猫蜉蝣2
連載中「たった一つの世界」のサイドストーリー。
夏の刻のぼる虚空の夢
道を歩く途中、老人が夜空を見上げていて、思わず声をかけた。
「・・・・見えますか」
「うん」
「何が見えるんですか」
「彗星だよ」
「見えるんですか?」
「うん
たくさん流れているから」
夜空から目を離さぬままに会話は紡がれ止った。
そうだ。そろそろ行かねばならぬ。
老人と茶猫は歩き出す。
老人はいつしか猫に変わっていた。
土手の斜面
鉄の塊(電車)が通る鉄筋コンクリートの橋の下で、僕らはたむろしている。
茶猫はあくびを一つ。
時折人間も通るが、夜はほぼ無人。
「さぁさぁ始めよう。
この世の理を人間どもに突き付けるのだ。」
三毛猫がふらりとやってきて、会議が始まる合図をした。
人間だと思っていたものが実は猫だったり、猫だったものが人間になったり、猫が人間として日々を過ごしていたり、猫なのに人間の言葉が理解できたり話せたり。
というのが凄く素敵だと思ったり。