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コスプレ舞踏会の新企画

さて、場所と時間は金曜日のお昼にさかのぼる。


ここはディオレス・ルイ本社の最上階にあるプライベートルームである。普段はライフが主に使用していた。今日集まってきたのは、優と娘のマ―シャと息子のファン、そして栞の娘のリンと、フレッドの奥さんであるルルーシュとその息子のアルとライフの母親であるリリーとライフ8人であった。


現在金曜日のお昼過ぎである。本来なら会社はあるのだが、夏に開催されるグラニエ城祭の舞踏会に着用する衣装のデザインを任されていた為にとりあえず、今回の舞踏会用にファミリーの衣装のデザインの打ち合わせに子どもたちを集めていたのだ。


主にファミリー女子に集合をかけたつもりだったのだが、なぜかグラニエ城に行ったはずの息子はグラニエ城にいったはずのリリーママを引き連れて遅れて到着し、さらにはエンリーの兄であるフレッドの娘のフェルを呼んだはずがきたのは双子の兄のアルの方だった。


困惑しながらもライフはとりあえずマ―シャとリンにねだられていたドレスデザインを見せることにした。


「えっと、若干呼んだメンバーじゃないのも含まれているけど、時間もないから見せるよ」


そう言ってライフはテーブルの上にデザインを見せることにした。


「こっちが栞ちゃんと優とルルーシュさんの分だよ、でっこっちがマ―シャとリンちゃんとフェルちゃんの分だよ」


そう言って机に並べると、四人の子どもたちは我先にとデザインされた衣装にくいついてきた。


衣装デザインを眺めている輪から離れてみていたリリーに近づいたライフは小声で話しかけた。


「ちょっと母さん、どういうことだよ。どうしてファンがここにきているんだよ。グラニエ城へテリーについて行ったはずだろ」


「ええきていたわよ」


「だったらどうしてここに連れてきたんだよ。ファンにはタキシードを用意しているんだぞ」


「だって仕方ないでしょ。可愛い孫に泣きつかれたら嫌って言えないじゃない」


「あいつの涙はウソ泣きに決まってるだろ?男のくせにドレスが着たいなんてドレス姿を招待客にさらすなんてできるかよ」


ライフが母親を睨みながらいうとリリーがニヤリとして言った。


「あら、いいじゃない、我が一族には60歳をとっくに超えている叔父さんもドレスを着ろっていったら喜んで女装する見本がいるんだし」


「まったく、そんな所まで似なくてもいいのに」


「いいじゃない、あの子なりにドレスを着るにはどうしたら着させてもらえるか考えてきたみたいよ。グラニエ城で目をキラキラさせて提案してきたのよ、自分の思いを通すために、駄々をこねて泣くだけじゃなくて、そうする為にどうしたらいいのか企画を提案をしてきたのよ。私はその提案は面白いと思ったから連れてきたのよ、さすがは私の孫だわ。もともとここに来る予定にしていたのね。昨日のうちに味方にするために電話でかけていたみたいよ」


リリーは孫のファンと一緒に楽しそうに眺めているアルの方を見ながら言った。


「味方ってアルのことか?」

「ええ」

「テリーじゃなくてか?」

「ええそう、アルによ、あの子よくわかっているのね、そしたら案の定ノリノリで賛成していたわよ。フェルはドレスには興味ないみたいだったわね」


「仕方ない、あいつの企画とやらを聞いてやるか、さて忙しくなりそうだな」

「ファン、お前の企画とやらの話を聞こうじゃないか」


ライフはそういうと、ドレス画を楽しそうに眺めているファンに視線をむけて言った。


ファンの提案はこうだった。

今回のグラニエ城祭の締めくくりである舞踏会のテーマはコスプレ舞踏会で、しかもコスプレするキャラクターはAOKA・SKYの作品の中か、グラニエ城ゆかりの人物というものだった。


「だからね、僕碧ちゃんの小説に出てくるシャナーのコスプレをやりたいんだ。男装している部分じゃなくてラファイルと婚約発表舞踏会で着ていたドレスの場面のだよ」


「あっそれなら僕は、アルーシャス王女がやりたいな。ほら一巻に出てくるでしょ雨乞いの儀式の時にきていたの、金髪のロングのウエーブがかったウイッグを被ってさっティアラをつけて」


