10 願いの先に
(良かった……。あいつはもう大丈夫だな。後は何とかここから逃がすだけだが……)
リザンは予想だにしないハイジとの邂逅に驚きはあったが、ハイジが自分の名を呼んだことにまだ覚えていてくれたことを知りすぐに嬉しさが勝った。
そして最初に見たときの濁った眼も、今は僅かながら生気を取り戻したことでリザンの気力に力を与えていた。
(今の俺じゃあいつを抱えて敵の相手をしながら逃げるのはきつい、なんとかあいつにも自力で行動を起こして貰わないと。……後一押しか)
元々リザンは体調を整え装備も万全ならばこの部屋にいる魔物など、フォービスを除けば数秒で殲滅出来るだけの実力を持っている。だが数か月もの悪辣な環境での生活がリザンから体力と精神力を奪い、そのため身体のキレや魔力、聖気の操作も効率が著しく落ちていた。この状況では精々自分が敵を食い止めている間に逃げて貰うしか出来なかった。
(他の奴らは……、駄目か)
リザンは捕まっている他の奴隷達に視線を巡らすが未だにハイジ以外全員目が死んでいる。
リザンにとっても口惜しいが諦めるしかなかった。
「貴様……何を笑っている?」
それまで黙っていたフォービスが苛立った声を上げる。
どうやらリザンの笑みが自分に対する挑発に見えたようだ。
「貴様の講釈は聞き飽きた。バイス」
「はっ!」
バイスと呼ばれた上位個体のオークが返事をし、フォービスの前に膝を着く。
「あの家畜を殺せ」
底冷えのする声でフォービスはただ一言命令を下す。
「畏まりました、フォービス様」
バイスと呼ばれたオークは恭しく一礼するとリザンの方に向き直り手に持っていた武器、柄の長さは三メートル程で槍の様な穂先の根元に斧頭とその反対側にカギ爪が付いた、いわゆるハルバードを構える。
対するリザンの武器はさっき倒したオークから奪った、そこらの村人でも使っていそうな普通の斧だ。
「参る」
バイスは低い声で一言呟くと床を蹴りリザンに向かって駆け出した。
その巨体に似合わずかなりの速度でリザンの目前に迫り、振り上げたハルバー
ドの間合いに入った瞬間リザン目がけて振り下ろす。
「ふん!」
対してリザンは自分の頭部に迫って来るハルバード目掛けて手にした斧を渾身の力で振り上げる。
「おおおおおおお!」
ガアアアァァァン!
金属同士がぶつかる激しい衝突音を響かせ、火花を散らす。
圧倒的に不利な体格差と武器でありながらリザンは押し込まれることなく互いの武器が弾かれるに止めた。
だが互いの武器が後方に弾かれる中、先に体制を立て直したのはバイスだった。
「貰った!」
手元に引き戻したハルバードを今度は真横からリザンの胴体目掛けて薙ぎ払う。
「くっ⁈」
リザンはギリギリで自分の胴とハルバードの間に斧を差し込むことに成功するが、体制を崩しているため防御した衝撃に耐えきれずそのまま真横に吹き飛ばされる。
ドガッ!
「ガハッ!」
勢いを殺せぬまま壁に激突し、耐え切れずせき込んでしまう。
「がふっ! がはっ! はあっ、はあっ」
呼吸を整える間もなく直ぐに立ち上がり、すでに追撃を掛けるため迫って来ているバイスに武器を構える。
(くそっ、この豚野郎がぁ! 聖気を纏ってなかったらやばかったぞ!)
迫るバイスに思考を割きながらチラリとハイジの様子を窺うとこちらの様子をはらはらしながら見ていた。
(気力を取り戻したのはいいが、この後どうすればいいか分からないって感じだな……。俺も長くは持たない)
バイスが突き出してくるハルバードの穂先を躱しながらハイジへと道を指し示すためリザンは口を大きく開け、叫ぶ。
リザンさんとバイスと呼ばれたオークが互いの命を刈り取るため武器を振るう。
その動きは早すぎて僕には捉えきれない。
そこで体制を崩したリザンさんが防御した斧ごと吹き飛ばされた。
(リザンさん!)
