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オマケ・それだけは知りたくなかった・3〜レオナルド視点〜

お待たせしました。レオナルド視点でメルラからの結婚報告の心境です。

王太子殿下の側近候補から外されてしまった。それは仕方ない事ではあるのだが……正直なところ辛いものがあった。王太子殿下が側近に考えていた人数は3人。候補者は8人。まぁこの8人の中に残されただけでも違うのだが。きっと何か足りないモノがあったから側近にはなれなかったのだろう。選ばれたのは子爵家嫡男・伯爵家の三男・同じ侯爵家の四男だった。自分で言うのもなんだが能力差はそんなに無かったはずだ。そうでなくては最終候補者にも残れなかった。だから能力差ではない。王太子殿下は実力主義な人だから。

ただもし選ばれなかった原因があるとしたらおそらくあの質問だったと思う。側近候補者は半年以上に渡りその能力を王太子殿下に見極められる。そして最終試験として1人1人面談が設けられた。その中で一つだけ不思議な質問があった。


「目の前に盗人がおり自分の罪を告白した。ではそれを聞いた君はどのような処置を行う?」


と言ったもの。それは俺の仕事なのだろうか? それが質問に対する感想で


「盗人である以上見合った刑罰を与えます」


その答えで王太子殿下からの質問は終わった。おそらくそれが分かれ目だったように思えた。候補者同士で面談内容について話し合ってはいけない、と言い含められていたから勘でしかないが。不意にメルラ嬢からもらったペンの存在が重く感じた。無性に彼女に会いたくなった。

そう思っていたところへ帰宅したタイミングで彼女から手紙が届いていると執事から聞いた。渡された手紙。逸る気持ちを抑えて読み進めれば時候の挨拶や俺への気遣いなどが鏤められた言葉に落ち込んでいた気持ちが浮上する。そうして近況報告として俺はその一文に目を見張った。


ーー王弟・ブレングルス殿下と婚姻することになりました。


何故。何故なんだ。メルラ嬢。まだ結婚は考えていないようでもあったから再度機会を見て告白しよう、と思っていたのに。なのに何故急に王弟殿下と。……ああでもそうか。最近城内が騒がしくなりつつも華やいでいたのは、そういうことだったのか。妙に納得した。それと同時にこんな重要な情報に気付かないなんて自分が間抜けに思えた。

……小さい頃。身体が弱くて勉強も体力も人並み以下だったと思う。その所為なのだろう。今思えば父親に甘やかされてきた。多分跡継ぎである事の意味をきちんと理解していなかった。自分なりには覚悟していたがそれはあくまでも自分なり。


だからルインを妻にしたい、とか。初対面でメルラ嬢を蔑ろにするような発言が出来たのだと思う。

心の何処かで思っていたはずだ。将来の侯爵なのだから俺が望めば何でも叶う、と。体調が回復してからは遅れていた勉強を取り戻す事に必死になっていたが、それほど苦痛でも無かった事は確かで。だから勉強をすることが好きだったのだろう。それが益々自分を、俺を増長させていた気がする。

穴があったら入りたい心境とはこういうことか。甘ったれたお坊ちゃん。それが俺なのだろう。きっと色々と見ているようで見落としていた。取りこぼしたモノが結構有るように思う。


それでも。

父も侯爵家の使用人達も俺を見放していない。それは俺が決定的な事をやらかしていないのもあるだろうけど、俺を信じてくれているからではないだろうか。

俺は多分。そういった俺を信じてくれている人や期待に気付けていなかった。それは多分本当の意味で父や使用人達や他の俺に関わる人達と向き合って来なかったから、だと思った。向き合わないから相手の思いに気付かない。だから相手が望むものも見えてこない。


「ああそうか」


ようやく王太子殿下のあの質問の意味を悟った。俺は過去の事例に沿って罪人を裁けば良い、と言った。だが王太子殿下はその罪人の事情を聞いて裁きに考慮する気持ちが有るかどうかを見極めたかったのでは無いだろうか。だが愚かな俺は罪人の背景など考えもしない答えを王太子殿下に提示した。だから俺は側近に選ばれなかったのだ、と理解出来た。

こんな俺だからメルラ嬢に受け入れてもらえなかったのだろう。心の何処かでメルラ嬢は俺を好きになる、と自信があった。友人として接してくれているだけなのは解っても嫌われていなかったから。嫌われていないのはそうだろう。彼女は友人として俺を受け入れてくれていたのだから。


彼女が友人以上の接触も態度も無いと見ていたのに、俺はその現実を見ていなかった愚か者。だから。だからメルラ嬢は王弟殿下との結婚を受け入れたのだろう。俺達から、俺から逃れるために。

幸せになってほしい、とは未だ言えないが、いつか彼女に自分の口から言いたい。そのためには先ず。自分の愚かさを改めなくては。……俺はこれからも何度もこうして後悔してそのたびに決意していくのだろう。取り敢えずはもう少し婚約者探しは置いておこう。こんな愚かな俺では相手の女性が可哀想だ。

多分、レオナルドはかなり歳の離れたお嬢さんを妻に迎えそうな気がします。

レオナルドが20代後半というか30歳そこそこの頃にデビューしたかデビューして1.2年くらいの若いお嬢さん。元気……というかお転婆なお嬢さんに振り回される未来が見える……。


次話はようやくメルラとブレングルス殿下の新婚生活に突入します。2〜3話かなぁ。一文字も書いてないから何とも言えないんですがね。

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