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信じたい未来  作者: はる
7/22

イヤリング





ショッピングモールに入った私たちはとりあえず気になったお店に入り、気になったものを見て回る。


「ね、ね。これは?」

「あー、ね…?こっちは?」


服や小物を見て回るものの、なかなかピンとこない。入って数品品定めをして店を出る。そんな状態が続いていた。


「ねー、ね。これ買っていい?」

「ん?良いんじゃない?買っても」


彼氏の手にはスタイリッシュなボールペンが握られていた。


「んー…」


それでも、彼氏はそのボールペンを戻して、また違うものを物色し、買っていいかを聞いてくる。


「うん?良いと思うよ?」


それはクッションだったり、ノートだったりする。そんなに欲しいものがあるのか。とも思ったけれど、私が答えるたびに棚に戻す。彼氏の給料額は定かでは無かったが、絶対私よりも上なはずだ。買えないという代物でも無いだろうに。


「…?買わないの?」

「うん、いいや」


そう言って、くるりと背を向けた。どうしたんだろう。考えていることが読めなくて、頭の中で唸りながら彼氏の後を追った。


__




「じゃあ、気を付けて帰ってね」

「うん、今日はありがとー!めっちゃ楽しかった」


にっこりと笑う。あぁ、帰りたくない。

でも仕事が忙しいと言っていたし、私も明日は仕事がある。帰りたくないって言ったら、どうするんだろう。そんなことが脳裏をよぎった。


「…じゃあ、またね」


でも、その言葉を飲み込んで改札を通る。改札を渡り切って、振り向けばまだ彼氏が立っていた。もう一度、手を降り踵を返す。急いでホームへと向かった。


新幹線はまだ乗り慣れていなくて、ホームがここで合っているか不安になり鞄を漁った。


ポケットから小さな黄色いケースを見つけた。


今日、彼氏から貰ったものだ。デートの前に『何色が好き?』不意に聞かれて、私は青色が好きと答えた。ケースの中にはわたしが好きと答えた青色で作られたイヤリングが入っている。


「え?すごい…」

「どう好き?」

「うんうん、めっちゃ好き。ありがとう、可愛い」


何回首を縦に振っても、何回好きって言ったとしても、この嬉しさが上手く表現できない気がする。それでも、手の中に収まっているイヤリングを見つめてふふっと笑った。


「ありがとう、大切にする」


その場で開けて無くしたり傷付いたりしたら、きっと私は当分凹む。だから、その場では開けず持ち帰ることにしたのだった。


鞄の中からケースを取り出し、ふふっと1人で笑う。周りからしたらとても変な人に見られているんだろう。


私は本来の目的を思い出し、丁寧にケースを鞄に仕舞いiPhoneを取り出した。

久しぶりに見た画面通知に彼氏の名前があり、またもやふふっと笑った。新幹線が到着する前に座席やホーム番号を確認し、無事に乗り込んだ。


『今日はありがとう、気を付けて帰ってね!』

『こちらこそありがとう!プレゼントも大切にするね!』


座席に着くなり、彼氏からのLINEに返信した。送信ボタンを押した後に、そういえば手も繋いでないことを思い出した。


(でも、また次があるし…)


次こそはちゃんと言葉にしていかないとな。新幹線の中で一人反省会をした。




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