プロローグ
「…………。……どうやらタイミングが悪い場面に出くわしてしまったようね」
現在、俺たちが立たされている状況を端的にナーガが言葉にしてくれる。
目の前には合いも変わらず喧々囂々と罵りあう二つのPT。片方は悪名高い山賊の《バンデット》たち、もう一方は相馬栄治がリーダーをしている《ホワイトフォース》の一団。
「にひひ。《ホワイトフォース》と《バンデット》はCSNゲームの楽しみ方が真逆に位置するセルズだからねぇ。まさに呉越同舟って感じだぁね」
トラの冷静な物言いに俺は頭を抱えた。
い、嫌だぁ! こんなことに巻き込まれたくなぁい!
悶えていると、いきなりすくりとミライが立ち上がった。
「こらっ! みんな仲良くしなきゃダメだよっ! 喧嘩はやめなさーい!!」
まさに『ババーン!』という効果音が似合いそうなミライの登場に、
「「「あぁん!?」」」
二つのPTが眼を三角にして俺たちを威圧した。
ちょ、ちょっとミライさーん! 殺されますってばー! マジでぇー!
と、その時だった。まさに鶴の一声が教会内に響いた。
「あなたたちッ!! 神聖な場所で何をしているのですッ!」
開け放たれた教会の両扉、そこに一人の女性がお怒りの形相で立っていた。
おっと、他にもプレイヤーがいらっしゃいましたか……。どうやら教会に流れ着いていたのはここにいる3PTだけではなかったらしい。
歳の頃なら二十歳手前といったところだろうか。純金を溶かしたような金髪を背中で靡かせた女性だった。腰には流麗な細工が施された洋剣の鞘をぶら下げている。その割には鎧などはつけておらず軽装だ。ネックレスをつけているらしく、首から銀色のチェーンが服の中――彼女のふくよかな胸元へと伸びていた。
ほぅ、88のDカップか……!
視線を彼女に合わせてみるが……名前は表示されない。どうやら非表示設定にしているらしい。
彼女は教会内を順に見回すと、さらに厳しい顔になって鞘から洋剣を抜き放つ。
ぎらりと光る白刃を突きつけられて俺たちの間に緊張感が走る。
「全員、見ない顔ですね……。どこの村から来たのですか! 名乗りなさいッ!」
……村? 村って……?
彼女の不思議な言動に俺たちははたと顔を見合わせた。




