的中した予感
ドリンクに入ろうと後ろを振り返る。ふと店内にある壁掛け時計が気になり時間を確認した。あぁ、もう30分が経っている。これからさらに混雑する時間帯が続く。
お客様の列の間を少しだけ横断し、ドリンクに入るために手を洗う。伝票を確認すると、今日から発売の新作ばかりがオーダーされていた。
「あ、待って。1人購入待ちの人いる」
東田さんがドリンクを作っている手を止めずに、私にそう告げてきた。
「分かった」
急いで手を拭いて、先ほどまで立っていた場所まで戻るとスーツを着た60代前後の男性が立っていた。
「あの、お決まりでしょうか?」
あぁ、この混雑時に…。少し嫌な予感を感じどうか予感が的中しないようにと心の中で祈った。
「大量注文でできる?」
あぁ、やっぱり予感が的中した。内心ため息を吐き、冷静になれと言い聞かせる。少しの覚悟をしてから回答した。
「えぇ、もちろんでございます」
「じゃあ、このチョコレートを20個。熨斗付きで、社名だけ入れてもらえる?」
「かしこまりました」
「で、あとはこのクッキーは10個で、それも熨斗付き。こっちは名前を入れて欲しい」
「かしこまりました」
「で、あと…期間限定のクッキー20個入りを、15個。熨斗なしで」
メモを書き、お客様から必要事項を聞き取る。
「領収書出して、あと後日の受け取りでもいい?2週間後に取りに来るから」
「…かしこまりました、領収書発行させていただきます。2週間後にお待ちしております」
先に会計を済ませ領収書を発行する。ありがとうございました。そう言いつつ、お辞儀をする。さらに増えたやることリストを脳内で整理する。
(あぁ、もう…。)
簡易的なメモをとりあえず、スタッフ用の連絡ノートに貼り付ける。後でこれも追記しておかないと店長に叱られる。そんなことを思いながら、今度こそドリンクに入った。




