再会
エイスside
黒騎士を倒したが納得がいかない……あの一撃……間違いなく黒騎士は防げたはずだ
「エイス!!」
駆け寄ってきそうなリアを手で制する……まだ黒騎士が消えていない
1分程度だろうか、沈黙が続いた後……黒騎士はゆっくり立ち上がる
敵意は感じない
黒騎士は自分の剣を鞘に戻し俺に膝を着いた後に剣を差し出した
「ありがたく頂戴する」
黒騎士に頭を下げ剣を受け取ると黒騎士は消えた……まるで最初からそこには、誰も居なかったように
残ったのは俺が受け取った剣のみ……クリスタルも見当たらない……やはりイレギュラーなモンスターだったのだろう
さてと……今日はこれで帰ろう
「リア、今日は引こう欲張っても仕方ない」
「いいのか?」
「あぁ……剣の試しならいつでもできる」
俺が取り出した剣を再び魔法陣に入れ、黒騎士の剣を背負いダンジョンの魔法陣に背を向けて出口に向かって歩き出す、行きとは違い野次馬が自然に避けてくれる為に歩きやすい
「エイスこれを」
リアが道中で盾を渡してくれたので腕に装着する
「本当に引いて良かったのか?」
リアが心配そうに聞いてくる
「あぁ……アイテムは使ってないし実質は損得無しだ……なら明日体調を整えてまた来ればいい」
ダンジョンは生きてさえいればいつでも挑戦できる
「やっぱりエイスは変わっている」
「そうか?」
自身が一般常識が抜けているので何とも言えない……まあその一般常識を学べる場所を自分で辞めて此処に居るのだから
まぁ……常識なんて物は物心がつくまでの偏見と聞いたなら……俺の常識で戦えばいいそれだけの話だ
「しかし……どうしたんだ?なにか腑に落ちない事でもあるのか」
出口まで腕組みをしていたせいか、リアが聞いてくる
「いや……腑に落ちない所が多くてな」
黒騎士の目的はともかく、出現した条件や相手を殺さなかった理由も不明だ
「私としては情けない姿を見してしまったそちら方が」
そう言ってしょげるリア……
「まぁ……あれだけの相手に次があるだけ幸運だ」
実際に格上と戦って2回目があるのはかなりの幸運だ……本来なら2回目など絶対に存在しない
「しかし……」
リアの様子を見るとなにやら事情がありそうだが、深くは聞かない俺自身が他人の過去に余り興味がないのと話したくない話は無理に聞く事はしない主義だからだ……しかし、この不調を明日まで引っ張られるのは困る
仕方ない……あまり物で釣ると言う事はしたくないんだが
「リア……中古で申し訳ないがコイツをもらってくれ」
魔法陣を書き黒騎士との戦いに使った剣を取り出す
「これは……いいのかかなり良い物に見えるが」
なかなかいい目をしている
「流石にもらった剣に埃をかぶらせる訳にもいなかいが……ソイツも埃をかぶらせる訳にはいかない」
長年付き添った剣だ強い剣が手に入ったと言う理由だけで埃をかぶらせたくない
「わかった……貰っておく」
リアが剣を背負う……尻尾を見ると僅かに左右に揺れている
明日は問題なさそうだな安心していると
「エイスーー!!」
誰かに名前を呼ばれた……この都市に俺の知り合いは殆どいないはずなのだが
「みっけたぁ~~」
かけ声と同時に背後から抱きつかれる
「クレトか?」
「正解久しぶり」
久しぶりと言っても俺が学園を辞めてまだ2週間もたっていない
「いいじゃないか元パートナーなんだからそんなに邪険に扱わないでよ」
「エイス誰だ?」
静かになっていたリアが聞いてくる
「ボクはエイスの元パートナーのクレト!!平民だから名字はないよ君は?」
「私はリア……エイスの奴隷だ」
奴隷
一応、道具として扱われある程度の行動を禁止できる
※禁止できる行動は1回契約を結ぶと主の意志で変えられる
エイスの場合は秘密を守れと自分に危害をくわえるな但し防衛は許可するだけなのであって無いような物
主は衣食住は最低限守らなければならない
財産を持てるので働いて自分を買い戻す事も可能だが、給金の3割りは主に収めなければならない
※エイスがリアに報酬を払った場合は貰った3割りをエイスに返さなければいけない
「エイスよく奴隷なんて買えたね」
「運良く拾っただけだ」
実際リアを拾えたのはかなり運がよかった
「クレト殿……視線が集まっているのだが」
リアに言われ周りを見ると確かに視線を集めている……道の真ん中で騒いでいるのだ当然かもしれない
「場所を変えようか」
「あぁ……その前に降りてくれ」
実はクレトを背負ったまま話を続けていた
「久しぶりなんだからさあ……少しぐらいはいいじゃんケチンボ」
いや……それが視線を集める一因になってるんだが