思い通りにはならない
好き″でした″の少し未来の話。
『久しぶり。付き合う人が出来た。だからもう連絡できない』
一呼吸置いて、送信のボタンを押した。
『…そうなんだ。おめでとう。でも、連絡できないは意味わかんない』
素っ気ないLINEに、素っ気ない返信がくる。こっちの方が意味がわからないと言いたい。
とぼけている訳でも、茶化しているわけでも無く彼は本当にそう思っているんだろう。
(だから、なんで…)
『彼女が昔好きだった人と連絡取っていたら嫌でしょ?私だったら嫌だし、相手を不安にさせたく無いからそう言ってるんだけど』
あぁ。やってしまった。
そこまで言うつもりじゃなかった。でもこれは私なりの本心だから仕方がない。おかぴーに今の気持ちを伝えても、きっと伝わらない。
深いため息を吐きながら、LINEの画面を見る。
あれから色々あって、私は店長職を務めて退職した。そこから、おかぴーとも連絡は取っていなかったから、連絡をするのは2年半ぶりだった。
もう少しスムーズに『そっか、おめでとう』と言ってもらえることを期待した。
好き″だった″というのを、やっと認められる。そう思っていたのに、相変わらず思い通りにはさせてくれないらしい。
『いや、まじで意味がわからん。なんで彼氏が出来たからトモダチとの連絡を絶つの?そんな関係性、ほんとに楽しいの?』
返信を見て、さらに深いため息を吐いた。2年半というのは、こんなにも人を変えるのだろうか。散々な言われようだ。
『ごめん、きっと今は何を言っても無理だね。さようなら』
こんな形にしたくは無かったのに。
いつだって、おかぴーとの結果は思い通りにさせてくれない。