リザンさんは壁に激突してせき込んでいるが直ぐに立ち上がっていた。かなりダメージはありそうだが無事なことにホッとする。
だが明らかな劣勢をなんとかしなければいずれ殺されるだろう。
こんな時に力を持たない自分が恨めしい。
己の無力さを噛みしめていると敵の攻撃を躱し続けていたリザンさんが大きく口を開き叫んだ。
「自由とは、与えられる物ではない!」
いきなり発せられたリザンさんの大音声に驚き、僕は目を見開く。
(何を?)
だがリザンさんは僕の疑問を置いてきぼりにし、敵の攻撃を躱し、時には弾き更に続ける。
「求めるなら、動け! 走り出せ! 立ち止まるな!」
突然意味も無く叫び出したリザンさんにフォービス達は怪訝そうな表情をしている。
でも僕は気付いた。これは他の誰でもない自分に向けられているのだと。リザンさんは自分の命を懸けて僕を逃がそうとしていた。
「想いを貫け!」
敵の猛攻を捌き切れずまたも吹き飛ばされる。それでもリザンさんの叫びは止まらない。
「それは自ら手に入れる物だ!」
リザンさんは僕に訴えかけていた。ここで立ちあがれと。自由を得たければ今死力を尽くせと。
僕はついさっき自分の胸に生まれた熱を思い出す。
それが何だったのかを理解した僕は覚悟を決め、リザンさんを見据え頷く。
既に少し前まで胸の中を満たしていた諦めと絶望は消え失せ意志の炎が燃えていた。
リザンさんもまた笑みを見せながら頷いた。そして最後に――
「そうすれば……、救いは差し伸べられる!」
一際大きく叫んだかと思うと、手にした斧を僕のいる方に向けて思い切り投げつけた!
最初はギョッとしたけどすぐに気付いた。リザンさんが狙ったのは僕を押さえつけているオークだった。
飛んできた斧は寸分の狂い無く、僕を押さえつけているオークの眉間に深く突き刺さり一瞬で絶命させた。
「む?」
「なに⁈」
リザンさんの行動にフォービスが呻き、驚いたバイスがこちらに振り返る。
隙を見せたバイスに対してリザンさんが背後に回り込みながら攻撃を仕掛け動きを止めてくれている。
拘束を解かれた僕は部屋の出口を目指して全力で走り出す
出口までの距離は殆ど無い。フォービスに関しては何を考えているのか部屋の奥の祭壇にある玉座に座ってこちらを眺めているだけだ。
(いける!)
そう確信した。
だがここに来て何度も経験した絶望がまたも鎌首をもたげる。
出口付近に転がっていたリザンさんが最初に倒した筈のオークの一体がその身をゆっくり起こし始めた! どうやら殺し切れてなかったようだ。
「なっ⁈」
これにはリザンさんも驚愕の声を上げ一瞬手が止まっていた。
咄嗟に止めを刺そうと動き出すが、それが目の前にいるバイスに対して致命的な隙を晒すことになってしまう。
「愚かな!」
背を見せたリザンさんの背中にハルバードを振り下ろす。
「しまっ⁈」
咄嗟に気付き身体を前に投げ出すが、避けきれずに背中をかなり深くまで斬り込まれる。
「ぐあああああああぁぁぁぁ⁈」
背中を切り裂かれたリザンさんは夥しい血飛沫と共に絶叫を上げ倒れ込んでしまう。
「リザンさん⁈」
僕はリザンの名前を叫ぶが返事は返ってこない。
胸の辺りが微かに上下しているので生きてはいるようだが明らかな致命傷だ。
それにリザンさんの心配ばかりしている余裕もない。
リザンさんが倒れたことで自由に動けるようになったバイスと出口付近で完全に起き上がったオークが僕の姿をその両目にしっかりと映している。
(不味い⁈)
「ククククク、なかなかに面白い余興だったぞ。だが残念だったな小僧。力にも恵まれず、更には運にも見放されるとは!」
後ろからフォービスの不快な笑い声が響いて来るがそんなことを気にしている場合ではない。
僕は脳が焼き切れるんじゃないかと思うほど必死に頭を回転させ、この状況を打開するような妙案を考える。
でも――
(駄目だ!)
