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召喚された勇者は、実は異世界の魔王だった件。  作者: 2401
第二章 勇者旅立つ
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第二章 勇者旅立つ6.5

 ――とある路地。

 狭く薄暗い路地を月明かりのみが照らしていた。


「……必ず私が見つけてみせます」


 路地の入口には、一人の少女が立っていた。

 少女は何かを探しているのか、険しい表情を浮かべながら暗い路地の中を進んで行く。


「うう……怖くない、怖くない……」


 怖さで震える自分を奮い立たせ進んで行く。

 やがて、路地の行き止まりが見えて来たところで「はっ」と何かを発見した少女は、近くにあった大きなゴミ箱の陰に隠れた。

 そして、そっと物陰から路地の奥を覗くと、そこには――


「や、やめてください……来ないでください!」

「お嬢さん、大人しくしてください」

「我々はあなたを傷つけたくはないのです」


 二人組の男が、一人の女性に詰め寄っていた。

 その光景を確認した少女は、男達の元へ駆け出した。


「そ、そこまでです!」

「……誰だッ!」


 少女の声にびっくりして振り向く男達。

 そんな男達を気にする事なく、少女は女性に向かって叫んだ。


「逃げてください! ここは私が何とかします!」


 少女の言葉に反応する男達。


「何とかするって、いったいどうするつもりだ?」

「まったくですね。あなたも一緒にあの方への貢物とさせて頂きましょう」


 男達は少女の言葉を戯言と決めつけ鼻で笑う。

 だが、そんな男達の余裕を一瞬で焦りに変えてしまう出来事が起こる。

 少女は両手を男達に向けて、何かを呟き始めた。


「我、火の精霊が契約者……」


 その呟きを聞いた男達に焦りの色が見えは始める。


「え、詠唱ですとッ! ……奴め、魔法を使う気ですねッ!」

「魔法って、やばいじゃねーか!」


 慌てふためく男達の隙を逃さなかった女性は、男達の目を盗んで駆け出す。


「……あ、しまった!」

「放っておきましょう。今はあれをなんとかしませんと」


 逃げ出す女性を追い駆ける事はせず、少女に向き合う男達。やがて――


「……この身に宿る魔力を解き放つ。行きます『ファイア』!!」


 詠唱を終えた少女は、魔法を放った――だが、


「……くっ…………あれ?」

「何も……起こりませんね?」


 自分の身に何も起こっていない事を不思議がる男達。

 それどころか、魔法の痕跡すらなかった。


「あれぇ、おかしいですねぇ~……」


 魔法は不発。少女は首を傾げていた。

 そんな少女のふざけた態度に業を煮やした男達。


「おかしいじゃねぇよ、嬢ちゃん!」

「まったくですねッ!」


 そう言って、少女に詰め寄る男達。


「……ひっ! …………へぶッ!!」


 少女は逃げようとするが、盛大に転んでしまう。


「大丈夫か、嬢ちゃん」

「おっちょこちょいですねぇ~」


 余裕の表情を浮かべ倒れる少女に手を伸ばす男達。すると――


「いやぁああ! 来ないでぇくださぁああああい!!」


 少女は大声で叫んだ。


「な、何だとッ!」

「こ、これは……混じってますねぇ~!」


 男達は奇妙な言葉を呟くと、嫌がる少女の口に布を当て黙らせる。

 その布には即効性の睡眠薬が塗り込まれていたようで、少女は数秒と持たずに眠りについた。


「こいつは危険だ……」

「ええ。我々の作戦に支障を来す可能性がありますからねぇ~」


 そう言って、男達は少女を抱きかかえ闇に消えて行った。

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