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続・最終話:愛を貫くということ。

最終話を迎えました。

本編及び続編を追いかけて下さった本作を愛して下さった読者様に感謝を。

皆様のおかげで続編を執筆する運びと相成りました。どうぞ最後までよろしくお願いします。

ブレングルス王弟殿下の求婚をお受けする旨を返信して直ぐに私はリクナルド殿下・レオナルド様・マクシムにも手紙を認めました。


“ブレングルス王弟殿下と婚姻します”


と。

態々書かなくても良いのかもしれませんがきちんと報告する事が誠意だと私は思ったからです。これで3人が自分達は振ったのに王弟殿下の求婚は受け入れるのか! と怒っても仕方ないとは思います。そういう事を仰るとは思えないですけれど。仮にそのような事を仰っても仕方ないのかなとは思います。

その手紙を出してから暫く後、私は学園を卒業しました。その卒業式にブレングルス王弟殿下がいらっしゃって私は驚きました。


「殿下」


「メルラ嬢。婚姻を受け入れてくれてありがとう」


式が終わり学園長室に呼び出された私は王弟殿下と対面していました。私は少し不安だったのです。殿下に甘えて縁談を承知したけれど本当に良かったのか、と。ですが殿下の笑みを見て受け入れて良かったのだと安堵しました。

偶にしか会わない方なのですがこの方の笑顔はいつも私を安心させて下さいます。


「少し妻になってくれるあなたと話したくてね。帰りはきちんと送って行くから私と共に出かけないか? もちろんレレン伯には許可を頂いているよ」


「はい」


お父様に殿下と結婚する旨を伝えた時は物凄く驚いていらした。それはそうだろう。ニコの事をずっと思っている私なんだもの。ただ殿下の申し出の内容を全て話した時、お父様は「殿下の広い心に報いなさい」と仰いました。もちろんですお父様。私は深く頷くのと同時にだからこそ殿下に伝えたい事がありました。学園で知り合った友人達に別れを告げて殿下と共に馬車へ向かいます。

殿下が行きたい所はあるか尋ねられ私は少し考えて伝えます。殿下が頷いて御者に告げました。


「殿下」


「ん?」


「私に殿下との婚姻という大切なものを下さりありがとうございます」


「いや。兄上と義姉上から早く結婚しろってせっつかれていたんだが。この人という女性が現れない。兄上に寧ろ王命で婚約者を決めてくれ、と言ったらそれは逆に兄上を困らせたようでね。きっと私の2人の婚約者について思いを馳せたんだろう。だから言われなくなってしまったんだ。兄上に心配をかけるのは私も本意ではなくて。困っていた所へ君に出会った。メルラ嬢と話す事は楽しかったし手紙を交わすのも楽しいと思えた。だから君が困った時には助けになりたいと常に思っていたよ。それが今回の件。だったらメルラ嬢に私が出来る事は私との結婚くらいだろうって思ってね」


そんな風に軽く仰る殿下の心の優しさに私は頭が下がります。


「それでも私は悩んでおりましたので。きっと父の事です。私が独り身を貫いても構わない、と言ってくれた事でしょう。私はそんな父に申し訳ない想いも抱えておりました。この世の中では女が一人でいることはとても肩身が狭い思いをします。それでもまだ未亡人でしたら一人である事にあまりとやかくは言われないでしょう。ですが私は……」


「うん。どれだけニコル君を好きでいてもそれだけでは色々と口さがない者達もいるね。そうなればメルラ嬢だけでなくレレン伯にも中傷は及ぶ」


「私はそれに耐えられる自信がなかったのです」


「だからこそ私の結婚がその煩わしさから抜け出せる役に立つと思ったんだ。私は君の煩わしさを排除するためなら君と結婚してもいい、と本当に思ったからね」


「ありがとうございます」


そんな会話をしているうちに目的地に着きました。ニコのお墓がある墓地です。殿下のエスコートを受けながら私はゆっくりとニコの墓の前に立ちました。


「ニコ。大好き。でも私、ブレングルス殿下と結婚するね」


「ニコル君。君の愛する女性は私が守るから安心して欲しい」


私がニコに報告すれば殿下が神妙な顔でニコに語りかける。私はそんな殿下の横顔を見ながら決意を伝える事にしました。


「殿下」


私の呼びかけに殿下が私をジッと見ます。


「殿下。これから先殿下の愛するお方が現れた場合は速やかに離縁する事を私は伝えておきます。殿下の広い心は私をいつも落ち着かせて下さいました。感謝しても足りないくらいです。ですから殿下の望みを叶えられる女性が現れましたら直ぐに離縁致します。殿下の広い心に私は救われたのですから」


私の言葉に殿下は驚いた顔をして……やがて水が全身に染み込むように私の言葉が殿下に染み込んだようでした。


「メルラ嬢。私はまだ愛する女性が現れない。一生現れないかもしれない。でも現れた時は……よろしく頼む」


「もちろんですとも」


私は殿下の広い心に救われた。ならば今度は私が殿下に報いる番です。その時が来たら直ぐに身を引けるように心構えを伝えておく。それが今の私が出来る殿下への感謝の気持ちなのです。


「じゃあよろしく、妻殿」


「はい。殿下」


「惜しい。殿下ではおかしいよ。ブレングルス。……レンと呼んでくれ」


「レン様?」


「ん。俺もメルラと呼ぶ事にするよ」


「はい。ニコ。また来るね。レン様参りましょうか」


他人から見れば私はズルいのだと思います。殿下のような素晴らしい方が夫になって下さるのに。それでもニコへの愛を貫こうと殿下を利用するのですから。でも。それでも今の私はニコへの想いで一杯なのです。この先の事など分かりませんが今は私の心はニコへの気持ちだけが占領しています。だからこそ殿下に報いるのはその時に綺麗に身を引く事だけーー。


……私は夫となる方を改めて見つめて「よろしくお願いします」と頭を下げました。



(了)

最後までお付き合い頂きましてありがとうございました。本編を書き終えた時には需要があるのかわからなかった本作。

需要あります、と仰って下さる皆様のおかげで続編開始。ここまで書ききりました。


皆様の中にはきっと。

メルラはレオと恋人に!

メルラはリックと恋人に!

メルラはシムと恋人に!


という気持ちもあったかと思いますが。メルラがとてもニコルを好きでいましたから、今のメルラにはこの3人は無いなぁ……と思ってしまったものですみません。

3人がもう少し年齢を重ねていればあるいは……とも思うのですが現状は有り得なかっただけです。そうして色々考えた末に生まれた王弟殿下とメルラは結婚という形に落ち着きました。

いかがだったでしょうか。


さて。本作はこれにて終わりですが。その気になればオマケは書けますので、メルラとレン様とのその後が気になる!という方がいらっしゃれば対応します。夏月お得意の完結後のリクエスト受付です。(エブリスタでは良くやってます)何も無ければこれにて。

最後までお付き合い頂きましてありがとうございました。


余談。

本当に小さな国なので王都とレレン伯爵領は実はめっちゃ近いという裏設定です。他の領地もあまり離れていないという設定でした。(全然使わなかったけど)

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