結局今ある手札で状況を打開する案は出なかった。
それでも不思議と後悔や絶望、恐怖といった感情は湧かなかった。
何故だろうかと思いふと倒れているリザンさんに視線を向ける。
もしかしたら今のこの気持ちは彼の戦う姿を見たからかもしれない。
この砦に囚われた者の覆せない運命に抗い一人で戦い続け、そして僕をもう一度立ち上がらせ、命を懸けてくれた男の姿を見たから。
なら、ここで何もしないまま終わるのは彼の行動を完全に無意味にしてしまう。
僕にとってそんなことは許せなかった。
(僕はまだ動ける……、まだ終わっちゃいない! どうせ殺されるんだったら最後に一発、今までの恨みを返してやる!)
瞳の奥に意地と決意、そして今まで虐げられたことへの復讐心。更に今日まで生きて来て初めて心に生まれた闘争心を宿し眼前の敵を睨み付ける。
(どうすればいい? 何がこいつらにとって一番ダメージになる?)
今度は逃げるためじゃない。戦うために思考を巡らす。
僕が考えている内にバイスとオークはこちらにゆっくりと近づいている。
(僕に出来る最善は……!)
更に思考を加速させて考え続けていると、ふと脳裏にある光景が蘇った。
それはこの部屋で殺された二人の奴隷、その二人の魂が黒い宝玉に吸い込まれる光景だった。
(確か、僕達はあの黒い宝玉に魂を吸わせるために集められたんだよな……、ならあの宝玉に何かあればフォービスのやろうとしていることは台無しになるんじゃないのか?)
咄嗟に閃いたことだがこれ以上のことはないと思った。
宝玉の位置は僕の後方で少し離れているが走ればすぐに辿り着く。
時間はない。既にバイスが数メートル先まで近づいている。
僕はすぐさま行動に移す。
棒立ちの姿勢から腰を落とし反転し、全力で駆け出す。
「ククク、どこに逃げようというのだ小僧?」
フォービスが面白がる様に声を掛けて来る。完全に油断しているが僕にとってそれは好都合だった。
残り数メートルの距離まで近づいた。
「む!」
ここまで来れば敵も僕の狙いに気付いた。
だがもう遅い。後は手を伸ばせば掴み取れる。
手を伸ばし指先が宝玉に触れようかという瞬間、突如僕の足元から黒い触手の様な物体が伸び上がり僕の全身を絡めとる。
「なっ、なんっ!」
驚いた僕がはっきりと言葉を言い切ることも出来ないでいるまま全身を絡めとった触手は、そのまま僕を床へと引き摺り倒し宝玉のある台座から引き離す。
「ぐっ、くそっ!」
拘束を解こうともがくが一向に外れる様子はない。
僕がもがいてる内にフォービスが玉座から立ち上がり祭壇を下りた。
「無駄な悪足掻きをしおって」
フォービスは僕を見下しながら近づいて来る。
「満足したかね? 所詮貴様らの様な下等種族が策を弄した所で我の様な絶対的な強者には意味を成さんのだよ」
僕は頭上から見下ろしてくるフォービスに最大限の敵意の籠った眼を向ける。
「ふん。大人しく家畜として生きていれば我が有効に利用してやるというのに」
どこまでも人間を見下した言い草に僕の心に憤怒が湧いて来る。
「さっきから家畜家畜とうるさいんだよ! 僕達は家畜じゃない! 人間だ! お前ら化け物に利用される道具じゃない!」
ここまで声を荒げて叫んだのは産まれて初めての経験だった。
元々喧嘩ごとや怒鳴るのは好きではなかったのだけど、それでも喉を突き破らんばかりの叫びを止められなかった。次から次へと想いが溢れる。
「お前たちにどれだけの力があろうが、特別な力があろうが、嬲り、虐げ他者を踏み躙る権利なんてない!」
僕の憎悪と殺意を直接向けられているフォービスはそれを一笑に付す。
「より強い存在が弱い存在の価値を決めるのは当然のことだ。貴様ら弱者は大人しく強者に従えばいい。さて、そろそろお終いにしよう。」
もう話す価値はないとばかりにフォービスは背を向け玉座の方に戻っていく。かわりに僕の身体を拘束している触手の締め付ける力が増して来た。
絞め殺そうというのだろう。このままでは本当にフォービスの言う弱者のまま死んでしまう。
(違う! 僕達は弱いままの存在じゃない!)
