序章・チケット獲得秘話
初の恋愛物語の予定です。
バレンタインデーの特別連載作品です。
日常では、ありえないことも含んでいますが、あまり気にせず、読んで頂ければ、幸いです。
俺こと、五反田圭一は、そわそわしていた。
その日の学校は、はやる気持ちを押さえきれず、終礼が終わると同時に、教室を飛び出していた。
全力で走り、家へと帰りつく。
息を整えるのも忘れ、玄関を開け、叫ぶ。
「母さん!! 俺の荷物は届いてる?」
「ん、あぁ、届いてたよ。あんたの部屋に置いてあるよ。」
「ありがとう、母さん!!」
俺は、急いで階段を駆け上がり、勢いよく、扉を開け、荷物を確認する。
鞄を投げ捨て、ベッドの上に置いてある荷物を手に取る。
その場に正座し、息と姿勢を整える。
慎重にガムテープを剥がし、届いた商品を確認する。
中には、大人気二人組アイドルユニット・ナイトセリナの新作CDが入っていた。
今回の封入特典に、別日に開催されるサイン会参加券が50枚限定で封入させている。
お年玉を切り崩して、今回は5枚購入しておいた。
もう一度、息を整え、1枚1枚慎重に封を剥いでいく。
1枚目… なし
2枚目… なし
3枚目… なし
4枚目… なし
息が荒くなっているのを、感じた為、数回深呼吸をする。
最後に一縷の望みをかけ、開封していく。
ケースを開けると、そこには、
"サイン会参加券"
「よっっっつしゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ~!!」
気づけば、声を張り上げていた。
「うるさいわよ!!」
下から、何か聞こえたような気がしたが、気にしない。
俺は、今年の運を使い果たしたのかもしれないが、気にするのをやめて、俺は、すぐにスマホを取り出し、チケットを連写する。
写真を取り終えた後、サイン会参加券を取り出す。
その下に、説明文の紙も入っていた。
"本券1枚で2名まで参加可能です。参加場所・時間等の詳しい詳細は、下記のアドレスからご確認ください。"
俺は、すぐに確認する。
参加時間は、約一月後の日曜日、時間は、10:00からか。
「!? 1人につき、サインは1枚だけだと…」
ここで、日頃使わない脳細胞をフル稼働する。
「心の友に、頼み込むか…」
俺の心の友の、天宮蒼夜の顔を思い浮かべる。
蒼夜とは、小学3年位からの付き合いだが、本当にいいやつだ。
頭はいいし、運動も出来る。なのに偉ぶらず、俺が高校に受ける時には、勉強もつきっきりで教えてくれた。今回も、蒼夜を頼ることにしよう。
サイン会参加券を、失くさないように机の引き出しに入れ、CDも片付ける。
緊張から、とけたからか、お腹が空いてきた。
「母さん、お腹すいたけど、今日のおかずはなに?」
俺は、下に降りて、晩御飯を食べに行く。
色々あって、蒼夜には、サイン会数日前にこの事を報告したのだった。
そして、彼はまだ知らなかった彼のもとに神が降臨することを…