13【当たらない!当たらない!!】
かなひなコンビのかな担当
桜ヶ丘かな、この話の主人公で高校1年生
狩猟に興味が無かったが、とある事がきっかけで猟師を目指す事となる
勉強&運動は中ぐらいの至って普通の女の子である
かなひなコンビのひな担当
小倉ひな、同じく高校1年生
勉強&運動はダメダメだがそれらをカバーする天然属性の元気っ子
かなに比べ女子力は高いが元々の女子力が低い為どんぐりの背比べ状態である
最近かなの勧めてと言うなの策略にハマり二輪免許を取得した
そんな、かなひなコンビが織り成す学園狩猟物語
とうとう運命の日がやって来た
全ての準備は万端!緊張で全然眠れなかった事以外はね
朝から母に頼み学校にはお休みすると工作してもらっているし、持ち物は昨日の内に用意はしていた
よし!行くかな!
私は、愛車のクロスカブに跨がりキーをひねりエンジンを掛ける
ブルルンと伝統の空冷単気筒エンジンが産声を上げる
うん、今日は何時もより調子が良いように感じるな
私は見送る両親に元気よく手を振りながらアクセルを回した
「行って来ます!!」
一速、二速と左足でギアチェンジ繰り返し徐々にスピードが増していくクロスカブ
何時もとは違う方向へと進むクロスカブ
何故だか全てが新鮮に思えた
家を出てから約一時間が経ちようやく射撃場に到着すると既に何名かの先客がいた
開始時刻になると教室には私を含め10名の受講者、女性は私1人だけであった
最初は座学、テキストを片手に基本動作の説明を徹底的に教わります
そして座学が終わるといよいよ銃を使っての基本動作に入ります
これは模擬弾を使用した訓練であり射撃場での立ち振る舞いなど基本を教わります
そして待ちに待った射撃の開始
今回はクレー射撃のトラップと言うルールで射撃訓練を行います
そもそもクレー射撃にはトラップとスキートと言う二種目があり
共にクレーと呼ばれる直径11cmの皿がフリスビーの様に飛ぶので、それを撃ち落とした枚数を競い合う競技です
トラップ射撃
射台と呼ばれる射手が撃つ場所が横一列に3.6m間隔で五番までありそれを順に周り射撃していきます
1ラウンド、5カ所の射台xクレー1枚x5周の25枚で争われます
クレーは射台の15m先から発射され右、真ん中、左とどの様に飛ぶかは分かりません
ただ一枚のクレーに対して二発までの射撃が可能ですが、今回の講習では一枚に付き一発までとなっています
スキート射撃
半径36.8mの扇形に射台が7カ所設置され
丁度真ん中に1つ射台が置かれ計8カ所の射台が設置されます
クレーは両端から1枚又は2枚発射されそれを撃ち落とします
ただトラップと違い1枚に付き1発の1ラウンド25枚制で争います
その他いろいろルールによって構え方などが有りますがそこはまた次回
因みにクレーが発射されるのは射手がコール、日本では殆どの人が、はい!と叫ぶとそれから3秒以内にクレーが飛び出す仕様になっています
「今回はトラップでの射撃となります
25枚を1ラウンドで先ず1ラウンドを練習
その後、分解、組立を行い試験となります
試験では、25枚中2枚命中で合格となりますが動作の不備等で不合格となる場合が有りますので注意して下さい
何か質問はありますか?」
...
「では1~5番のAグループの人は訓練に入ります」
こうして射撃訓練が開始した私は10番なのでBグループの最後尾
他の人の様子を見れるので案外ラッキーだったかも知れない
私達Bグループは射台の後ろにあるベンチに座りAグループの練習を眺めていた
Aグループの人達が順番に射台に入り散弾銃を構え射撃を行う
ドカァーンっと山あいに銃の乾いた音が鳴り響くと共に後ろに居る私達の体に銃の衝撃が伝わってくる様に感じた
これが本物の散弾銃の音
映画などでは決して味わう事の出来ない本物の感覚そして火薬の匂い
否応にも体がウズウズと反応した、だがこの反応は私だけではなかった
周りの大人達も初めて感じたであろうこの感覚に子供の様な目でその様子を感じ取っていた
そんな独特な緊張感を持ちながら数十分、私達Bグループの番が回って来たのであった
順番に射台に入り構え射撃をする
教官は先ずは当てる事よりも撃つ事、散弾銃と言う銃の事を知る事が大事だと言った
私は配られた背中に教習と書かれたベストに袖を通しイヤーカフを装着し射台に向かうのであった
「じゃあさっき教えた通りに構えてね、リラックスリラックス」
「はい!」
射台に立ちベストの中から弾を1発取り出し装填し構える
そして私が、はい!叫ぶと数メートル先にオレンジ色のクレーが1枚フリスビーの様に空を飛んだ
私はそれを構えながら照準を合わせココだと言う所で引き金を引いた
ドコォーン!!
ズッシリとした散弾銃の衝撃が私の肩からそして全身目掛けて響いた
後ろの崖に砂埃が上がる
ハズレたか、しかし何とも言えない感覚だった
銃口の向きに気を使いながら空薬莢を取り出し後ろに下がる
「うん、惜しかったね
動作はそのままで良いからもう少し肩の力を抜いてリラックスして撃ってみようか?」
次の番になり私は教官のアドバイス通りに
力を抜いて撃つが砂埃が上がる
他の人達は次々とクレーを当てていくなか私だけが未だに1枚も当てる事が出来ずにいた
「えっ!?こんなにも難しいものなの?」
焦りからくる緊張感で更に構えの姿勢が悪くなる
半分の13発目を撃ち終えた
口では理解はしているものの何故か出来ない自分がいた
当たらない!当たらない!!当たらない!!!
何でこんなに当たらないの?
そんな自分に嫌気が差していた
そんな時、射撃場のオーナーが近付いてきて直々にダメな点をレクチャーしてくれた
そっと肩に手を置き姿勢を正してくれた、たったコレだけの事なのに次の瞬間、見事に宙を舞うクレーが砕け散った
結果、25枚中5枚命中で練習は終了し、試験では25枚中13枚を命中させ見事合格したのであった
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