悲劇の星座占い
ガーン!!
セーラー服姿でテレビ画面を死んだ魚のような目で見つめ、食虫植物が如くあんぐりと口を開けて立ち尽くす。
「なぜ…なぜ今日に限って…こんなことって…!?」
「どうしたの、楓?」
真っ赤なイチゴジャムで彩られた、朝食のトーストをテーブルに置きながら母親が尋ねる。
「見てこれ!最悪よ!」
何やら解説中のテレビに指さしながら、目に涙を浮かべて声を放つ。
「正座占い?悪い結果でも出たの?」
「そうなのよ!ああもう、何でなのよ!」
ランキング最下位の位置には「山羊座」の文字があった。
「別に、こんなのただの占いでしょ?気にしない気にしない」
「気にするわよ!だって今日は待ちに待った大切な日なんだから!」
実はこの日、楓にとって初の高校文化祭。
そしてまた、自身が所属する演劇部の初舞台でもあったのだ。
「毎日この日のために一生懸命練習してきたのよ、あんまりだわ!」
「役になりきればこんなの忘れるわよ。何の役なの?」
「悲劇のお姫様役よ!」