表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『ワールドマスター』/サイバーソーシャルネットゲーム  作者: 著者不明
ERROR2 『無情なるチュートリアルプログラム』
23/109

エピローグ

 身を焦がすような強烈な痛みが治まり眼を開くと、俺は真っ暗の空間に浮かぶいくつもの光の輪を潜り抜けて落ちていっていた。

 あ、あれ……? どうなったんだ?

 死んだらデータは削除されてキャラクターを作り直さなきゃいけないんじゃなかったっけ?

 俺の体に傷は一つも無い。痛みも完全に引いている。

 一体、この光の輪はどこまで続いているのか、しばらく身を任せているとやがて眼前に眩しい光が飛び込んできて――


「んぎゃふっ!!」


 俺は顔面から地面に着地していた。

 土下座したような無様な体勢から鼻をこすりこすり顔をあげてみる。するとどうだろう、まず眼に入ったのは女性の像だった。

 祈るように顔の前で手を組んだ真っ白の像が台座の上に建っている。後ろのステンドグラスからは七色の光が彼女の背中へ降り注いでいた。

 キリスト教のマリア像かと思ったがどうも違う。その女性像は腰に剣を携えていた。

 その神秘的で荘厳な光景に、思わず佇まいを直してしまう。


「ここは……教会、なのかな? 一体……どうなったの?」


 隣でミライが不思議そうに呟いた。ここへ流れ着いたのは俺だけではなかった。ミライ、トラ、ナーガ、ミヤも俺と同じように理解が及んでいない表情を浮かべている。


「……やはり。【チュートリアルの世界】を抜ける方法は『死ぬこと』だったようね」


「それって……私たちは今、次の世界へ漂着した……ってこと?」


 ミヤの問いにナーガは「おそらく」と頷く。

 ナーガの言葉で俺も状況を把握できた。

 なるほど……ドラゴンにやられた連中が戻ってこないと思ったら、一足先にこの世界へ飛ばされていたってわけだ。


「じゃあ、ここからが『ワールドマスター』の本番ってわけだねっ! 今度こそ死ねないねっ!」


 いきなりハイテンションになって眼を輝かせているミライさん。

 分からないなりに俺たちが状況の確認をしていると――


「てめぇらッ! 俺らが《バンデット》と分かってて武器抜いてんのか、あぁ!?」


「お前たちこそ俺たちが《ホワイトフォース》だと分かっているんだろうな!?」


 いきなりヤクザばりの怒号が響いて俺たちはそちらへ視線をやった。

 教会の入り口付近、そこでは二つのPTが対峙していた。

【チュートリアルの世界】を抜けると次の世界各地――しかもランダムな場所に放り出されるという話だったが、俺たちのPTと同じようにこの教会へ流れ着いたPTが二組いたらしい。

 しかもその二組というのが――

 右側には悪名高い山賊の《バンデット》たちだ。

 骸骨がシミターを持って笑っているエンブレムが各々の背中に描かれている。全部で一二人――PT限界人数まで――いた。

 左側には我らが城東学園で随一のセルズ《ホワイトフォース》の面々、らしい。

 みんなの先頭に立って剣を抜いた〈ソーマ〉というプレイヤーはもしかしなくても俺のことを毛嫌いしている相馬栄治に違いなかった。こちらも全部で一二人いる。

 どうでもいいけどゲーム内でもポニテが素敵ね、相馬っち!

 さて、計二四人は武器を構え向かい合っているわけだが……うーむ、どうも和やかに談笑しているというわけじゃないみたいだ。

 っていうか、どう見ても戦争始まる五秒前、略してセンゴな感じである。

 ぷっ、戦争前なのにセンゴとか我ながら面白いことを――言うとる場合かあぁーっ!!

 い、いきなりなにしてんの、この人たちー!? 超怖いんですけどー!?

 俺たち五人は二つのPTが散らす火花に唖然とするしかなかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