03 ハニーフラッシュ β1
β3
家の玄関から徒歩で500歩進む。
歩幅は1.5フィートで1フィート0.3048mだから約46cm
0.46cm×500で230mの距離に水源がある。
おそらく人は誰も気付かないだろう特異な河川。
湧水のようで流れがある河川だ。
程よく湧き出てはまた地面に潜り込むのだ。
湧き出す音がかなり静かでチョロチョロとも聴こえない。
異次元への誘いかと思う程の明媚さ。
湧き出た周囲の岩壁や上部は水草や雑草や苔に
と、繁りまくっている。
直径2m程で深さは1.5m程。
上流と思われる通路は入水してないからわかりにくいが
底から1m程の直径と広めだ。
吸い込み口だと想像したらこの大きさは恐ろしい。
吸い込まれれば体で栓をして嵌まり溺れるだろうと。
この湧き溜まりは入口はあるが流れの延長に出口がない。
そのため水面近くの水は押し出されて岩の上で軽い坂道を作り
流れていく。
その先には水が潜り込む岩穴がある。
この流れは不自然だ。
まず、普通は風化や水流でこんな状況にはならない。
普通水に含まれる成分や水と共に流れる砂などで削れるはずだ。
しかし、流れの衝突する岩壁は丸くいびつに凹んではいるが
あまり削れていない。
石ころは数えるほどしかない。
砂も片寄って僅かしか見受けられない。
岩の坂道はなめらかでほとんど削れていない。
こんな状況になる条件を考えることにした。
この岩はとても硬いのだろう。
石同士でぶつければ高い振動音がする。
水に溶けやすい石灰質は白く、この岩は黒めだ。
近寄って見ればマーブル模様。
黒い大理石とでも言おうか。
かなり特殊な岩だ。
石コロや土砂が流れてくることがあまりなく
草木のカーテンで日光からもある程度守られている。
水質も柔らかい。これらのことから
ここは風化しにくい状況と言える。
おもしろい。
と思うと同時に人為的である可能性が薄まり安心した。
それがこの水源の印象だった。
スズメを片手にM3で手を洗い水を飲む。
岩の上の水の坂道は通称、いや個人的呼称で
{M3 未来の港で丸儲け}
の略称で呼んでいる。
しばらく水源を凝視していると
時折勢いを増す水流に囚われた小魚が
更に水草に囚われ抵抗して跳ね
湧き川から逸れて石苔に軟着陸した。
そして隠れていたカエルが小魚をのんびりと食べた。
「食物連鎖か」
チュン
いいタイミングで鳴くのはスズメだ。
カラスに弄ばれ飛行不可能になった。
不憫に思い一息に絞めることにした。
ここへ歩いている時にそう決めた。
しかしここへ来て思い直した。
食物連鎖の上位を募集するための囮となってもらう。
ポーチから自家製草紐を取り出し
逃げないようにスズメの片足に結び
近くにある樹木の湾曲した根にくくりつけた。
定位置で寝転び待機する。
チュンチチュン
スズメは戸惑ってはあちこち動き回っている。
(なんだかかわいそうなことをしたもんだな)
マイホームを脅かす存在は問題だ。
その存在をカラス同様捕獲して対応しなければ
ならない。
動物相手の粛清は堂々としては逃げられる。
罠や囮でもってして粛清を行わなければならない。
生存競争を振りかざせば決して卑怯ではないのだ。
スズメはカラスに襲われていた。
だから囮として手伝えるか、その価値を試している。
特に大胆な罠があるわけではない。
別の捕食者が付近にうろついてくれば
可能な限り虫取網で捕獲する予定だ。
一応岩の窪みの逃げ場に届くようにしている。
囮が有効なら窪み付近を所定の狩り場とし
今後罠の設置場所として機能するだろう。
「ふふっ」
まずはこの場所でゆっくり過ごす。
決して逃げまどう姿を楽しもうとしているのではない。
いろんな可能性を模索しているのだ。
信じられないが
通販はどうやら直接脳に聞こえるようだ。
移動したが音量も変化しない。
小音量だがずっと聞こえると安眠を妨げるだろう。
このストレスからか、頭が重い。
それに歩いて疲れたし夕寝することにしよう。