歯を噛みしめ、これだけは譲れないと強く想う。
(僕たちは力をつけて運命にだって抗える!)
折れることのない想いが溢れだし胸中を満たす。
(僕は――)
想いは限界を超えて更に燃え上り純粋なたった一つの願いへと昇華される。
「自由を手に入れる!」
パキイィィィィィィィン!
僕が自分の願いを理解し叫んだ瞬間、ポケットの中に入れていたリザンさんからもらったお守りが白銀色の光を放つと共にその身を弾けさせた。
同時に――
《特定の感情が上限を超え、二つ目の条件を満たしたことを確認。これよりスキル『解放者』を譲渡します》
(え?)
僕の頭の中にいきなり感情の籠らない無機質な声が響いた。
誰かもわからない声に僕が戸惑っていると、突如身体を拘束していた触手が霧散した。
一瞬何が起きたのかわからず思考が止まったが、身体は反射的に立ち上がり宝玉を目指す。
「なっ⁈」
後ろでバイスが驚愕の声を上げる。
それによりフォービスも異常事態が起きていることに気付いた。
バッとこちらを振り向き、半分しか肉体のない顔の目を大きく見開く。
「小僧!」
状況を確認したフォービスは腕を勢いよく振るう。
すると僕の足元からさっきと同じ触手が倍程の数になって勢いよく伸びて来る。
(避けられない⁈)
あまりの数に回避は不可能だと理解する。
また捕まってしまうと大いに焦るが、触手は僕の身体に巻き付くとさっきと同じように一瞬で霧散する。
何が起きているのか理解できていなかったが考えるのは後だ。
「馬鹿な⁈」
フォービスが驚いている隙に宝玉の元に駆ける。
「バイス! その小僧を殺せ!」
「はっ!」
フォービスの命令を受けたバイスがハルバードを手に真後ろに迫る。
「!」
それに気づき振り下ろされるハルバードを横っ飛びに回避する。
避けきった事に安堵し起き上がろうとするが、どこからか風切り音の様な音を耳が捉えたかと思うと右肩の辺りから凄まじい激痛が走りバランスを崩して倒れ込む。
「ああああああああぁぁぁ⁈」
痛みと熱を生み出す箇所に目を向けると右の肩口から先が無くなっていた。
少し離れた所に自分の腕らしきものが転がっている。
どうやら目に見えない刃で切断されたようだ。
「はあっ! はあっ! ぐうう!」
肩口を襲う凄絶な痛みに頭の中がぐちゃぐちゃに掻き回され全身から脂汗が出る。
(い、痛い!)
