オマケ・メルラとレンと騒がしき新婚生活・2
恥ずかしくも衝撃的な初夜から1ヶ月が経ちました。引き続き城で生活中です。レン様は初夜の翌日、私の身体を労って下さった後にレレン家へ帰っても良い、と仰って下さいました。でも、それを私は断りました。王妃様にお伺いしたいことがあるから、それを聞くまでは……と。
とはいえ、王妃様もお忙しい身。少しのお茶の時間は捻出出来ても、ゆっくりと話す時間を取って頂ける程ではありません。それはそうです。レン様はこの国の王弟殿下。その方の結婚ですから、国内外から多く注目を集め、国外からの賓客をもてなす必要があります。その一切合切を王妃様が引き受けて下さいました。
いえ、いくらかは私も手伝いましたけど、賓客の対応はやはり王妃様でないと無理です。……本音は私がレーメ・ルーレラである事を知った国内外の方々から逃れたかったですが、そういうわけにもいかないですからね。でも王妃様はそんな私の内心をご承知で王妃様が引き受けて下さったのです。式が終わったといえど、国外からの賓客がその日中に帰国されるわけでは有りませんから、当然帰国されるまでお相手を引き受けていらっしゃいます(私も多少はお相手しましたが、王妃様は当然ながら私よりも数をこなしましたからね)し、王妃様の仕事も行います。
そんな王妃様に、私のために時間を捻出して頂くのは心苦しく、お時間が出来ましたら……と申し上げたところ、1ヶ月が経ってしまいました。早いものです。ちなみにレン様も王弟としてお忙しいながらも、初夜の翌日以外は必ず朝食を共にして下さいますし、時間が出来れば私の顔を見に来て下さいました。
新婚生活ってこんなに慌ただしいものなのでしょうか?
とも思いましたが、多分王族だから、なのかもしれません。レン様は毎日私を気遣って下さいます。花を1輪ずつ持って会いに来て下さいますし、3日に1度は本や紙(私が小説を書く専用に使用している紙です)やドレスなど贈り物もして下さいます。とてもとても素敵な旦那様です。私にはもったいないほどに。
現在私はレン様のお部屋の隣に私室を頂いておりまして、王族教育を受けていない私は、公務や執務など出来ないので、昼間は城内を散策したり執筆したり、と心苦しくも充実した日々を過ごさせて頂いております。心苦しいのは、妻としてレン様のお役に立てないから、です。公務も執務も出来ない私です。それに……
コンコン。
私が物思いに耽っていると、ドアが叩かれます。侍女が応対に出ると王妃様がお時間が取れたから「今からお茶をしながらゆっくりお喋りしましょう」とのことでした。2〜3時間は大丈夫だそうです。それだけあれば、気になっていた事を王妃様に伺えるでしょう。
直ぐに伺います、と返答して侍女に着替えをお願いしました。きっと王妃様なら私のこの思いにアドバイスを下さるような気がするのです。




