プロローグ
Prologue 静寂な終わりの始まりの行方
気付いたら、故郷が燃えていた。
何も出来ないまま、何をすればいいのかもわからないまま、全てが葬りさられてゆく。
大事にしていた何もかもが、当たり前のようにそこにあった全てが、あっという間になくなってゆく。
何も出来ないまま、その行く末を見つめていた。
遠くなってゆく景色を眺めながら、唇を噛む。
もう、ここに戻ることは出来ないだろう。住んでいた家も、街も、人も、全部奪われてしまったのだから。
だから、ずっと見つめていた。見えなくなるまでずっと、それしか出来なかった。
悔しい。悔し過ぎて、涙すら枯れてしまった。
本当に、腹立たしい。何も出来ない自分自身に、本当に腹が立っている。
悲しさと、虚しさと、どうしようもない怒りでどうにかなりそうだった。
それ以上に、許さない。本当に許さない。絶対に許さない。
復讐してやる。全てを奪い去った奴を、突き止めて、追い詰めて、殺してやる。
だから、今は耐えろ、耐えるんだ。そう自分の怒りを収めながら、遠ざかる景色を瞼に焼き付ける。
そして、全てが失われた。