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世界の構造をわからされる

挿絵(By みてみん)

ガブリエル・アークエンジェル

年齢/28歳

身長/162cm

体重/51kg

B/98cm

W/63cm

H/85cm

 この世界ガディスは、無限の母なる海たる〝果てなき海〟に女を表す記号〝♀〟の形をした大陸が一つ浮いているそうだ。


「転生した女神候補は、まず中央の十字が交差する地点に漂着します」

 びっしりと書物に満たされた天井まで届く本棚に挟まれる大理石の回廊で先頭を歩きながら、リピカはそんな説明する。後ろを、璃里音とアテナとカーリーがついていく格好だ。

 備え付けのシャワーも浴びてさっぱりし、一瞬で洗濯から乾燥までできる魔法の洗濯乾燥機もあるので服も新調したみたいにぴかぴかだった。

「北を上として、漂着する地点によってだいたいどこ寄りの女神に向いているかがわるようにもなってもいますね」


「どこ寄り?♥」

 継続するリピカノ解説に、小首を傾げて璃里音が尋ねる。


「東西南北に伸びる大陸の先端には、それぞれの道を極めた四大女神が座している」

 アテナが口を挟んだ。

「東は自由の属性に向いた修行場で、征しているのは自由の女神マリア・アンヌ。西は秩序の属性に向いた修行場で、征しているのは正義の女神テミス・ユースティティア。南は中立の属性を持つ修行場で、征しているのは太陽の女神ヒミコ・アマテラス。それら全属性を極めねば修行の難しい北の果てにいるのが女神たちの頂点、全てを征した美と愛の女神王ヴィーナス・アフロディーテだ」


「ここは、北東の海岸に面する街セカンドヘブンです」

 話ながらリピカか手をかざすと、その先の本がページを開きながら手元に飛んできた。どうやら地図帳で、♀の形をした大陸図が掲載されている。

「つまり璃里音様は、自由と頂点に立つ素質をお持ちというわけですね」


「あたいと同じじゃな」

 と大きな胸を張るカーリーだ。


「わたしは北西に漂着した、同じ戦神でも自由型と秩序型の違いというわけだ」

 とアテナだ。


「ふーん♥」地図帳を引ったくった璃里音は、面白そうに感想を洩らす。「ちょっとはこの世界もあたしのすごさを理解してるみたいね♥」


「それでこれからの予定はいかがいたしましょう?」

 リピカが質問する。

「どこで修行してどんな女神を目指したいかで、ご案内する箇所は変わりますが」


「全制覇に決まってるじゃない!♥」

 自信満々に璃里音は宣言。みな、呆気にとられて立ち止まった。


「わひゃひゃ」やや遅れて、カーリーがまず笑いだす。「そりゃすごい夢じゃのう。あたいも一時期は目指しとった、こいつを倒せず躓いたが」

 青い肘でアテナが小突かれる。対象も返した。

「こちらも同じだ。頂点を目指すとはそういうことだぞ璃里音。女神たちとの勝負に勝って勝って勝ち続け、全ての上に立たねばならない」


「さっきの話だと、東西南北のチャンピオン倒しちゃえばいい話なんじゃないの?♥」


「そ、それはそうですが」

 メスガキに圧倒されていたリピカも、ようやく口を挟む。

「みんなそれぞれを征したからこその四大女神なんですよ。エ、エッチのテクニックもすごいんですから。女神王ヴィーナス様にいたっては――」


「なぁ~に?♥」

 璃里音は揺るがなかった。

「三人ともわたしに負けちゃった弱々のざこのくせに何言っちゃってんの?♥ あたしはね、夢は絶対あきらめないのよ♥ 生きてる限りどんな荒唐無稽な夢も追えるんだから、命ある限り叶わなかったなんて状況はないの。んなこと言えるってことは、即ちあきらめたってことなのよ♥」


 圧倒される一行の前に一つの影が立ちはだかった。

「さような大言壮語は、まずわたくしめを退けてから仰ってほしいですわね」

 そう述べた影は、白い長髪に白い肌。白い衣を百合の花で飾りラッパを携え巻物を抱き四枚の翼を持つ、カーリーよりやや年上感のあるほっそりとした美人系天使であった。


 リピカもアテナもカーリーも、いつの間にか降臨していた新たな天使に驚いた。正体を知るらしい案内所内の他の女神や候補たちも、そそくさと離れていく。

「あんた誰?♥」

 相変わらず無遠慮なのは女子小学生だけだ。


 すると己の大きめの胸に手を当てて、相手は悠然と名乗るのだった。

「これは失礼。無礼者に習ってこちらも同じ轍を踏むべきではありませんね。わたしくめはガブリエル・アークエンジェル。案内所の最高責任者、伝令の天使ですわ」



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