でも数々の拷問を受け、今よりも酷い目に遭って来た僕はそれなりに痛みに耐性を持っていた
僕は早く起き上がらなくてはと痛みに耐え立ち上がろうとするが、頭上に影が落ちる。
背筋がゾッとし恐る恐る見上げると今度こそ自分を仕留めようとハルバードを頭上高くに掲げたバイスがいた。
「ここまでだ小僧ぉ」
更に後方からは明らかな怒りを滲ませた声と共にフォービスが迫る。
(くそっ、あと少しなのに!)
宝玉までの距離はもう三メートル程しか残ってはいない。
(ここまで来たのに!)
ズキズキと痛みを訴える右肩を押さえながら胸中に焦燥を募らせる。
「やれ」
ついに死刑執行が言い渡される。
フォービスの命令と共に命を刈り取る刃が振るわれる。
万事休すかと目を瞑りそうになるその寸前、視界の端を人影が過る。
その人影は大量の血を流し殆ど消えかけているオーラを身に纏ったリザンさんだった。
あまりの驚きに僕は一瞬肩の痛みを忘れた。
「おらあああ!」
リザンさんはハルバードを振り下ろす途中のバイスに突っ込むと身体全体で体
当たりしフォービスのいる方に突き飛ばす。
「き、貴様ぁ⁈」
バイスは予期しない不意打ちにまともに体当たりを受けてしまい、成すすべなく突き飛ばされる。
「なっ⁈」
フォービスもこれは予想出来なかったようで対応が遅れる。
「いけええ! ハイジィィィィィィ!」
リザンさんの絶叫が迸る。
「!」
僕はリザンさんが作り出してくれたチャンスを無駄にしないためすぐに行動に移す。
「このゴミ共があああああ⁈」
だが自分の方に飛んで来たバイスを更に吹き飛ばしたフォービスが僕の背に向けて衝撃波を放つ。
「させるかあああああああ!」
僕の背中に衝撃波が直撃する寸前、間にリザンさんが割り込み己の肉体を盾に衝撃波を防ぎ切った。
「リザンさん⁈」
リザンさんの行動に驚き声を上げる。
「あ……が、い、いいか……ら、行け!」
「!」
引き返しそうになる足を懸命に踏みとどまらせ前を向く。
唇を噛み締め涙を堪えながら一歩、二歩と進む。
そして手を伸ばしついに宝玉に手を掛けた。
背中を見せて前に進むハイジを見ながらリザンは顔に笑みを浮かべていた。
(はは……、やったなぁハイジ)
既に肉体は限界を迎え、生命力の大半を削ることで足りない聖気を補っていたために、その命は風前の灯火だった。
最早ここで生き残り治癒魔法を掛けてもらったとしても助からないだろう。
だがリザンの顔に悲痛な所は見られない。彼が浮かべているのは満足気な表情だけだった。
(まさかこんな行動に出るとはなあ)
リザンは部屋の出入り口からの脱出が失敗に終わったとき、既に気力が尽き果てハイジに対する申し訳なさでいっぱいだった。
だがハイジはそこで終わらなかった。まだ自分の半分も生きてないだろう少年が脱出が不可能になったことに嘆くでも再び絶望するでもなく。敵に一矢報いるための行動に出た。
そのときリザンの心に去来したのは立ち止まらず走り続けた少年への驚きと尊敬、そして無様に横たわっている己への不甲斐なさだった。
騎士として鍛錬を重ねて来た自分とは違い、戦う術を持たない少年が自分よりも遙かに強い化け物に死力を尽くして立ち向かっているのだ。
今立たずにいつ立ち上がるのか。こんな所で寝ている場合ではない。
リザンはすぐに残り少ない己の命を使うことを決意する。
そしてその決意は驕り高ぶった魔王を出し抜き少年の進む道を切り開くことに成功した。
(もう俺はいいだろう……)
ハイジが宝玉に手を掛けたのを見届けリザンは瞳を閉じる。
(後のこと……も気になるが、あいつ…な…ら、だい……じょ……うぶ……)
この日アルスタリア王国守護騎士団序列六位リザン・ベクタールの人生は幕を閉じる。
 