ドレスを真剣にみていたアルがファンの提案に早速食いついていた。


「あら~あなたたちあんな初期の私の小説を読んでくれていたの?」


リビングの外から聞こえてきたのは碧華だった。


「碧ちゃん、お仕事大丈夫なの?」

「ええ、今日はもう中断よ、それよりファンすごい面白そうな企画ね」

「へへえ~そうでしょ。ちなみに碧ちゃんは何をやりたい」


「そうねえ~グラニエ城ゆかりの人物なら・・・私はマジョルカをやりたいわね」


「ええ~私もそう言おうと思っていたのよ、昔、碧ちゃんがテマソンと魔女役やったでしょ、私あれやりたかったんだもの、魔女っていったらマジョルカさんでしょ」


一緒に最上階に上がってきていたシャリーが碧華と口論を始めた。

二人がもめだしたので仲裁に入ったリリーが言った。


「じゃあ二人がやればいいじゃない双子のマジョルカをね、そうだわ相手役のミカエルはテマソンにさせればいいんじゃない。両手に花でいいんじゃない」


「ええ~そしたらまた私がはみ出しちゃうじゃない」


シャリーが膨れながら文句を言った。


「もう~仕方ないわね。じゃあ私がミカエルになってあげる。テマソンにはそうねマテイリア様なんかどう?」


「あらマテイリア様役はママンじゃなきゃ」


「あっそうね、ママンの方が適役よね。じゃあテマソンが余るわね」


「あらじゃあ私とテマソンはマティリア様と同じ神様のザルドとビオーサをやろうかしら」


「ええ~おばあちゃまそんな役して怖くないの?ザルドとビオーサ様は破壊神と死神でしょ」


「あら、大丈夫よ破壊神と死神も戒めとして怖がられているけれど、本当は必要な神様なのよ。悪い気持ちが芽生えすぎたらその心を吸い取ってくれるのよ」


「本当?」


「ええ、だから誰かを憎く思ったら、ザルド神とビオーサ神に悪い心吸い取ってってお願いすれば吸い取ってもらえばいいのよ、だけどね、大切なのはその後よ」


「後?」


「そう、そのままにしていたらとりつかれちゃって暗闇にひっぱりこまれるから。ありがとうのお礼と別れをいう必要があるのよ。みんなそれをしないから、心が病んでしまう人がいるのよ」


「そうなんだ、かわいいそうだね、嫌われ役なんだ・・・じゃあリリーちゃんとテマおじさんがやればその日だけは人気者になれるね。ザルド神様とビオーサ神様」


「そうよ、これからもいろんな嫌なものを吸いとってもらわないといけないものね、だけど家にはマティリア様がいるから、二神様はマティリア様のしもべみたいなものなのよ」


「へえ~面白そうだね、神様もだし、この二十年で碧ちゃん小説もいくつか出してるし、キャラクターも結構あるから、年齢層もまちまちだから面白い舞踏会になるかもしれないな」


「そうでしょ、私もねファンから聞いてそう思ったのよ。物語に出てくる場面のパネルなんか設置しておけばさらに撮影スポットにもなるし楽しそうでしょ。これだったら、昼間に一般の人達を呼んで楽しんでもらえるし、夜の舞踏会でも盛り上がるんじゃないかしら、事前にコスプレしてくることを前提に出欠の招待状を出しておけばいいし、原作者が主催者側にいるんだから、著作権とかややこしい問題もおこらないでしょうしね」


ライフとリリーが話しているとリンがつぶやいた。


「お爺ちゃんズたちの衣装はどうするの?」


「はいはい、あのね、オオカミ男爵とドラキュラ伯爵と猫又子爵がいい」


答えたのはマ―シャだった。


「なんだそれ?」


「あれパパ知らないの?」


「ママの絵本にでてくるキャラクターのおじさん三人組のニックネームよ」


優が全員の飲み物を用意しながらライフに言った。


「そうか、何気に下のショップに碧ちゃんのコーナーにたくさん絵本も並んでるもんな。叔父さんも色々キャラクターの絵描いてたんだな」


「よし!ここら辺で整理しようか、それぞれのキャラクターの衣装やウイッグの発注と特殊メイクの専門家の手配もしないといけないしね」


「ねえ、パパ、本当にいいの?僕がその・・・ドレスを着ても」


ファンがライフの顔色を伺いながらたずねた。


「今回は特別だぞ、普通の舞踏会じゃないしな。碧ちゃんのキャラクターになりきり舞踏会なんだからな」


「うん、やったー!」

「ところでリンちゃんとマ―シャは何になりたいんだ?」

「私は・・・あのねノンノンとペペに出てくる兎の妖精」

「ああ、絵本の奴だね」

「リンちゃんは?」

「私は妖精ルルがいいな、羽とか作れる?」

「羽かぁ・・・多分大丈夫だと思うよ」


ライフは白い紙とペンを取り出すと、先にリンがいう妖精ルルの絵を描いてイメージのドレスをデザインすると、その後でマ―シャのいう碧華が出版した絵本に登場する兎の妖精の着ていたドレスとマ―シャの顔を書くと、頭に兎の耳を付け加えた。


「パパ、すご~い、これがいい、パパ大好き~!」


そう言ってライフに飛びついて喜ぶマ―シャを受けとめながらライフもまんざらでもなさそうだった。


そうして順番に子どもたちのリクエストのキャラクターの絵と顔を合体させたデザイン画をいろいろと作成していった。


その様子を見ていたリリーが電話を取り上げるとどこかに電話をかけていた。


「ハロ~栞ちゃん、そっちはどう?テリーが創作を開始したの?、こっちもまとまりそうよ、今回のタイトルはコスプレ舞踏会よ。そっちのメンバーの分はこっちで決めておくから。じゃあよろしくね」





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