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アップちゃんの秘密

「お、お父さん?」


「はい。娘のアップちゃんがお世話になっております。風のうわさでセントさんのパーティーにいると聞きましたので」


 とりあえず、俺の部屋に入れる。

 アップちゃんパパは酷くやつれた顔をしていて、もうすでに心身ともにガタがきているのが伺える。

 そりゃあ、娘がいきなり家出したんだ、無理もない。


「アップちゃんは、元気でしょうか」


「会いに行ってないんですか?」


「顔をあわせたら、逃げてしまいますので」


「親に反対されて、家出したとか」


「はい……。だらしない父親で申し訳ございません」


 アップちゃんを家に帰す協力をしてくれってとこか。

 まったく、めんどくせえ。だからアップちゃんをパーティーに入れたくなかったんだよ。

 ていうか、まず肝心な部分を俺は知らない。


「アップちゃん、ギルドマスターになりたいみたいですけど、なにがあの子をあんなに駆り立てるんです? 誰かに憧れて、みたいな?」


「いえ、話すと長くなるんですが……」


「なるだけ短く」


「アップちゃんには、大好きなおじいちゃんがいたのです。ある日、おじいちゃんと山菜を取りに山を登ったのですが、偶然その日、とある竜人族もその山に用があったのです」


 竜人族……。


「山を根城にしている、『エロマンガ二デテクルゴブリン』の討伐クエストを受けていたそうです。その竜人族は、ゴブリンを倒すため、なんと口から発射したエネルギーで山ごと消滅させたのです」


 ……。


「アップちゃんは幸運にも無傷でしたが、おじいちゃんは……。アップちゃんは、件の竜人に復讐するため、ギルドマスターになれるほど強くなろうとしているのです」


「訴訟を起こしました?」


「それが……その山は一般人立ち入り禁止だったので」


 アップちゃん側に落ち度があるわけか。

 さて、なーんかこの先の展開見えてきたぞ。


「で、その竜人の名前は?」


「イステです」


 はい、アップちゃん追放します。

 追放追放追放でーす。

 当たり前だろ。アップちゃんとイステ、どっちが使えるかなんて考えるまでもない。

 イステの正体を隠して……とか絶対に嫌だ。そんなのスーノとウェスタだけで充分だから。


 実はイステは仲間でしたってバレるも面倒だし。


 決めたから、これ決定事項だから、なんだかんだパーティーに居続けるオチとかないから。

 マジで追放するから。

 子供だろうと容赦しないから。


「どうか、どうかお力を貸してください。ギルドなんて、アップちゃんには早すぎます! 危険です!! アップちゃんを連れ戻したいのです!!」


「わかりました。協力しましょう」


「え!? 本当ですか!?」


「もちろん」


「で、でもアップちゃん強いですよ?」


「別にいいですよ」


「素直で良い子ですよ?」


「平気です」


「将来性ありますよ?」


「あんたどっちの立場なんだ」


「あ、すみません。つい親バカが発動してしまい……」


「とにかく、この件は俺に任せてください」


 とはいえ、どうしたものか。

 アップちゃんは頑固だからなあ。ウェスタたちは協力してくれるのだろうか。

 いや、させる。絶対に。


 アップちゃんの復讐を諦めさせる方法、か……。


「あ、そっか」

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