直撃していたら大けがをしていた所だ。しかし天井を見ても石は欠けていなかった。テリーは不思議そうに懐中電灯を天井にかざしながら言った。
「何か仕掛けがあるのかもしれないから気をつけないといけないね」
「そうね、気を付けていきましょう」
テマソンはまださらに続いている通路の先にライトをあてながら言った。四人はゆっくり歩いて行った。その後も何かに躓いたり、誰かに背中を押されそうになったりと碧華とフェルだけに小さな災難は続いた。前を行く二人にはあえて声をかけなかったが、フェルは碧華にだけ聞こえる声でつぶやいた。
「ねえ碧華おばちゃま、やっぱりここなんだかおかしいですね」
「あらあなたもそう思う?」
「はい、だって絶対おかしいもん」
「そうね・・・誰かが後をついてきているのかしら?」
碧華は真っ暗な後ろに視線を向けた呟いた。
「えっ」
「まっ宝物庫につけばわかるわよ。私達女が招かれざる人間だって考えている古い人間が誰なのかがね」
碧華はウインクしてフェルを先に歩かせた。




