仲間
フォールに到着した
リアに肩を貸して受付嬢の所まで歩く
「すまない……適切な治療が出来る人間と、上の人間を呼んでくれ遺品を拾った」
俺がそう言うと、受付嬢は素早く動き始めた
「すいません、この札を持ってお待ち下さい」
受付嬢から1と書かれた札を渡された
とりあえずこれで、受付での手続きは終わりらしい
ひとまず休む為に、空いているベンチに座る
「ふぅ……」
「すまない君がソロで3階までクリアしたシーカーかい?」
いきなり話しかけられた……とりあえず、話しかけてきた人間を観察する。
性別は見た感じは男
種族はおそらく人間
年齢は少なくとも俺より年上
装備はマントに片手武器は片手剣に盾で教科書通りの基本的なシーカーの装備
靴の汚れと男の年齢が見ため通りだと……要件はおそらく
しかし……他に言いたい事がある
「いきなり人が探索している階層を聞くのは失礼じゃないか?例え相手が年下であっても」
少し相手を睨みながら返事をする
顔なじみのシーカー同士ならまだしも、初見の相手に現在攻略している階層を聞くのはあまりよしとされていない
シーカー同士の暗黙の了解だ
しかもコイツはいきなり聞いてきた警戒すべきだろう
俺は利用されるのはごめんだ
「それは申し訳ない」
あっさり謝罪をする男
「それで……イエスと言ったら?」
いつでも反撃ができるようにして、返事をする
「僕達のパーティーに誘おうと思ってね」
なる程……やはりな
今現在、外のパーティーに所属するのは俺にとってデメリットしかない
「ならノーだな…俺じゃないそれに」
正直に話す義理もないので嘘を言う
「それに?」
「1番の札をお持ちの方コチラの受付に来てください」
男が訪ねると受付から呼び出しがあった
「先客がある」
札を相手に見せながら受付嬢に言われた受付に向かう
男は何か言いたそうだったが無視した
受付の前に立ち札を見せる
「確認いたしました拾われた遺品はどうなさいますか?」
「引き取り金で頼む」
遺品の扱いは主に2つ
自分で使う場合とフォールに渡し引き取り金を受け取る事
「わかりました次に奴隷はどうしますか?」
「直接話しがしたいのだが?」
「問題ありません案内いたします」
そう言われ受付嬢の後ろを歩く受付嬢に案内される
受付嬢の後ろに着いて行くと受付嬢の服を着たリアが居た
「すまない先程は助かった」
リアが頭を下げる
「別にいいが……これからリアはどうしたい?」
「どうしたいとは?」
俺の言葉に首を傾げるリア
「俺の元で働いて自分を買い戻すか?
それともギルドで働いて自分を買い戻すか?」
どちらにしても俺に損はないのだが……
「私はエイスに恩を受けたできるなら、恩を返すチャンスをくれ」
義理堅いな
「わかった、これからよろしく頼む」
「あぁ」
リアと握手をするが、今から準備をしなければならない物が多くある
私服や下着類・武器に防具も
因みに今着ている服はくれるらしい
さすがフォール太っ腹だ
銀貨10枚を受け取り
フォールから出て服屋に向かう
「服や下着はどうする?」
「とりあえず……一週間分は欲しいな」
一週間分か……まぁ妥当な数だろう
服屋に到着し店内にはいる
「適当に選んできてくれ流石に抵抗ある」
あんまりジロジロ見られたくないだろしな
「意外にウブなのだな……わかった終わったら呼ぶ」
リアが店の奥に入って行った
店の外で待っていると、さっきの奴らがうろうろしている
「よろしければ店内に」
店員が声をかけてくれた
助かった、店員に礼を言って店内に入れせてもらう
「すまない……少し遅くなった」
「気にするな会計を頼む」
リアにそう言って、店員に会計を頼む
「合計で銀貨1枚と銅貨7枚になります」
女物の服は高いんだな勉強になる
店員に金を渡し店を出る
店名は覚えたから、行き着けにしよう
次にリガンさんの店に行き武器と防具を見てもらう
「すごい」
尻尾と耳が激しく動いている
「ハズレはない好きな武器を選べ」
軽鎧と剣と盾を購入しリガンさんに銀貨2枚を支払う
最後に宿屋で部屋を2人部屋に変更してもらう
「こんなに使って大丈夫なのか?」
リアが心配そうに聞いてくる
「先行投資だ問題ない」
部屋に入るとベットが2つに大きめの机と椅子が4つ
疲れをとるには問題なさそうだ
「明日はダンジョンに潜るゆっくり寝て疲れをとってくれ」
「あぁ、了解した」
翌日
とりあえず、3階に向かう
「とりあえずリア戦ってみてくれ……」
「わかった」
相手は少し大きめの鶏だ
リアが剣を抜き鶏に向かって行くが、あまり心配はしていない
フォールに渡した装備を確認した時に装飾品などは、高そうな物ばかりだったが……装備の方は、あきらかに3階では通用しなさそうな物ばかりだった
おそらくは
「終わったぞ」
リアの力=自分達の力と勘違いして死んだんだろうな
さてと……尾行をしてる奴らはどうするか……
悪意は感じないがモンスターをコチラに引き連れて来てもらっては困る
あの手で撒くか
「リア」
「どうした?」
クリスタルを拾ってリアが近寄ってきた
「尾行されている」
「なに!!」
叫んだリアの口を手で押さえる
「すまない、だが……どうするつもりだ?」
声を小さくしたリアが聞いてくる
因みに、尻尾と耳がしょげていて可愛い
「作戦がある……だから心配ないで、なるべく普通に歩いてくれ」
「了解した」
周囲を警戒しながらなるべく普通に見えるようにリアを連れて歩く
途中で何度かモンスターと戦闘をしたが、後ろから攻撃してくる気配はない
目的地まで後、10メートルちょっと
「今だ走れ!!」
「了解」
リアに叫び走りだす。
急なダッシュに驚いたのか、ワンテンポ遅れて追跡者も追いかけてくる
「こっちだ」
ボス部屋に突入しよとするリアの腕を引き、モンスターハウスに入る
「邪魔をするな!!」
左腕を思いっきり横に振り、近くに居たモンスターをまとめて蹴散らす
クリスタルがもったいないが、今回は諦める
作戦に必要な場所は前回の戦闘で確認してある
リアの腕を掴んだままで、床にあるトラップのうち1つを作動させる
カチッ
その音が聞こえた瞬間に、素早く振り返ると追跡者のパーティーと目があった
モンスターハウスまで追いかけて来た奴らが、驚愕の表情で固まっていた
俺とリアは、床にいきなり開いた穴に吸い込まれた。
落とし穴
引っかかった物の全てを例外なく、強制的に次の階層に落とすだけのトラップ
これだけを聞くと、恐ろしくともなんともないが、考えみてほしい
もしも……撤退中や満身創痍の状態で、敵が更に強くなる下の階に落とされたらば……待っているのは死の運命のみだ
因みに……落ちる場所はランダムで変わる為に、もし追跡者が続けて落ちてきても出会う心配は少ない
作戦成功だ
相手の顔も確認できた、後の事はフォールに任せればいい