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γ5


 樽は小さく低く奏でている。



 受け取った蓋はわずかに黄味がかってギザギザしている。



 車内に漏れるよな少ない光は黄色。



 だとすればおそらく銀歯だろう。



 古い樽を削るには十分だった。




 No1の話ではこの乗り物はHENO。



 HENOのトラックは見たことがある。



 トラックだとすればここで会話が成り立つのは納得できる。



 拐われたときの車は明らかに高級感があり防音もしっかりしていた。



 トラックは運転席と助手席だけで、荷物を運ぶための専用スペースに防音をする必要は無いだからだ。



 樽同士近いのも幸いしたのだろう。トラックの騒音で様々な音がかき消されている。



 (トラックの荷台なら大体出口は一つか)



 特殊車両ならその限りじゃない。



 しかし特殊車両は目的が限られていて目立つ。



 こっそり運び出したのに目立つ行動はしないだろう。



 いつも通りの中に異物を持ち込む。



 それが拐った奴らの考えなのだろう。



 犯罪と隣り合わせだったからか確信した。




 気になっていたことがある。



 車に運ばれたときの音だ。



 トラックの荷台に置いたのなら静かすぎるのだ。



 クッションでも敷かれているのだろうか。



 そうだとして理由はなんだろう。



 爆発物ならそうする。



 拐った人間を入れた樽は爆発しない。



 目立たないため物音を立てないというのもおかしい。



 トラック自体がうるさいし助けを呼べば誰かに聞かれ……



 (助けを呼べるの忘れてたな……)



 助けを呼べるタイミングはどの道なかった。



 暑い時期が過ぎて間がない。



 ニャポンなら季節は反対だ。



 裸のせいもあるが冷えるし窓を開けて運転する部外者がいる可能性は低い。



 可能性に賭けるにしても助けを呼べば車は止まってしまうだろうし助けを求めて叫び続けることもできない。



 助けを呼ぶ考えは保留した。




 まだ問題がある。光だ。



 荷台にいることは確かなようだが備え付けの可能性が高い。



 光はわずかだが見える。



 この車はおそらくのぞき窓がついているタイプの荷台だ。



 輸入や輸出に使用されるものはそのまま運べるコンテナが主流。



 コンテナは光を通したりしない。



 だからそのまま運ぶタイプの荷台ではない。



 それはいい。つまり樽から出たら見つかるのだ。



 (はぁ……)



 眠れないと必要ない余計な情報まで考えてしまう。



 おれはもう決めたのだ。



 逃げないと。



 そう思うとオナラをした。

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