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家系図と不思議な縁

「ねえジャンニ、この人私、ビンセント家のご先祖様にいた気がするんだけど」


そう言ったにはシャリーだった。


「フェダ・・・そんな男性がいたか?」


「いたわよ、私、あなたと結婚が決まった時にお義母様に見せられたんだもの。ビンセント家に嫁いできたら、家計図をみてどのような人物がいたのか知っておく必要があるって」


「そうだったか?」


「そうよね、あなたは結婚当初から私に興味がなかったものね」


シャリーが膨れてジャンニに文句を言いだしたので、慌てて栞が仲裁に入った。


「シャリーママ、じゃあ、ビンセント家の家系図は今はシャリーママが持っているの?どのくらいさかのぼれるんですか?私みたいわ。本当だったら私もその家系図にのるはずだったんだもの」


「あらのってるわよ、私が書き入れたもの。でも最近書いてないわね」

「そうなんですか?」


「ええ、他の人を見ても、どの家に嫁いだとか書いていたから、エンリーもレヴァント家に養子に入ったって書いておいたの」


「ねえシャリー、その家系図持ってこられる?」


碧華がシャリーに聞くと頷いた。


「ええ、だけどどうして?」


「だって、もしビンセント家の誰かが本当にレヴァント家にいたとしたらすごくない、人類みな兄弟的な感じになるじゃない。レヴァント家とビンセント家は昔から遠い親戚だったってことになるじゃない」


「そうね。ジャンニ持ちだしてもいいかしら?」


「いいんじゃないか、止める人間はもうこの世にはいないんだし、君がビンセント家の中で今じゃ女系ナンバーワンじゃないか」


「あっあらそうだわね。私が一番だったわ。フフッ、なんだか嬉しいわ」

「じゃあ、私が運転してあげよう」

「本当?私あなたの車に乗るのは久しぶりだわ」


そういうとシャリーはジャンニの腕に自分の手を添えると互いにほほ笑みあいながら二人は仲良くビンセント家に家系図を取りに行くことになった。それを見送っていた栄治がふと碧華に言った。


「桜木家の家系図って作れるのかな」


「あるわよ。私アトラスに来る時、昔桜木家の戸籍とかさかのぼって調べて家系図を作っておいたのを、章平さんに送った原本がね」


「いつの間に・・・」


「抜かりはないわ、私達がレヴァント家の人間になることが決まった時、日本の墓を墓じまいするってなった時、章平さんが自分の住んでいる近くに墓を買ってもともと墓に残っていた骨も持ち帰って新しい墓に入れるって言ってくれていたでしょ。だから、お義母さんの骨も送ったじゃない。私ね、その時、建碑祝いと一緒に、あなたと結婚した時に除籍謄本とか戸籍を調べてわかる範囲までさかのぼって調べて清書してもらった家系図も一緒に送っておいたの。まだあるかどうかはわからないけど、私達は桜木家を去ったから、もうその家系図を次世代に引き継ぐことはできないけどね」


「そうか・・・知らなかったよ。ありがとう」


「余計なお世話だったかなって思っていたんだけど、あなたの甥っ子さんのお子さんたちがいつか自分の家系のルーツを知りたいと思った時にあるとご先祖様たちも思い出してもらえて喜ぶんじゃないかなって思って、あなたのおじいさんの代からは写真を拝借して写真付きで作成したのよ」


「ママ、それ原本あるの?」


隣で聞いたいた栞が反応した。


「ええあるわよ」


「じゃあ今度見せて。テリーやリンにも見せてあげたわ。そうだわ優にも見せてあげなきゃ」


「了解」


「なんだか家系図を作るって面白そうね。いい思い付きかも知れないわね。歴史あるレヴァント家の巨大家系図って素敵ね。だけど大変な作業になるわね。戸籍が確立していない時代の家族構成を調べるのは大変な作業よ」


テマソンが言うと、ビルと栄治が顔を見合わせて頷き合った。


「それは我々隠居組が担当するよ。テマソンや碧ちゃんはディオレス・ルイの仕事があるだろ、調べるぐらいは我々にもできるしな」


「そうそう実は我々だけグラニエ城祭で何もしないのは心苦しかったんだよ。仕事ができて最高の気分だ、家系図は我々が責任を持つて仕上げるよ」


「あら申し訳ないわね。じゃあ、ご先祖様の似顔絵はわかる範囲で私が描かせてもらうわ。歴代の城主の肖像画が確かあるはずだから」


「ますます忙しくなってきたわねテマソン、あなた大丈夫なの?」


「碧華、あなたが詩集を早い段階でコンセプトを決めてくれればできるわよ」


「あら決まったわよ」


「えっ?あなたさっき何も決まっていないって言っていたじゃない」


「うん、今決めたの、タイトルは人生よ」

「人生?」


「そうよ私ももうすぐ70歳よ、そろそろ終活を始める時期でしょ。人生を振り返って、怒ったり笑ったり、私にはいつもファミリーがいたわ。だから読者のみんなにも伝えたいの、自分の人生を幸せだったと自信を持って歩いて行こう。生きてきた自分とそのルーツを調べるきっかけになれたらいいなってふと思ったの。駄目かしら」


「いいんじゃないかしら、あなたの人生も後半戦はいい感じだもの。平凡なおばさんの人生のドラマの詩なんか一冊ぐらいあってもいいんじゃないかしら」


テマソンの返事に碧華も笑顔になった。


「よ~し明後日から頑張るわよ」


「ちょっと碧華、今から頑張るんじゃないの?」


「嫌よ、可愛い孫が探検の入り口を見つけた瞬間を見逃すなんて、これも私の人生の中では大きな一日に入るんだから。チャンスは逃さないのが碧華おばさんのもっとうなんだから」


「そうだったわね」

「じゃあ、私もテリーの母として見守らなきゃね」


「あなたは、きちんとこの城の維持管理の仕事をしなさいよ。ママンからせっかく信頼して任せてもらっているんだから」


「あらそんなことぬかりはないわよ。ママと違って仕事は余裕を持っていつもこなしてますから」


そう言って母と娘がにらみ合いを始めたので、再び栄治が今度は妻と娘の仲裁に入ることになった。だが三人とも楽しそうだなと少しうらやましく思うテマソンだった。




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