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召喚された勇者は、実は異世界の魔王だった件。  作者: 2401
第二章 勇者旅立つ
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第二章 勇者旅立つ4

 ――ベルヘイム、商業区の中心にある巨大な噴水。

 俺はその噴水周りに設置されているベンチに腰掛け、行き交う人々の様子を眺めていた。


「……はぁ~。一人で聞き込みとか、俺にはハードルが高過ぎるだろ」


 エレナと別れた後、言われた通り聞き込みを始めた。

 だが、やはり俺にはハードルが高ったみたいだ……。

 道行く人々に声を掛けようとするが、どう声を掛けたら良いモノか分からず、まったく聞き込みにならなかった。

 そうこうしている内に自信を無くし、現在に至る……。


「こんな事してる場合じゃないんだけどな……」


 俺にはどうしても気になる事があった。

 それは、アリサの魔族疑惑である……。

 一瞬の出来事とはいえ、俺の『千里眼』が捉えた彼女の姿は魔族だった気がする。

 もし、アリサが魔王に与する者なら、このベルヘイムで何か良からぬ事を企んでいるに違いない。まったくそうは見えなかったのも、油断を誘う演技だったと考えれば合点が行く。

 とにかくアリサを探し出し、その真意を確かめる。これが最重要事項だろう。

 エレナには悪いが、お前の言う通り勝手に探偵ごっこを始めさせてもらうぞ……。


「確かアリサは、ギルドに所属していると言っていたな」


 だったら、その冒険者ギルドに居る可能性が高い。

 そう考えた俺は、ギルドに向かう為にベンチから体を起こそうとする。だが、直ぐにベンチに座り直した。

 よくよく考えると、ギルドの場所をアリサから聞いていなかったので、何処に向かえば良いか分からなかったのだ。

 またしても、途方に暮れる事となった俺……。



「……あれ? ワイズさん」



 と、ベンチで項垂れている俺に声を掛ける者が居た。この声は……まさか!

 聞き覚えのある声に、ふと顔を上げる。


「……あ、アリサッ!」


 突然の出来事に思わず大きな声を出してしまう。

 その声にびっくりしたアリサは「うわぁ!」と小さな悲鳴を漏らして、体を後ろにのけ反らせた。


「……も~う、突然大きな声を出さないでくださいよ~」

「すまん。急に声を掛けられたもんだから、びっくりしてついな」

「そうだったんですか。じゃあ、私のせいでもある訳ですから、おあいこですね」


 そう言って微笑むアリサ。相変わらず可愛い奴だな……。

 アリサの微笑む姿につい見惚れてしまう。だが、そんな自分に喝を入れる。

 馬鹿野郎! 今は彼女の愛らしさに骨抜きにされている場合ではない。

 アリサを見つけたのだから、魔族について聞かなければ。

 そう思っていたのだが、俺が話すよりも先にアリサが口を開いた。


「それより、どうしてお一人でこんな場所に居るんですか?」

「いや、ちょっと休憩中で……」

「そうなんですか……そういえば、エレナさんはどうしたんですか?」

「あいつなら住宅区の聞き込みをしている。俺は商業区担当だ」


 まあ、俺は何の成果も上げられなかったがな。エレナ、すまん……。

 だが、ここで必ず挽回して見せるからな。


「聞き込みって、もしかして私が追っている事件についてですか?」

「まあ、そんな所だ。それより――」


 と、俺が話しを変えようとした時、


「それじゃあ、協力しませんか!!」


 そう叫んで、俺の手を取るアリサ。


「……はぃ?」


 何だこれ……どうなっているんだ……?。

 アリサの言っている意味がわからない。

 それに、何で俺はアリサに両手を握られているんだ……?

 嬉しさと恥ずかしさで、心臓の鼓動が早くなって行くのを感じた。

 そんな俺の気持ちを知らないアリサは、握った両手をさらに強く握りしめて叫んだ。


「せっかく同じ事件を調べてるんですから、ここは協力しましょう!」


 もう限界だ……!! コミュ障にはこのレベルはまだ早い!!


「……お、おう……分かった……分かったから……こ、この手を……放してくれ…………」


 恥ずかしさ全開で握られた手をアリサに向ける俺。

 その向けられた手を確認するアリサ。すると、


「……すすすす、すみませぇえんッ!! 私ったら、な、なんて大胆な……」


 自分が何をしていたのかに気づいたアリサは、大慌てで握った手を離すと、俺から距離を取るように勢い良く後ろに下がった。

 握られていた手にはまだ温もりが残っている。それを感じると、赤くなっているであろう顔が、さらに赤味を増して行くような気がした。

 お互い真っ赤な顔を隠すように、そっぽを向いている。

 そんな俺達の様子を見ていたらしい町の人々が、好き放題言葉を掛けて来る。



「ヒュー、ヒュー」「初々しいね!」「お似合いだよ!」「ナイスですね!」



 一つおかしな奴があった気がするが、そんな事はどうでもいい。

 俺はすぐさまベンチから立ち上がり、この周辺を確認する。

 辺りは人だらけ。ここに居るとまともに話しも出来なさそうだ。

 アリサも人の熱気にやられてふらふらだし……。


「……きゅー」


 と、鳴いて目を回している。


「……仕方ない」


 目を回しているアリサの手を取り、


「……ふぇ? な、何ですか?」

「走るぞ……!」


 アリサを連れて、全速力でこの場から離脱した。

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