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Aランク昇格!

※サウム視点です

「ウェスタも復帰したことだし、久々に気楽なクエストでもやろう」


 酒場にて、わたくしたち三人にセント様が告げました。

 人物に関する記憶を失い、どうなるかと心配しましたが、パーティーは存続のようです。

 セント様も、少しずつわたくしたちのことを覚えくださってくれています。


「いいけどセント、あんた大丈夫なの? 親のことも忘れちゃったんでしょ? 実家に連絡するとか、一度帰省するとかした方がいいんじゃない?」


「別にいいよ」


「そ、そう」


「それよりお前ら気づいてたか? 地下城をクリアして、晴れて俺たちはAランクに昇格する権利を得たんだ。あとで手続きしよう。……これでギルドマスターへの道が見えてきた。みんな、この調子で頑張ろう!」


 うぅ、セント様が自らわたくしたちを鼓舞してくださっている。

 セント様の恋人として、このサウム、どこまでもついていきます!!


「でさ、話は戻るけど、巨大人食いクマ退治のクエストをやろうと思う。Bランククエストだし、いまの俺たちなら余裕だろ」


「いつやるんですか?」


 スーノさんが問いました。


「そうだな、今日は昇格の手続きで遅くなるし、明日」


 ウェスタさんが「うーん」と唸りました。


「ごめん無理。明日はお母さんの誕生日だからさ、一日尽くしてあげたいんだ。みんなで行ってきなよ」


「じゃあ明後日でもいいよ。ウェスタがいないと意味ないだろ」


「え? あ、うん」


 妙な違和感を覚えました。

 いや、違和感と表現するほどではないのですけど、少し引っかかったのです。


 いまのセント様の口調、どことなく冷たかったような。

 いまのセント様の視線、どことなく苛立ちを孕んでいたような。


 な、なにを考えているのでしょう、わたくしは。


「イステさんも来るのですの?」


「あいつは来ないよ。俺たちだけ」


 どうしてセント様は、わたくしたち四人に拘るのでしょう。イステさんとはずっと同じパーティーですのに、共にクエストを受けたのは、地下城のみです。


 もしかして、わたくしを取られるんじゃないかと心配しているのですか!?

 わたくしの心はセント様に捧げてますのに!!


「ところでさセント、ダブのことなんだけど……」


 ウェスタさんが話を切り出して、場の空気が一瞬で重くなりました。

 ダブ。ウェスタさんのお姉さんを攫った盗賊団。

 そしておそらく、お姉さんは悪魔崇拝者たちに買われ、わたくしを召喚する生贄となった。


 確定ではありません。ですが、可能性は高いのです。

 近いうちに、ちゃんと調べる必要があります。もしわたくしの予想が正しければ、わたくしは……。


「わかってる。あいつらにかけられた賞金はまだ有効だ。情報が入り次第また追おう。次こそちゃんと倒すんだ」


「うん、忘れてないなら、よかった」


「どんな連中だったか、詳しくは忘れたけどな。まあ安心しろよ、次期に気にならなくなる」


「?」


 やっぱりセント様、どこか変ですわ。

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