04【キャンプツーリング】
【20xx年】
政府は深刻なハンター不足による二次被害に頭を抱えていた
ハンター不足により鳥獣達が増加し農作物への被害が増大した
その打開策として新たな法律を政府が発表した
猟銃による狩猟免許取得年齢改正法
今までの取得年齢20歳を大きく下回る16歳に設定したのである
それにより今この瞬間、新たなハンターが生まれようとしていた
ひながバイクを購入した、勿論バイクはハンターカブである
値段は諸々入れて32万円、私のクロスカブの20万に比べたら割高だが本人が気に入ったバイクに乗るのが大事である
そんな訳で納車されたばかりの愛車に跨がりかなひなコンビはキャンプツーリングするべく近くの山へ向かうのであった
「クラッチの無いミッションだから違和感があるね」
免許取り立てのひなが呟く
「慣れだよ慣れ、ひなそこ左」
因みに二人はインカムを装着している為、走りながらでも何不自由なく会話が出来る
「了解~♪」
二人は対向車が殆ど来ないのどかな道をひた走る
「あっ!鹿の群れだ!」
私達が目指す方向、山の入り口付近に鹿達が道路を横断していた
「ほんと鹿増えたよね~」
「そうだな、この前も近所のおじさんが鹿と衝突して車が廃車になったって言ってたよ」
北海道での鹿などが原因の交通事故は年間2000件を超え年々増加の一途をたどりこのままでは3000件を超える勢いである
しかしハンターの減少に伴い鹿などの動物が増えた事には違わない
「かなちゃんはハンターにならないの?おじさんハンターだよね?」
「父さんは取って一緒に猟に行こうって言ってるけど、私はあんまり興味がないかな?」
「へぇーかなちゃんの事だから取りに行くと思ってたよ」
「何回か猟を見学した事が有るんだけどさ、しんどい思いをして一日中山の中歩き回ってさ獲物が捕れないとか割にあわないじゃん?
あれだけしんどい思いするならスーパーで肉買えばいいやって思っちゃたからね正直な所
父さん達はロマンだって言うけど、私にはあんまり響かなかったんだよね
ひな、そこ左に入って受け付けがあるから」
そんな話をしているとキャンプ場の入り口に到着した
かなひなコンビは料金を支払いキャンプを設営する場所へと向かった
「へぇーこんな場所があるんだ、知らなかった」
「結構穴場何だよね、それに何と言っても安い!バイクなら学割で何と800円です」
「かなちゃん、私キャンプって初めてだからワクワクする」
「よし、なら私に付いて来なさいひな隊員!」
「ラ、ラジャー!」
こうしてかなひなコンビ初めてのキャンプが始まるのであった
「あの、かなちゃん」
「かなちゃんでは無い!かな隊長と呼べ!」
「は、はいかな隊長」
「でっどうしたのだひな隊員?」
「この釘はこの打ち方でいいのですか?」
「ちがーう!釘では無いそれはペグだ!それとペグはテントとは逆方向に斜めに打つんだ!わかったかひな隊員!」
「わかりました!」
「ちがーう!返事はイエッサーだ!」
「イエッサー」
なんとかテントを建てる事が出来たひなであった
「かなちゃん、晩御飯はどうするの?」
「今回に出来る様に自宅で既に作って来ました」
そう言うと袋から味付けを既に施してあるスペアリブを焼き始めた
辺りに美味しそうな匂いが漂ってくる
ひなはもう待ちきれないのか犬の様にソワソワし始めた
「あとは、野菜を盛り付けて完成」
目の前にはインスタントのコーンスープにスペアリブそしてフランスパンが置かれた
「さぁ食べようか」
「「いただきます」」
「美味しい~♪」
ひなが嬉しそうに上機嫌になる
「このスペアリブかなちゃんが作ったの?」
「桜ヶ丘家特製の秘伝ダレです」
よほど美味しかったのか、あれよあれよとスペアリブがひなの胃袋に消えていったのであった
食後二人は焚き火を眺めながらマッタリとしている
「かなちゃんは高校卒業したらどうするの大学?」
「唐突にどうしたんだよ?ビックリするじゃん」
「いや、こういう時にしか聞けないかなっと思って」
「大学は行きたいかなー」
「どこの?北蝦夷大?」
「だろうね、北蝦夷の農業科か工業科のどっちかに行きたいかな」
「じゃあ私も北蝦夷に行こうかな」
「行こうかなって、そもそもひなの頭で行けるのか?」
「ええーそれは言わないでよー」
二人が見つめ合い笑う
「あっ流れ星!かなちゃん流れ星だよ!」
見上げた夜空には満点の星が輝いていた
「こうやって星眺めるのなんて何時ぶりだろ?」
「私はこの前もここで眺めてたけどな」
「ええーズルい」
「なんだよズルいって、ひとりで居たい時とかさこうやって星眺めたり焚き火眺めたりだとかさ、そうしてるだけで何だか心が落ち着くというか何というかさ」
「わかる何か落ち着くよね」
「なら少しは落ち着いてくれ」
「ええー折角のお泊まり何だからもっと喋ろうよー」
「んーもう眠いから無理ぃー」
「ねぇーかなちゃん、またどこかツーリングに行こうね」
「んー」
かなは曖昧な返事をして眠りについた
こうしてかなひなコンビ初めてのキャンプツーリングが終了したのであった
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