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オマケ・メルラとレンと騒がしき新婚生活・4

王妃様と話が出来た事を耳にしたレン様が私を気遣ってレレン伯爵領に帰るか尋ねて参りました。


「レン様……お気遣いありがとうございます。暫く、宜しいでしょうか?」


「もちろんだ。メルラの負担になるようなことはしたくないからね。私はいつも通り国のあちこちに行く。だからメルラが実家に居る方が私も安心だ。1人で城に居るのも大変だろう?」


私が実家に帰る事をレン様は穏やかに受け入れて下さいました。仕事の合間に手紙を書くし近くでは立ち寄りたい、とも仰って下さって私は一先ず実家へと帰りました。父からは結婚1ヶ月の娘が帰って来た事を驚かれて「何をやらかしたのか」と問われましたが、レン様の心遣いだ、と答えれば安堵しておりました。


ニコのお墓に足を向けた私は、新しい花束を見つけました。おじさま達が来たのかしら? 私もニコルのお墓に手を合わせて祈ります。いつだってニコルは私の心の中に居ました。だけど、あの夜。レン様と肌を重ね合わせたあの夜は、ニコルの事を思い出すことも無かった。その罪悪感が押し寄せてきます。


ふっとニコルが生きていたら……と思います。

何十回も想像しましたけれど、今回のことは初めてです。


ニコルが生きていて結婚していたら、私はニコルとあのような初夜を迎えたのだと。その時。きっと私は恥ずかしくて消えたくなるような気持ちで。でも幸せだっただろうと思います。そしてニコルの子を産んで温かい家庭を作って。


でも。もうニコルは居ません。……居ないのです。どこにも。ニコルの家族と私とニコルの友人の記憶にニコルは生き続けるだけ。涙が溢れて来ます。何度泣いた事でしょう。ニコルはもう居ない。私と一緒に成長してくれない。思い出に居るだけ。


それなのに。

私がニコルを忘れてしまうなんて、恐ろしい事が起こるなんて思ってもみませんでした。


忘れる?

私がニコを?

そんなの許されるの?

ニコを忘れるって事はニコルが居ないのと同じ事になる。

他の誰が忘れても私がニコルを忘れるなんて事が起こるなんて……。


怖い。

ニコルを忘れる私が怖い。

ニコルを忘れて生きて行こうとする私が怖い。


そんなの、許されるわけ、無いのに……。


私は。また間違いを犯す所でした。ニコルを忘れて生きていくなんて許される事じゃないのです。

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