猫に怒られる
昨晩はいつ寝たのかさえわからない。お風呂に入った記憶も断片的にはあるが、気付いたら寝ていた。そんな記憶しか残っていない。
目覚ましが鳴る前に起きたものの、iPhoneがどこにあるかわからない。昨日の微かな記憶を辿り、まだ鞄の中にあったことを思い出す。充電が残り15%となっていた。慌てて充電し、やらかしてしまったことを思い出す。朝からため息を溢しながら通知を見た。
『とりあえず記載の在庫確保はしました。包装と熨斗は準備出来てないので、後日よろしく。 午前、お疲れ様!』
店長からのLINEが来ていた。送信時間を見ると、22:30となっていた。きっと遅番も忙しかったのだろう。そしてきっと店長も1日の売上や来店数を確認し、午前の忙しさの具合を把握したのだろう。最後に入れてくれるメッセージが嬉しかった。
少し一安心したものの、あと連休は4日ある。2週間後に来店すると言っていた日は私が非番で休みだ。
「……早めに行こう」
結局、予定は変更せず30分早めに出勤することにした。
___
「ニャー!」
私が起きたことに気付いた猫のナナは、足元に擦り寄ってきた。ゴロゴロとし、早く餌をくれと言わんばかりに頭を擦り付けてくる。
「おはよー…」
少し屈みゴロゴロと鳴らしながら左右に揺れている頭を撫でようとしたら、急に顔を上げて手に噛みつこうとしてきた。
どうやら本当に″餌だけ″を強請っているらしい。すぐに手を引っ込めて階段を降りた。
ニャー、ニャー。と言いながらずっと足元を着いてくる。可愛いが、足を出す場所に猫がいるとどうしても跨ぐしかない。
「ニャー!!」
「え?なんで?」
何故だかそれに怒られた。笑いながら餌の入った缶と、冷蔵庫から冷えた缶詰を手にした。猫の声は待ちきれないというように鳴き、再びゴロゴロと喉を鳴らし頭を擦り付けてくる。
「ナナ、動けんよ…?」
待ちきれないというのは分かるが、そんなにウロウロとされてしまっては私が動けない。餌を入れた器を手にしながら苦笑いを浮かべる。
少しずつ進み、ようやく指定の場所に容器を置いた。小さい顎なはずなのに、カリカリという音が響く。そんなに慌てて食べなくてもいいのにと思うがそっとしておく。きっと、また怒られてしまう。




