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召喚された勇者は、実は異世界の魔王だった件。  作者: 2401
第三章 勇者潜入する
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第三章 勇者潜入する7-1

 暗い洞窟の中、俺とエレナは罠だらけの道を回避しながら、奥へ続く道を探して進んでいた。ちなみに、エレナの素直タイムは一瞬で終わりを告げた。まるで夢でも見ていた気分だ……。

 そんな感じで、相変わらず俺の『千里眼』は罠を感知するが、ゴブリンの魔力を感じる事はなかった。


「この洞窟、間違いなくゴブリンの住処なんだよな?」

「見張りにゴブリンが居たんだし、間違いないでしょ」

「そうだよな……」


 俺達がこの洞窟に潜り込んで数十分は経つが、未だにゴブリンの姿を一匹も見る事はなかった。こんな事ってあるのか……。

 俺の魔力感知では確認出来ないが、エレナの方はどうだろか。


「エレナ、この洞窟内に魔力反応はあるか?」

「あるわよ」

「そうか、あるのか……って、あるのかよッ!!」


 エレナの発言に驚きを隠せずに居た俺は、その場で立ち止まった。


「――ッ! い、いきなり叫ばないでよ!」


 俺が急に叫んだせいで、エレナは耳を塞いで俺に抗議の声を上げる。大声を出した事は悪いと思うが、きちんと情報を共有しないお前も悪いと思うがな。

 そんな不満を飲み込みながら、エレナに魔力反応の事を尋ねる。


「……すまん、すまん。それで、魔力反応は何処から感じるんだ?」

「ちゃんと謝りなさいよ!」

「だから、悪かったって。この通りだ……」


 面倒なので、直ぐに頭を下げる俺。

 あの素直だったエレナは何処へやら……。


「……それで良いのよ。魔力反応はこの先から感じるわ」


 俺の謝罪を満足気に眺めるエレナは、ついでのように魔力反応がある場所を指さした。誰のおかげで今も生きていられるのか、すっかり頭から抜けているようだな……。

 エレナのアホさ加減は今に始まった事ではないので置いておくとして、彼女が指さした方向は俺達の向かう先だった。


「じゃあ、このまま進めば敵にぶつかるって訳か」

「そういう事ね。でも、あたしが感じる魔力は巨大な魔力だけ……この先には必ずヤバい奴がいるわよ」

「そうなんだよな……」


 エレナの魔力感知に引っ掛かる程の強者とは、なるべく戦闘は避けたい。どうにか話し合いでけりをつけたいモノだが……。

 考えていても仕方がない。今は喉から手が出るほどに手掛かりが欲しい状況なのだから。


「よし、その魔力反応に向かって進もう。何か手掛かりが得られるかもしれない」

「はぁ……? 何、馬鹿な事言ってるのよ」


 俺の提案に馬鹿の一言で待ったを掛けるエレナ。


「馬鹿って、何かおかしな事でも言ったか?」

「馬鹿も馬鹿、大馬鹿よ。何が魔力反応に向かう、よ……この洞窟に入った時から向かってるに決まってるでしょ!」

「……………………」


 人を小馬鹿にした態度で言ってのけたエレナ。こいつは……。

 あまりにもふざけた態度に俺は呆れて言葉も出なかった。

 だが、エレナのおかげで光明が差したのも事実。このまま先に進めば、必ず誘拐された人達に繋がる情報が得られる筈……例え、ヤバい奴と戦う事になったとしても。


「とにかく、進むぞ……」

「誰にモノ言ってるのよ」


 面倒な性格のエレナを伴い、洞窟の奥へ進もうとしたその時である。


「ちょっと待て――」


 進もうとしていたエレナを手で制し、壁沿いに身を寄せる。


「な、何なの――むぐぅ!」


 急に壁際に寄せられたエレナは、抗議の声を上げようとするが、その口を俺の手が塞ぐ。

 この状況で大声を出されるのはまずい……。


「……静かにしろ! 今、ゴブリンの魔力反応が見えた」

「……ッ!!」


 エレナは何か言いたそうにしているが、俺の手が邪魔で話す事が出来ないでいる。

 それに気付いた俺は手を退けてやる。


「……ぱぁ! ……ゴブリンって、どうするのよ?」

「どうするもこうするもない。ここはやり過ごそう……」

「やり過ごすって、どうするつもりよ?」


 ゴブリン達は俺達が進もうしている道とは別の道から、ゆっくりこちらに近付いて来ている。しかも、見張りのゴブリン達とは桁違いの魔力量だ。

 ここで無駄な体力、魔力を消費する訳にはいかない。だからと言って、魔法なしで切り抜けられるほど甘くはなさそうだ。仕方がない……背に腹は代えられないしな。

 苦肉の策だが、少しでも魔力消費の低い変化の魔法を使う事に決めた。戦闘で使用するような魔法はどれも魔力の消費が激しいからな。


「今から俺とお前に変化の魔法を掛けて、『ゴブリン』の姿になる。奴らがやって来たら、上手く話しを合わせてやり過ごせ。いいな……?」

「良い訳ないでしょ! 騎士であり、勇者であるあたしが――」


 と、エレナがわんわん文句を言っているが時間がない。もうそこまでゴブリン達は来ている。


「行くぞ……」

「んんんんんんんッ!」


 俺はエレナの意思とは関係なく変化の魔法を発動させた。エレナは叫びたくなる声を必死で抑えているが、無情にも変化の魔法による魔力の煙が俺とエレナを包んでいく。


「……よし、これで見た目は完璧だな!」

「ううううううううううううう……ぐすっ…………」


 魔力の煙が晴れると、俺とエレナの姿は何処からどう見ても『ゴブリン』の姿に変わっていた。我ながら素晴らしい出来だ……。

 自分の魔法に賛辞を送っていた横で、エレナゴブリンは気持ち悪い表情を浮かべ、涙を流していた。ゴブリンの姿で泣きじゃくるのは勘弁して欲しいのだが……。

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