闇より貪られて
荒吐の吐き出すは、赤鉄の吐息。
人の世を照らし出す明かりにして息吹。
血潮と黒鉄と黄金が紡いできた見えざる乱世。
黄泉路の浅黄は青山を焦がし、
煩悩は臭水の海を飲み干し、
しかして猶乾きを癒す事を知らず、
更なる鉄血の贄を欲する。
賜りたる恩賞は悲嘆と退廃に彩られ、
その行き着くは絶望の川のそのまた向こう。
そしてまた俗世は繰り返す。
即ち俗世の俗世足る、森羅万象の全てを。
飢えてなお満腹に程遠いは世の常なればこそ、
満足を得たものは飢えに苦しむが万世の道理足るや。
あらざるが故に存在せよ、
在るべくして在り得ざるは在り得ないが有理なりと。
在りし日は既に亡く、来たるべき日は未だ無いのだ。